북촌  (北村)
訪れる人を古の幽玄の世界に引き込んで離さない空間・・・・

ソウルの地下鉄3号線、안국(安国)を降りて、3番出口の階段を上る。道路に出たら、すぐに、左にまがると、そこはもう、북촌(北村)である。
この道をまっすぐ3~4分歩くと、やがて、左手に、북촌문화센터がある(写真、左)。ここは、最初にぜひ、立ち寄りたいところである。 中に入ると、북촌の案内地図があって、無料でもらうことができるから、これを手に入れると、きわめて便利である。日本語版もある。
북촌문화센터で地図を手に入れたら、更に、まっすぐ歩いていくと、高校に突き当たる。
ここは、TVドラマ「겨울연가」(冬のソナタ)で、高校生だった主人公の二人が通った学校で、このドラマのロケで一躍有名になった高校である。この高校に突き当たったら、左手に曲がる。
ここからは、先に、북촌문화센터でもらった案内地図がないと、歩くのが不便である。
あちこちに、한욱が点在しており、その中に、伝統文化を残す施設がいくつかある。そういう한옥がどこにあるかは、地図を見ると一目瞭然である。
道は狭く、しかも非常に入り組んでいて、結構広大で、一度迷うと、迷子になってしまいそうなところである。しかし、地図をパートナーとして、ゆっくりと歩きまわると、美しい伝統家屋を、たっぷりと堪能でき、まさに至福の時間を過ごすことができる。
한옥の中には、伝統的な宮中料理やお茶などを楽しむことができるところもあるし、刺繍、組紐などの伝統芸術にひたることもできるし、また、韓国らしいインテリアやデザインなどの工芸にも、触れることができる。
それらのすべてを見ることは、到底できないが、ポイントを決めて、見逃さないように、歩くことが大切と思う。 計画的に歩かないと、坂道を行ったり戻ったりするのは、辛い。そういう意味では、最初に地図を入手したときに、行きたいポイントに沿って、歩くルートを予め設定しておくと、効率がよいと思う。
한옥には、古えのままの姿のものもあり、最近になって、新しくリフォームされたものもあるし、また現にリフォーム中のものもある。リフォームされた建築は、新しくて、きれいに映るが、しかし、古のままの한옥の方が、趣というか、風情があって、異国人でありながら、ノスタルジーを覚えるのは、なぜであろうか・・・・。
狭くて、高低差のある道は、昔のままであり、古のままの姿の한옥が実によく、調和する。
この북촌のあちこちの道は、どこを歩いても、滅多に人と行き違うこともなく、偶に、観光客と思われる人たちと会う程度である。これらの한옥の多くは、人々が住んで実際に生活している。だから、生活の香りがしていることは事実であるけれど、なぜか、ほとんど生活音がないほどの静寂に包まれている。
不思議な世界である。
ところどころに、ウォーキング案内板があるから、手元の地図とあわせて、参考にしながら歩くとよい。
북촌を경복궁側にでると、大きな通りに出る。これが、삼청동길(三清洞通り)である。この通りにも、様々な伝統的なお店がある。一つ一つ覗いて、見る価値が高い。
例えば、아원공방(阿園工房)は、인사동にも、同じ名前のお店があるが、姉妹でそれぞれが競うようにやっているのだそうで、金属クラフトを中心に、オリジナルデザインの中に韓国の伝統の一端を伺うことができる。
북촌の魅力は、「幽玄」そして「静寂」である。静寂の中に潜む深い趣きは、見る人を、時空を超えた悠遠の境地に引き込んでくれる。
何度訪れても、その都度、新しい古を見せてくれる不思議な空間である。

  
 
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