やっぱり、こんなに違うけれど・・
最近の韓国の家と暮らし
韓国の住宅事情は、日本とは大分異なっており、大きく3種類くらいに分類される。
それらは、[단독주택](単独住宅)、[아파트](アパート)、[빌라](ビラ)である。
[단독주택](単独住宅)は、日本でいうといわゆる戸建住宅のことで、韓国でも昔はすべてこの種類の平屋住宅であった。
[아파트](アパート)というのは、日本のアパートとは意味が違い、高層住宅のことを指し、日本のマンションに相当する。
[빌라](ビラ)は、5階建て以下くらいの低層住宅で、日本でいうアパートに相当する。

韓国の若者たちが故郷を離れ、都会に出てきて核家族化が進むと、住宅の絶対的な供給量が不足してきて、いきおい、高層アパートが建設されてきた。きれいで便利な高層住宅は超人気になり、価格も高騰して、特にソウルの강남(江南)では、高嶺の花となっているほどである。
[빌라](ビラ)は宅地に余裕のある地域やリゾート地で富裕層の人たちが保有する洒落た高級住宅や、都会の低層住宅として建設されたりしている。
韓国でみられる戸建住宅は、都会周辺とか、農村地帯などの比較的土地に余裕のある地域に限られているようである。もちろん伝統的な建物はすべて戸建住宅である。

このページでは、韓国の住宅と、その暮らしについて、簡単にふれてみたい。
高層アパート(아파트)が好き
右の写真のように、高々と聳えるビル・・・これが韓国でいう[アパート(아파트)]、日本のマンションに相当する建物である。
ソウルの江南(강남)にある1等地の高層アパートなら、最低の100㎡で7~8千万円するから、庶民には手がでない高級アパートである。地域により価格の差こそあれ、需要に押されて、このような高層アパートが韓国主要都市のあちこちに乱立する。
参考までに2013年1月現在で1㎡当りの売買価格を調べてみると、ソウル강남地区で870万₩、강북地区で500万₩、釜山市では270万₩、・・韓国全国平均で270万₩という感じである。ここ数年激しく暴落して、少しは購入しやすくなったというが、逆に資産として保有している人には、大打撃だということである。
日本のアパートに相当する2~3階建ての低層アパートもある。しかし、高層アパートに住むことが韓国民のステイタスであるというから、指を咥えて眺めている人も多いことだろう。

さて、そのアパートの中に入ってみる。
左の間取り図は、ごく平凡な3LDKのアパートの間取りの一例である。
(図をクリックすると大きな間取り図がご覧いただけます)
①玄関(현관)
②ベランダ(발코니)
③リビング(거실)
④キッチン(주방)
⑤バス・トイレ(화장실・욕실)
⑥寝室・個室(침실)
寝室・個室のうち、一番大きな部屋は、特に안방(アンパン)と呼ばれ、その家の最も年長者や夫婦が使う部屋である。左の間取り図では、右下の[침실1]が안방(アンパン)である。
図からわかるように、玄関を入ると、すぐにリビングに直結しており、その周囲に各部屋がぐるりと配置されている構造であり、廊下がないことが特徴である。
つまり、どこに行くにも、一旦リビングを経由することになる。
部屋数に応じて、床面積が増減することはいうまでもないことであるが、大抵は、ベランダが2ヶ所以上あり、トイレが2ヶ所以上備わっているようである。

韓国の昔の家は、いわゆる戸建(단독주택)であったので、間取りやその機能も現代とは、大分異なっていた。
韓国でも、核家族化の進行にともなって、住宅構造も変化してきていることは間違いないことである。
もちろん、生活様式の変化も一体になっていることは事実であろう。
          
          
キムチ冷蔵庫は必需品
韓国の家庭には、ほとんど[キムチ冷蔵庫]という聞きなれない名前の冷蔵庫があるという。 文字通りキムチを保管する専用の冷蔵庫である。
だから、韓国の家庭では、一般の冷蔵庫と、キムチ冷蔵庫と2台の冷蔵庫が設置されていることになる。
このキムチ冷蔵庫は、右の写真のように、外観を見る限り、普通の冷蔵庫と何らかわりがないが、扉をあけると、まったく違う構造になっている。

キムチ冷蔵庫もサイズは多様で、家族の人数や食べる量によって、必要な大きさのものを購入する。
200ℓから800ℓくらいまで、いろいろ売られている。
キムチ冷蔵庫の内部は、多数の小部屋に仕切られていて、キムチを入れた密閉容器がいくつも収納できるようになっている。
いろいろな種類のキムチがあって、しかも、長期保存ができるように温度がコントロールされ、食べるとき順番に取り出せるようになっている。
価格は一般冷蔵庫と大差ない。大きさによって、数万円~20万円程度。

昔から、韓国の家庭では、김장김치(キムジャン・キムチ)といって、晩秋になると、家族が一冬に消費するキムチをまとめて漬け込んで保存しておいて、越冬する風習がある。これは、家族・親戚・近所の人たちが総動員でやらなけばならない大仕事である。最近は、特に都会の若い人たちを中心に、このように김장김치(キムジャン・キムチ)を漬けることも次第に少なくなっているようである。
そして、マート(スーパー)やデパートに行けば、いつでも、いくらでも、キムチを買うことができることも、拍車をかけているようである。
しかし、韓国では、キムチに”家庭の味(おふくろの味)”とでもいうべきものがあって、市販のキムチの味は口に合わない、という人も多いという。だから、キチムを食べるときには、家庭の伝統の味が欲しくなるのである。
それでいて、一方では、若い人たちを中心に、辛い物が苦手で、キムチ離れが進んでいるともいう。
まことに、矛盾に富んだキムチ趣向であるので、このような中で、キムチ冷蔵庫が将来どうなっていくのかは、まったく見当もつかないことである。
韓国の電気メーカは、ひたすら、いろいろなキムチ冷蔵庫を作って、販売に努めているようであるのだが・・・・。