韓國語の使役形
 
 
日本語の使役形と同じように、韓国語にも[사동형](使役形)がある。もちろん「(人に)~させる」という意味である。
韓国語の使役形は、受身形と同じように、その作り方に統一した方法がない。いくつかの方法のうちから、動詞によってそれぞれ決まった方法で作られるため、やはり一つずつ覚えるしかないので面倒である。
その上、もっと厄介なのは、動詞によっては、一つの動詞を使役形にする方法が複数存在する場合があり、しかも意味上のニュアンスが異なるのである。
この違いは正確に覚えないと、韓国人に誤った意味を使える危険がある。
 
以下に使役形の表現を一覧表にした。
 
接尾辞「-이」、「-히」、「-리」、「-기」、「우」、「추」、「구」のいずれかを付ける
 
限られた一部の用言は、接尾辞「-이」、「-히」、「-리」、「-기」、「-우」、「-추」、「-구」のいずれかを付けて使役形を作ることができる。
その対象となる用言や付加する接尾辞に関する文法的ルールはないが、どの用言にどの接尾辞がつくかは、あらかじめ決まっている。よって、どの用言にどの接尾辞がつくか、一つずつ覚えなければならない。
しかし、語幹末の音によって、ある程度の傾向があるので、下に整理しておく。絶対的ではないので注意を要する。
 
a)「-이」をつける場合・・・用言の語幹末が[ㄱ、ㄲ、ㄹ、ㅀ、ㅌ]の場合。
b)「-히」をつける場合・・・用言の語幹末が[ㄱ、ㄵ、ㄷ、ㄺ、ㅂ]の場合。
c)「-리」をつける場合・・・用言の語幹末が[ㄹ、ㅀ]の場合。
d)「-기」をつける場合・・・用言の語幹末が[ㄴ、ㅁ、ㄻ、ㅅ、ㅌ]の場合。
e)「-우」をつける場合・・・用言の語幹末が[母音、ㄷ]の場合。
f)「-추」をつける場合・・・用言の語幹末が[ㅈ]の場合。
g)「-구」をつける場合・・・用言の語幹末が[ㄷ、ㄹ]の場合。
 
このように接尾辞「-이」、「-히」、「-리」、「-기」、「-우」、「-추」、「-구」によって作られた使役形では、行為を行う人は、必ず第三者であって、自ら行う場合には使えない。 つまり、「AがBに~させる」という使役文型において、「~」をするのは、Aであって、Bはじっとされるがままになっている状態を表していることに注意されたい。 このことは、次の「-게 하다」の使役形との大きな違いである。
 
