バスに鉄道に・・
網の目のような韓国交通網
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海外旅行者にとって、いつも悩みの種は移動手段である。
個人旅行をする場合には、目的地にどのように移動するのが合理的であるか、事前に十分に検討して決めて行かなければ、現地で戸惑うばかりである。 地理も言葉も不案内な一般旅行者は、思わぬ事故防止のためにも、詳細な計画を練って行くべきである。 韓国の交通網は、観光旅行だけを考えるなら、比較的発達している国である。 だが、交通は便利さの裏に、危険も伴う場合がある。 できれば、信用のできる現地の人や、旅行経験者の意見を聞いて、安全姓、経済性、日程などを総合的に判断して、最も的確な手段をとることが望ましい。 |
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バスと鉄道の韓国交通網
韓国を移動するとき、どうしても、利用しなければならないのが、バスと鉄道である。
かつては、長距離移動はバスを利用するものと、考えられていた。しかし、KTXの開通により、この考えた方は変わってきている。 KTXがない時代、韓国の交通は、鉄道よりむしろバスによって支えられてきた。 韓国のバスには、二つの役割がある。 一つは、主要都市の間を結ぶ直行バスの運行である。 ソウル-釜山などの長距離路線のバスである。 鉄道に比較すると安価で便数も多く便利であった。各主要都市には、市外バスターミナルがあって、ソウルをはじめ、市外の主要都市と直行で結ぶターミナルになっていた。その事情は現在でも変わりはない。 バスの役割のもう一つは、いわゆる市内バスて゜ある。地域内の足として、まさに、[道路のあるところバスがある]というほど、縦横に巡らされたバス路線が庶民の生活の足となることである。 いわゆる路線バスとして、その地域をくまなく運行している姿は、見事というほかない。 通勤に通学に、市民がどれほどの恩恵を受けているか知れない。 しかし、外国人旅行者が、この市内バスを気楽に利用するのは、やや抵抗がある。どこをどのように運行しているかは、路線番号に頼るのだが、外国人には不安である。必ずしも停留所にきちんと止まらず少し離れた位置に止まることもあるから、停留所への到着を待っていると、通り過ぎてしまうこともある。 それに、降りる停留所の名前も、相当韓国語が達者でないと、聞き取りにくい。 市内の移動なら、地下鉄とタクシーの利用が安全である。
韓国の交通網として、最近急速に発達・変貌を遂げているものに鉄道網がある。
それは、KTXの開通と路線の拡張である。 もちろん、従来の在来線の汽車も運行されているが、KTX網の拡充と共に、徐々に在来線は減ってきている。 長距離直行バスに比較すると、運賃は高いが、時間が早くて便利である。乗り心地は、日本の新幹線に比べると、あまりよくはない。しかしソウル-釜山の間を、わずか2時間30~40分程度で結ぶから、それほど苦痛には感じない。 その上、運行間隔も短くて、利用しやすい。 韓国で長距離を移動するなら、やはりKTXに限る。
主要都市で市内を移動するなら、地下鉄が便利である。外国人にもわかり易い。
韓国では、ソウル特別市を除いて、人口100万人以上の都市は[광역시(広域市)]の指定を受けることができる。現在は、 全部で6都市が[광역시(広域市)]となっている。 即ち、부산(釜山広域市)、대구(大邱広域市)、인천(仁川広域市)、광주(光州広域市)、대전(大田広域市)、それに울산(蔚山広域市)の6都市である。 この中で、울산(蔚山広域市)だけは、現在地下鉄がないが(計画はある)、他の広域市はすべて地下鉄網が完備している。 運賃が安く、市内の主要な町と接続しているので、便利である。 なお、수원(水原市)と창원(昌原市)は、人口が100万人を超えているが、広域市にはなっていない。 수원(水原市)はソウルの地下鉄1号線が運行されているが、창원(昌原市)はKTX、在来鉄道の他には市内バスしかないのでやや不便である。
短時間であちこち観光するならタクシーが安くて便利である。
一般タクシーと模範タクシーと呼ばれるものがあるが、ソウルなど一部を除くと模範タクシーは見当たらない。 外国人が一般タクシーを利用するのは、不当な料金を請求されたり、安全上問題がないわけではないので、[個人タクシー]を利用すると、比較的安全である。 個人タクシーは、屋根の上に[개인(個人)]という表示がある。
韓国で航空機を利用するのは、제주도(済州島)への移動くらいである。
地方空港があちこちにあるが、国内線を利用する必要はまったくない、といってよい。 |
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便利だが不便な交通カードの改善
日本の鉄道・バスなどで使われているプリペイドの交通カードsuicaやpasmoと同じように、韓国でも交通カードが流通している。
ソウルではじまったT-money(티머니)、釜山で始まった하나로(ハナロ)、마이비(マイビ)を中心にして、韓国各地で続々と交通カードが誕生した。 日本と違って、韓国では、交通カードを使うと運賃が10%ほど割安となる、というメリットがある。だから、韓国の多くの人々は、交通カードを利用している。 1区間1050ウォンの料金が950ウォン程度に割引されるのである。 韓国の交通カードは、地下鉄などの鉄道やバスで利用することができる。 したがって、ある都市で地下鉄が運行すると、その地域固有の交通カードが誕生することが珍しくない。 その結果、韓国では、都市こどに固有な多数の交通カードが使われている。 その結果、韓国全国で見ると、互換性のない地域固有の交通カードが多数誕生してしまったのである。 利用者から見ると、大変不便なことである。 T-money(티머니)、마이비(マイビ)は、主流交通カードとして、利用できる地域が多いが、その他のカードは利用が特定の地域に限られているものが多い。 運よく他の都市で利用できたとしても、今度はお金をチャージする機械がなかったり、コンビニに行かなければチャージできないなど、結構不便な面もある。 韓国国土交通省は、この不都合を改善すべく、2014年を目途に、交通カードを全国共通のものにすることを決めた。 従来のカードとの互換性は、ある程度維持されることと思うが、これは、当然の判断であろう。 海外からの旅行者にとっても、訪問都市ごとに、交通カードが違っているということは、大変不便なことである。したがって、今回の決定は、歓迎すべきものである。 |
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