고인돌공원(コインドル公園)
韓国先史時代の文化遺産を探る・・・・

   全羅南道の順天駅からずっと西方に、주암호(住岩湖)という大きな湖がある。
섬진강(蟾津江)の支流である보성강(寶城江)下流に作られた주암댐(住岩ダム)によって堰き止められた巨大な湖である。
1984年から7年の歳月をかけて完成された多目的ダムである。
このダムにより水没することになった순천(順天), 보성(寶城), 화순 (和順) などの文化遺跡を発掘調査し、再現・展示して作られたのが、고인돌공원(コインドル公園)である。 주암호(住岩湖)の湖畔にある。
고인돌(コインドル)というのは、大きな石を用いて作られた支石墓のことで、世界的に分布しているものであるが、韓国では青銅器時代の代表的な墓である。
普通は屍身を安置した石室の上に蓋石や大きな上石が置かれており、大抵河川の流域や丘陵地に群れを成している。

順天中心部からのアクセスは、きわめて不便である。
順天バスターミナルから63番バスで行くことはできるが、便数が少ないうえ、時間も1時間ちょっとかかる。
見学後の帰りのことも考えなければならないので、タクシーの利用をお薦めしたい。

タクシーには、公園駐車場に待っていてもらうとよい。
公園見学時間は、1時間あまりの所要である。
入口には、[고인돌공원]と書かれた石の板が立っている。(写真 右)
ここを通って、入場券を買って、中に入る。

公園は、さして広いわけではないが、さまざまなコインドル、住居跡などが多数野外展示されているので、最初に園内全体の案内図を掲げておく。
この図は、公園でもらった日本語版パンフレットから転写したものである。


展示されているコインドルは、それぞれが、どこで発掘されたものなのか、明記されている。
いろいろな形のコインドルがあるように見えるが、石室と上石の形によって、3種類に分類されるようである。
石室が土の上に現れている북방식(北方式)、石室が土の中にある남방식(南方式)、そして、石室の上に蓋石がそのまま直接置かれている개석식(蓋石式)の3種類である。
下に、いくつかの写真を掲げておく。



園内には、「遺物提示館」と「墓制展示館」とがある。
「遺物展示館」には、コインドルの石室や模型、出土遺物の複製品などが展示されている。
また、「墓制展示館」には、青銅器時代から百済時代にいたる墓制の模型、コインドルや古墳の分布などが展示されている。
立ち寄って、見学すると参考になる。

고인돌공원(コインドル公園)では、コインドルのほかに、先史時代の住居が展示されていて、大変興味深い。(写真 下)

(旧石器時代の住居)

(新石器時代の住居)

(青銅器時代の住居)

旧石器時代の人々は、洞窟や岩陰、野外居住地で生活していた。
しかし、新石器時代に入ると、土を掘って柱を立てて生活するようになった。
さらに、青銅器時代には、住居内部の空間をさまざまな形に変化させて、住み易いように工夫されるようになった。
人々の知恵が次第に高度になっていくのだが、展示されている復元模型の中には、入ることができないので、詳しい状況は展示館で見るのがよい。

こうして、公園内部をぐるりと一周して戻ると、およそ1時間程度の時間を要する。
ゆっくり見ているときりがないが、貴重な展示資料である。
고인돌공원(コインドル公園)は、時間があったら、ぜひ立ち寄りたい場所の一つである。


(2012年6月)

  
 
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