基本形使役形例文
꿇다(沸く) 꿇이다(沸かす) 목욕물을 꿇이다.(お風呂を沸かす)
녹다(溶ける) 녹이다(溶かす) 쇠를 녹이다.(鉄を溶かす)
먹다(食べる) 먹이다(食べさせる) 찬밥을 먹이다.(冷や飯を食べさせる)
보다(見る) 보이다(見せる) 신문 좀 보여 주세요. (新聞を見せてください。)
죽다(死ぬ) 죽이다(殺す) 동물을 죽이다. (動物を殺す)
줄다(経る) 줄이다(減らす) 경비를 줄이다. (経費を減らす)
넓다(広い) 넓히다(広げる) 도로를 넓히다.(道路を広げる)
눕다(横になる) 눕히다(横にさせる) 아기를 침대에 눕혔다.(赤ちゃんをベッドに寝かせた)
밝다(明るい) 밝히다(明るくする) 전등이 방 안을 밝히다.(電燈が部屋を照らす)
식다(冷める) 식히다(冷ます) 더운 물을 식히다. (お湯を冷ます)
앉다(座る) 앉히다(座らせる) 애를 빈자리에 앉히다.(子供を空席に座らせる)
읽다(読む) 읽히다(読ませる) 그 소녀에게 이 책을 읽히다.(その少女にこの本を読ませる)
입다(着る) 입히다(着せる) 아기에게 옷을 입히다.(赤ちゃんに服を着せる)
좁다(狭い) 좁히다(狭める) 간격을 좁히다. (間隔を狭める)
날다(飛ぶ) 날리다(飛ばす) 모형 비행기를 날리다. (模型飛行機を飛ばす)
돌다(回る) 돌리다(回す) 팽이를 돌리다. (独楽を回す)
마르다(乾く) 말리다(乾かす) 빨래를 말리다. (洗濯物を乾かす)
살다(生きる) 살리다(生かす) 죽은 사람을 살릴 수는 없다.(死んだ人を生き返らせることはできない)
알다(知る) 알리다(知らせる) 합격을 알리다.(合格を知らせる)
울다(泣く) 울리다(泣かせる) 관객을 울린 명연기.(観客を泣かせた名演技)
굶다(飢える) 굶기다(飢えさせる) 아이를 굶기다. (子供を飢えさせる)
맡다(預かる) 맡기다(預ける) 가방을 맡기다.(カバンを預ける)
벗다(脱ぐ) 벗기다(脱がせる) 옷을 벗기다.(服を脱がせる)
숨다(隠れる) 숨기다(隠す) 사실을 한사코 숨기다.(事実をひた隠しに隠す)
씻다(洗う) 씻기다(洗わせる) 딸에게 접시를 씻겼다. (娘に皿を洗わせた)
웃다(笑う) 웃기다(笑わせる) 청중을 웃기다. (聴衆を笑わせる)
깨다(目が覚める) 깨우다(起こす) 늦잠 자는 애를 흔들어 깨웠다. (寝坊している子供を揺り起した)
비다(空く) 비우다(空ける) 술잔을 비우다. (杯を空ける)
서다(止まる) 세우다(止める) 차를 세우다. (車を止める)
자다(寝る) 재우다(寝かす) 아기를 재우다. (赤ちゃんを寝かす)
타다(乗る) 태우다(乗せる) 차에 손님을 태우다. (車に客を乗せる)
낮다(低い) 낮추다(低くする) 온도를 낮추다. (温度を低くする)
맞다(合う) 맞추다(合わせる) 카메라의 핀트를 맞추다. (カメラのピントを合わせる)
돋다(出る) 돋구다(出させる) 식욕을 돋구다.(食欲を高める)
일다(起こる) 일구다(起こさせる) 밭을 일구다. (畑を掘り起こす)
 
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動詞・形容詞の語幹に「-게 하다」、「게 만들다」を付ける
 
韓国語のほとんどの動詞・形容詞は、用言語幹に「-게 하다」をつけることによって使役形を作ることができる。
用言語幹に接尾辞「-이」、「-히」、「-리」、「-기」、「-우」、「-추」、「-구」を付けて使役形にすることができる用言であっても、「-게 하다」によって使役形にすることができる。 したがって、このような用言の場合には、2通りの方法で使役形を作ることができるわけである。
 
しかし、注意すべきことは、2つの方法で作られた使役形の間には、意味上、大変大きな違いがある、ということである。
日本語で、「AがBに~させる」という使役形を考えてみる。
接尾辞「-이」、「-히」、「-리」、「-기」、「-우」、「-추」、「-구」によって作られた場合には、実際に行動をするのは、Aである。
一方、用言語幹に「-게 하다」をつけることによって作られた場合には、実際に行動するのはBなのである。この場合、Aは、Bがそのような行動をするように仕向ける立場なのである。
例を挙げておく。
 
①엄마는 딸에게 치마저고리를 입혔다.
母は(母の手で)娘にチマ・チョゴリを着せた。(娘は何もしないで、じっとしている。)
②엄마는 딸에게 치마저고리를 입게 했다.
母は(娘に言って)、娘が自分でチマ・チョゴリを着るようにさせた。(娘は自分の手でチマ・チョゴリを着た。)
 
