紛らわしい表現
 
 
韓国語の辞書を引くと、複数の異なる単語やフレーズに対して、同じ日本語の訳が出てくることがよくある。
逆に、一つの日本語に対して、複数の韓国語訳が対応することも、いくらでもある。
一体、何がどのように違うのか、その意味やニュアンスの違いを理解することは容易ではない。辞書にも、文法書にも、納得のいくような説明がないことの方が多い。
わからないまま、自分勝手な解釈で使うと、韓国人に怪訝そうな顔をされることもしばしばである。
しかし、考えて見ると、言葉というのは理屈ではないから、そういう意味では、理論づけしようという方が無理なのかも知れない。言葉は文化である。その国の文化を理解し、多くの文化に接することにより、少しは言葉の理解も進む、というものであろう。
 
このページでは、一つの日本語に対して、複数の韓国語が対応する言葉に関して、例文を見ながら、差異を考えてみたいと思う。
もちろん、多分、膨大な量にのぼるそのような言葉のすべてを羅列するつもりはないし、やろうとしても、それは不可能であるから、若干気になっている言葉に関してまとめてみたい。
韓国人の友人から助言を受けたり、韓国語の文法書・辞書などを参考にした。
 
 
「生じる」(생기다と나다)
 
韓国語の[생기다]も[나다]も「生じる」という意味をもっており、[시간이 생기다. ][시가이 나다. ]などのように使われる。このように、「生じる」という意味で、[생기다]と[나다]とが、どちらも利用できる場合もあるが、大部分は、そんなにうまい具合にはいかない。
つまり[생기다]を使わなければならない場合と、[나다]を使わなければならない場合とが、きちんと決まっているようである。
ところが、その決まりがどうなっているのか、というと、真に曖昧模糊としている。
ルールがあるようでない、と言った方が適切であるような気がする。
 
[생기다]と[나다]のうち、どういう場面で、どちらを使うか、その目安を提供するとつぎの通りである。
即ち、[생기다]は、後から生じること。外からつくこと。無から生じること。などの場面に使われ、 [나다]は、中から出てくること。物事・状態ができること。感情・心理が生じること。時間的・空間的に空くこと。などの場面で使われることが多い。
 
[생기다で表現する場合]
 
[できる、生じる]の意味
지하철이 생기다.
地下鉄ができる。
손에 물집이 생기다.
手にまめができる。
어린애가 생기다.
子供ができる。
인내력이 생기다.
忍耐力ができる。
이상한 버릇이 생기다.
変な癖がつく。
[手に入れる、できる]の意味
돈이 생기다.
金ができる。
시간이 생기다.
暇ができる。
집이 생기다.
家が手に入る。
[起こる、生じる、起きる、生まれる]の意味
교통 사고가 생기다.
交通事故が起こる
강도 사건이 생기다.
強盗事件が起こる
갑자기 볼일이 생겨서 오지 못했다.
急に用事が出来て来られなかった。
 
[나다で表現する場合]
 
[(草木の芽、髭などが)生える]の意味
풀이 무성하게 나다.
草が生い茂る。
곁가지가 나다.
小枝が出る。
수염이 나다.
髭が生える。
이가 나기 시작했다.
歯が生え始めた。
[(内にあるものが外へ)出る、湧き出る]の意味
새물이 나다.
泉が湧き出る。
석유가 나다.
石油が湧く。
눈물이 하염없이 난다.
涙が止めどなく流れる。
구슬 같은 땀이 난다.
玉のような汗が出る。
[(物事・状態が)生じる、起こる、できる、発生する]の意味
길이 나다.
道ができる。
구멍이 나다.
穴ができる。
소리가 나다.
音がする。
불이 나다.
火事が起こる。
얼굴에 여드름이 났다.
顔ににきびができた。
상처가 났다.
傷ができた。
자동차가 고장이 났다.
自動車が故障した。
큰일 났다.
大変なことになった。
연기가 자욱이 난다.
煙が立ちこめる。
[(感情・心理が)生じる、湧く、立つ]の意味
화가 나다.
腹が立つ。
용기가 나다.
勇気が湧く。
흥이 절로 나다.
自然と心が浮かれる。
일에 싫증이 났다.
仕事に嫌気がさした。
[(ある結果に)なる、(決着が)つく、(結論が)出る]の意味
결말이 나다.
決着がつく。
승부가 나다.
勝負がつく。
끝장이 나다.
けりがついた。
어제 회의에서 결론이 났다.
昨日の会議で結論が出た。
[(ある状態が)現れる、(ある状態に)なる]の意味
현기증이 나다.
めまいがする。
하품이 나다.
欠伸が出る。
재채기가 나다.
くしゃみが出る。
기침이 나다.
咳が出る。
오한이 나다.
悪寒がする。
감기사 들었는지 미열이 난다.
風邪を引いたのか、微熱がある。
[(時間的・空間的に)空く]の意味
시간이 나다.
時間ができる。
앉을 자리가 나다.
座席が空く。
좀처럼 틈이 나지 않는다.
なかなか暇ができない。
[(名声などが)上がる、(うわさなどが)立つ]の意味
소문이 나다.
噂が立つ。
학자로서 이름이 나다.
学者として世に知れ渡る。
[(味・臭いなどが)する、出る]の意味
달콤한 맛이 나다.
甘い味がする。
고약한 냄새가 나다.
いやなにおいがする。
 
