2005年10月28〜30日 久しぶりに相棒のスーさんと遠出の鳥見行。 今回の目的地は、韓国と北朝鮮の国境の前後2kmずつ(下の図の黄色い部分)設けられた非武装地帯の韓国側(白い点線との内側)にある民間人統制地帯(DMZ、 Demilitarized Zone)内にある鉄原(チョルォン)。民間人の出入りが制限されている ため自然が良く残っているため、韓国で越冬するマガン約20万羽が一旦集結する他、マナヅルやタンチョウなどのツル類やクロハゲワシの群が越冬するという。当然、こういう場所に二人だけで入り込むことは出来ない訳で、いつも利用しているワイバードのツアーに 混ぜてもらったわけです。どういう 訳なのかは判らないのですが、二人で遠出すると天気が悪かったり、天気が良くても目指す鳥が出なかったりというケースが多いんだけど、さて、今回はどうなりますことやら…。
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10月28日(金) 朝6時45分にスーさんをピックアップ。車を成田空港近くの500円パーキングに預けて、9時20分発のKAL(大韓航空)706便に乗り込む。成田−仁川(インチョン)間はわずか3時間弱。機内食をビールと一緒に流し込んでいるうちに 着陸してしまう(本当に近い国だ)。 イミグレーション は無事に通過、預けた荷物を受け取ってみると、スーさんを含む複数の同行者のトランクに日本で駐車違反の時に付けられるような黄色い鍵が取り付けられていた。どうやら、トランクの中に入れていた望遠レンズやプロミナに不審がもたれたようで、スーさんはすごすご別の通関窓口に。 我が荷物にもショートズームを1本入れていたのだけれど、お咎めはなかったことからすると、ある程度の大きさ以上のレンズ類は一律にチェックという決まりがあるようだ。係官に「 この道具は何に使うのか?」と聞かれたスーさんは、「バード・ウォッチング」と答えても通じず、咄嗟に、「들새( セイ、野鳥のこと)・ウォッチング」と答えたら理解してくれ、何とか通してくれたとのことで、韓国に出かけるバード・ウォッチャーは 、預けるトランクにレンズやプロミナを入れないこと、もし入れるときは、「セイ・ウォッチング」という言葉を覚えておくと良いようであります…。 そんなすったもんだのため、空港を出で貸切バスに乗り込めたのは1時過ぎ。ソウルの町並みを横目に見ながら北漢山(プッカンサン)国立公園へ向かう。 添乗の山本さんの話では、仁川に着いた日本人ツアーの中でソウルに寄らないのは、唯一ワイバードのツアーだけなんだって。 北寒山には広葉樹と針葉樹が混じった気持ちの良い自然林が広がっていて、日本のように一面が杉の造成林という場所はほとんどない。そんな林 で、目の前をハシブトガラ、シジュウカラなどの カラ類の混群が移動してゆくのを楽しむ。ゴジュウカラやキバシリも少数混じってい た。韓国にはハシブトガラしかいないので、コガラとの識別なんていう面倒くさいことはなく楽チンそのものだが、北海道で見るハシブトガラと違って、こっちのは背の色がやや茶が強い感じが する。1時間ほど観察してバスに戻り、一路鉄原へ。途中は、稲刈りが終わった広大な田園地帯で、そのあちらこちらでマナヅルやタンチョウのファミリーが寛いでいる姿が見られる。 6時前に鉄原に到着。DMZに通じている各道路にはゲートが設置されていて、マシンガンを携帯した兵士が警備している。ゲート前で、現地のガイド(鳥屋さん)2名が合流して宿に向かう。簡単な夕食の後は、免税店で仕入れたウイスキーと冬のソナタに出てきたという韓国焼酎でとりあえず乾杯。
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イエロー・カード:これがレッドだったら即退去? |
北寒山(ブッカンサン)国立公園 |
ハシブトガラ:日本のものより褐色 味が強い |
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10月29日(土) 朝5時半、宿から徒歩15分ほどのマガンやヒシクイの塒になっている貯水池に向かう。貯水池に着いた時には、鼻を摘ままれても判らないような真っ暗闇だったが、少しずつ明るくなるにしたがって、貯水池の中央部に いる夥しい数のガンの群が見えるとようになってきた。6時を回った頃から、ガンたちの動きが激しくなり、飛び立ち始めた。日本を出る前に、伊豆沼のような感じで20万羽のガンの群が一遍に飛び立つ光景を頭に描いて、ショートズーム(28-70mm)を用意してきたんだけれど、こちらのガン達の流儀は日本と違うようで、数百羽単位で飛び立ち、それが延々と繰り返されるというパターンだった。次から次へと数百羽の群が頭の上を通過してゆくシーンには感動 したものの、これを記録するにはムービーしかないようで、どうにもスチール写真屋さん泣かせ。 いったん朝食のために宿に戻って体を温め、バスで鉄原内の野鳥を探し回る が思ったほど鳥の数は多くない。しかも、この位置から向こうに行ってはいけないとか、軍事施設や北側にはレンズを向けてはいけないとかの制約が結構あり、フラストレーションが溜まる(はるか上空にいる偵察衛星が1m以下のものまで識別してしまう時代になんとも可笑しな感じがするんだけど…)。 運が悪いことに、お目当ての一つだったクロハゲワシは暖冬のために到着が遅れていて、今のところ3羽しか来ておらず、場所 も特定できないという。「スーさんとの二人旅における悪いジンクス…」という言葉が頭に浮かぶ…。 それでも、マナヅルの大群や、オオタカ、ハイタカなどが目の前を横切ったり、午後遅くに再度訪れた貯水池ではハクガン1羽を発見 したりでそれなりに楽しませてもらった。そして、最後には、日本ではめったに見られないダルマエナガの40羽ほど の群れが近くに来てくれて、何とか帳尻は合ったようだ。
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マガン:こんな感じが延々30分続く |
マナヅル:この画面だけで45羽 |
ハイタカ |