更にもう一つ付記しておくなら、形容詞に「-게 하다」をつけた形は、韓国語では使役形として取り扱われているが、日本語の使役感覚とは少し異なることを理解しておきたい。
日本語では、「~くする」という訳が適切である。 たとえば、「크게 하다」は、「大きくする」と訳すのがよい。
 
もう一つの用言語幹に「-게 만들다」をつけて使役形にするのも、基本的には「-게 하다」の使役形と同じである。
ただ、「-게 하다」の使役形より、強制的なニュアンスが強く出てくるので、使い方に注意を要する。
乱用・多用しない方が無難であろう。
 
[用言語幹に「-게 하다」を接続した使役形]
基本形使役形例文
가다(行く) 가게 하다(行かせる) 학생을 그리로 가게 하다.(学生をそこに行かせる)
기다리다(待つ) 기다리게 하다(待たせる) 오래 기다리게 해서 미안합니다.(長くお待たせしてすみません)
만나다(会う) 만나게 하다(会わせる) 두 사람을 만나게 하다.(二人を会わせる)
맵다(辛い) 맵게 하다(辛くする) 덜 맵게 해 주세요. (あまり辛くしないでください)
생각하다(考える) 생각하게 하다(考えさせる) 이 문제에 대해 학생들에게 생각하게 하다.(この問題を学生たちに考えさせる)
크다(大きい) 크게 하다(大きくする) 소리를 크게 하다.(声を大きくする)
 
[用言語幹に[-게 만들다]を接続した使役形]
基本形使役形例文
걱정하다(心配する) 걱정하게 만들다(心配させる) 부모님을 걱정하게 만들지 말아요. (親を心配させてはいけません)
기쁘다(うれしい) 가쁘게 만들다(喜ばせる) 그 뉴스는 어머니를 기쁘게 만들었다. (そのニュースは母を喜ばせた)
다치다(怪我をする) 다치게 만들다(怪我をさせる) 운동을 하다가 친구를 다치게 만들었. (運動中に友だちを怪我させた)
울다(泣く) 울게 만들다(泣かせる) 동생을 울게 만들었다. (弟を泣かせた)
힘들다(苦労する) 힘들게 만들다(苦労させる) 아내를 힘들게 만들었다. (妻に苦労をさせた)
 
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漢字語하다動詞の「-하다」を「-시키다」に変える
 
漢字語の하다他動詞は、「-하다」を「-시키다」に変えることによって、使役形を作ることができる。
大部分の하다動詞がこの形で使役形を作ることができるようであるが、すべての하다動詞が可能であるかどうかはわからない。
しかし、一般によく使われる漢字語名詞に「-시키다」がついた使役形は存在するようである。
以下に、そのうちのごく一部をリストしたので参考にされたい。
 
基本形使役形例文
결혼하다(結婚する) 결혼시키다(結婚させる) 그녀를 20 살에 결혼시켰다. (彼女を20才で結婚させた)
공부하다(勉強する) 공부시키다(勉強させる) 아버지는 아들을 대학까지 공부시켰다. (父は息子を大学まで勉強させた)
발전하다(発展する) 발전시키다(発展させる) 도시를 발전시키다.(都市を発展させる)
안정하다(安定する) 안정시키다(安定させる) 쌀값을 안정시키다. (米価を安定させる)
연결하다(連結する) 연결시키다(連結させる) 양자를 밀접하게 연결시키다.(両者を密接に結びつける)
충족하다(充足する) 충족시키다(充足させる) 수요를 충족시티다. (需要を充足させる)
포함하다(含む) 포함시키다(含ませる) 비용게 세금도 포함시키다.(費用に税金も含める)
향상하다(向上する) 향상시키다(向上させる) 기술을 향상시키다.(技術を向上させる)
 
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韓国のことわざ
 
 
発行 : 韓国文化研究所
(発行:2013-10-01)
(改訂:2013-10-13)