 
 
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「得る」(얻다と받다)
 
韓国語の[얻다]も[받다]も、日本語では、「もらう」「得る」というニュアンスの意味をもつ単語である。
しかし、だからといって、[얻다]でも[받다]でも好きな方を使えばよい、という具合にはならない。使い方が決まっているのである。
では、どのような場面でどちらを使うのか、という問題に対しては、実際には決まっているとは言え、残念ながらそのルールを簡潔に説明できるような解は見当たらない。
一つずつコツコツと身につけていくしかないようである。
 
[얻다]と[받다]を、どういう場面でどちらを使うかに関して、数学的な解はないにしても、目安になる一般的ルールを提供することができる。
即ち、[얻다]は能動的なニュアンスを持っており、自分(主語)が望んで「貰う」、あるいは、ねだって手に入れる(「得る」)という場面で使われる。
一方、[받다]は、反対に受動的なニュアンスを持っており、相手から与えられて「貰う」、あるいは、外部からの影響を「受ける」、という場面で使われる。
 
[얻다で表現する場合]
 
[もらう、いただく]の意味
이웃집에서 꽃씨를 얻다.
隣の家から花の種をもらう。
휴가를 얻다.
休暇をもらう。
[(信用・慰めなどを)得る、受ける、(許可・承認などを)得る]の意味
승인을 얻다.
承認を得る。
국민의 지지를 얻다.
国民の支持を得る。
[(勝利・利益などを)得る、占める]の意味
명성을 얻다.
名声を得る。
이윤을 얻다.
利潤を得る。
[(勇気・自信などを)持つ、得る]の意味
그 일에 자신을 얻었다.
その仕事に自信を得た。
큰 만족을 얻다.
大きな満足を得る。
[獲得する、(夫・妻・婿などを)迎える]の意味
드디어 아내를 얻었다.
とうとう妻をめとった。
신문에서 얻은 지식이다.
新聞から得た知識だ。
[(部などを)借りる]の意味
셋방을 얻다.
間借りする。
 
[받다で表現する場合]
 
[受ける、もらう、取る、受け取る、収める]の意味
아들의 편지를 받다.
息子からの手紙を受け取る。
결혼 선물을 받다.
結婚の贈り物をもらう。
외국 바이어로부터 주문을 받았다.
外国のバイヤーから注文を受けた。
만점을 받다.
満点を取る。
[(書類・申し込みなどを)受け付ける]の意味
입학 원서를 받다.
入学願書を受け付ける。
[(風・日に)当る]の意味
바람을 받다.
風に当たる。
햇별을 받다.
日光に当たる。
[受け応えする、受ける]の意味
전화를 받다.
電話を受ける。
[受ける、こうむる、~される]の意味
초대를 받다.
招待を受ける。
영향을 받다.
影響を受ける。
사랑을 받다.
可愛がられる。
칭찬을 받다.
称賛される。
존경을 받다.
尊敬される。
질문을 받다.
質問を受ける。
나쁜 인상을 받다.
悪い印象を受ける。
쇼크를 받았더니 혈압이 올랐다.
ショックを受けて血圧が上がった。
스트레스를 받다.
ストレスを受ける
 
 
 
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「~のようだ」(모양이다、나 보다と것 같다)
 
日本語の「~のようだ」「~しそうだ」に対応する韓国語はいくつかある。しかし、それらの間には、微妙にニュアンスの違いがある。しかし、その違いは、むしろ日本語の「~のようだ」という表現が比較的あいまいな意味合いで使われることが多いことに起因している。その意味では、韓国語の方が、厳格な使い方を要請しているとも言える。
裏返すと、日本人が、「~のようだ」を韓国語で表現するのは、やや苦痛を感じることになって悩んでしまうことになる。
 
