建国以来伝わる家系の流れ・・
韓国家庭の姓と本貫
|
日本には[姓]の種類が30万種類以上もある。
しかし、韓国では、280種類程度で、人口に比べて、きわめて少ないのが特徴である。 だから同じ[姓]の人がおどろくほど多い。たとえば、韓国で最も多い[姓]は、[김](金)であるが、金さんは、実に、全国で約1000万人に達する。全人口の5人に一人は金さんである。 これは、韓国の[本貫]と呼ばれる戸籍制度と無関係ではない。 有史以来、地域の王なり高官の人などが、ある[姓]を創始すると、代々それが子孫が受け継がれてきた。そして、その発祥の地名と姓とを組み合わせて、[本貫]というものができあがった。 たとえば、伽耶の김해(金海)の王様が創始した[김](金)という姓は、[김해김씨](金海金氏)と呼ばれる本貫なのである。 そして、その氏族はすべてが[김](金)の姓を名乗ってきて、今日に至っている。だから、[本貫]がわかれば、その人の家系を辿って遠い祖先の出身地がわかるわけである。 つい最近まで、[同姓同本不婚]といって、同じ[姓]ををもつ、同じ[本貫]をもつ男女の結婚は、法律で禁止されていた。これは、いわば、近親結婚を避けることが目的のようであるが、遺伝子学的にあまり根拠のない場合が多くなってきている。 そのため、最近になって、韓国の民法が改正され、この[同姓同本不婚]制度が廃止され、新しい家族制度が誕生した。 現在では、8親等以内でなければ、本貫が同じ同姓の男女の結婚は、合法的に認められている。 韓国のいわば儒教思想の一角が、また崩れたような感じがするが、現実的な改革が行われたものと理解できる。 |
韓国人の성씨(姓)
日本の姓は、[佐藤][鈴木][高橋]・・・・などおよそ30万種類という膨大な種類がある、とのことである。
しかし、韓国では、姓の数はおよそ280種類(2000年現在)であり、日本と比べると桁違いに少ない。 しかも、特定の姓がきわめて多く、上位5種類の姓で、国全体の50%以上を占めているというから、独特である。 以下に、その上位5種類の姓を記す。これは2000年韓国統計庁の発表データに基づくものである。
これを見てわかるように、上位3氏の[김](金)、[이](李)、それに[박](朴)の姓で、韓国全体の45%という圧倒的多数を占めている。 実に5人に1人は金さんであるから、人ごみの中で「金さん」と呼ぶと、おどろくほどたくさん人が振り向くに違いない。 参考までに、韓国では日本と違って、姓だけで呼ぶのは大変失礼なことである、とされている。したがって、現実には、「金さん」という呼び方はしてはならない、ということである。必ずフルネームで呼ぶのが礼儀である。 |
家系始祖の発祥地を表す본관(本貫)
韓国では、家系の出身地を示す[본관](本貫)があり、大変重要な役割を果たしている。[본관](本貫)とは、その氏族集団の発祥の地を示す戸籍制度である。つまり、戸籍制度が個人の単位のものでなく、氏族の始祖の発祥地を意味するものとして使用されてきたのである。
氏族の始祖以来の系図は、족보(族譜)と呼ばれ、何冊かの本になって、家庭に大切に保管され、家系に変動が有るごとに加筆改定されている。(写真 右) 韓国の姓は、280余りと少なく、しかも、[金][李]など五大姓に50%以上の人口が集中している。 そのため、単に姓だけではなく、始祖の出身地を示す[본관](本貫)と組み合わせることによって、その宗族が特定される仕組みになっている。 本貫は、全部で4000種類あまりある、とされている。 例えば、最大姓の金氏は285個の本貫があるという。金海を本貫とする伽耶王族系の金氏は、[金海 金]氏といい、新羅王族系の金氏は慶州を本貫とし、[慶州 金]氏というように呼ばれる。 したがって、同じ金氏であっても、本貫が異なれば、血縁関係はないものと見做される。 人口が多い順に上位5位までの本貫を下の表に示す。この表は2000年韓国統計庁のデータに基くものである。
この表からわかるように、韓国の本貫は、上位5位で、人口全体の30%近くを占めていることになる。 かって、韓国では、[同姓同本不婚]という制度があった。つまり、本貫が同じで、同じ姓をもつ男女の結婚は認められない、という法律である。 しかし、1997年、韓国憲法裁判所の判決により、[同姓同本不婚]制度は無効である、との判断がなされ、現在では、同姓同本であっても、自由に結婚することができる。 ただし、8親等内の親族同士の結婚は法律によって、認められていない。因みに日本では3親等以内の親族の結婚は認められていないから、韓国の婚姻はやはり厳しいものがある。 |
韓国における성씨(姓)・본관(本貫)と結婚
韓国には、古くは[동성동본불혼](同姓同本不婚)という制度があって、姓が同じで本貫が同じ男女の結婚を民法で禁止していた。
これは、同族の血が一緒になって、子孫に遺伝的に障害が生じることを避けることが狙いであったと言われている。 しかし、1997年韓国憲法裁判所が、この民法の規定は不合理であるとの判断を下し、2005年3月末で、この条項は廃止になった。 これに基き、現在では、同姓同本であっても、自由に結婚できるようになった。 ただし、8親等以内の親族の結婚は、現在でも、認められていない。 因みに日本では、3親等以内の結婚が禁止さけているのと比較すると、やはり随分と厳しい制約である。 韓国では、結婚しても、基本的に男女とも姓がかわることはない。 ところで、2008年1月、韓国では民法が全面改定され、これに伴って、それまでの戸籍制度が廃止され、新しく家族関係登録簿制度が発足した。 従来、生まれてくる子供の姓は、父方の姓を使用することに限られていたが、新民法では母方の姓を使用できる、という点が画期的な変更点である。 時代に即応した新しい制度が取り入れられ、大きな変化が見られる気がする。 どこの国でも同じであるが、子供の名前には流行がある。 韓国では、漢字を使った名前が主流であるが、1990年代、韓国固有語による名前が流行した。固有語であるから、該当する漢字が存在しないのである。つまり名前を漢字で書くことができない、という意味である。特に女の子については、固有語の美しい響きの名前がたくさん見受けられる。 しかし、最近になって、再び、漢字語復活の動きが見られ、それにつられて、子供の名前も漢字語の名前が増えているそうである。 韓国は過去、漢字を奨励したり、排除したりの歴史を繰り返してきた。現在でも、漢字教育を受けていない世代は、かなり多い。だが、近隣の日本との関係にせよ、中国との関係にせよ、漢字を媒体とする機会が増大する中で、漢字を排除することは、現実的ではない、との考え方が広まっている。 |
|