だが、実際には、そんなに悩む必要もなく、ある一つのルールを飲み込んでおけば、あとは比較的スムースにできるのではないかと思う。
そのルールというのは、「~のようだ」という推測の根拠は何か、何か客観的根拠があるのか、あるいは単なる主観的推測なのか、という点に依存している。
以下に簡単に解説を加えよう。
 
[(連体形)+모양이다 の場合]
 
[모양]は、「ようす」の意味であり、用言の連体形について、推量を表す表現である。日本語で「~らしい」「~する(した)ようだ」などに相当する表現である。
この表現は、推測・推量が、客観的事実に基いてなされる、という点が大切である。決してあいまいではない。
そのため、しばしば、[-것을 보니](~を見ると)[-고 하니](~というのを見ると)など、その推測の客観的根拠を述べる表現と一緒に用いられることがある。
 
①먹기 싫다고 하니 배가 부른 모양이다.
食べたくないというところを見ると、お腹がいっぱいのようです。
 
②어깨가 들먹이니 우는 모양이다.
肩が揺れているから泣いているらしい。
 
③그녀는 그 남자에게 마음이 가는 모양이다.
彼女はその男に心が傾いているようだ。
 
④그 사람은 지난 밤에는 술을 마신 모양이에요.
彼は昨夜酒を飲んだようです。
 
⑤늘 오던 그가 꼼짝않는 것을 보니 무슨 탈이 생긴 모양이에요.
いつも来ていた彼が顔を見せないのは何かのっぴきならないことが起きたようです。
 
⑥아직 안 오는 걸 보니 길이 많이 막히는 모양이에요.
まだ来ないのを見ると道が大変混んでいるようです。
 
[(動詞・存在詞)+나 보다、(形容詞・指定詞)+ ㄴ/은가 보다 の場合]
 
この表現の[보다]は、補助形容詞で、「思われる」「推測される」などの意味をもち、(動詞・存在詞)+나 보다、(形容詞・指定詞)+ ㄴ/은가 보다 で推測・推量を表す表現となる。
この表現は、前の[(連体形)+ 모양이다]とほとんど同じニュアンスの表現であり、やはり客観的事実を根拠にした推測・推量を表すことが多いようである。
両者は、表現の置き換えが可能である場合が多い。
 
⑦길이 젖어 있는 걸 보니 어젯범에 비가 왔나 보다.
道が濡れているのを見ると、昨夜雨が降ったらしい。
 
⑧떨어서 사 온 것이라 좋지 않은가 보다.
売れ残りの安物を買ってきたせいで、よくないようだ。
 
⑨병이 그렇게 빨리 나은 걸 보면 그 약이 효과가 있나 봐.
病気がそんなに早く治ったところを見ると、あの薬は効果があるようだわ。
 
⑩날씬해진 걸 보니 다이어트 하나 봐요.
スマートになったところを見るとダイエットしているようです。
 
⑪둘은 결혼했는가 봐요.
二人は結婚したようです。
 
⑫귀가 가려운 것을 보니 누가 내 욕을 하는가 봐.
耳がかゆいところを見ると誰かがおれの悪口を言っているようだ。
 
[(連体形)+ 것 같다 の場合]
 
この表現はさまざまなニュアンスの意味合いをもつ表現で、推測の意味のほかにも、話し手の話の内容を和らげる効果を期待して使う場合も多い。
この表現が推測・推量の意味で使われる場合には、前の二つと違って、話し手の主観的な判断が介入して推測するニュアンスが強い場合が多い。
客観的要素が低い場合には、しばしば、[내 생각에는~](私が思うには~)という文脈で利用し、自分の主観的判断に基いた推測であることを相手に伝えることもある。
日本語の意味は、前二つと同じで、「~(した)ようだ」「~しそうだ」などと表現される。
 
⑬내일은 비가 올 것 같다.
明日は雨が降りそうだ。
 
⑭제 생각에는 그 사람 말이 맞는 것 같아요.
思うに、彼の言葉が正しいようです。
 
⑮당신은 음악의 재능이 있는 것 같군요.
あなたは音楽の才能があるように思えます。
 
⑯나는 잠깐 눈을 감았었는데 그 때 분명히 졸았던 것 같다.
私、しばらく目を閉じていたが、きっと居眠りしていたのだろう。
 
⑰그는 성공할 것 같다.
彼は成功しそうだ。
 
⑱제 생각에는 사고가 난 것 같아요.
私が思うには事故が起きたようです。
 
 
 
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韓国のことわざ
 
 
発行 : 韓国文化研究所
(発行:2013-10-01)
(改訂:2013-10-13)