Dec. 18-22, 2004  サイパン&ロタ3泊4日プラス1

 

■Dec. 18(サイパン)

 3泊4日で北ミクロネシアのサイパン 島とロタ島にいる野鳥を全部見てしまおうというワイバード主催のバード・ウォッティング・ツアーに参加した。南洋の小島の真っ青な空の下でユッタリと鳥見をもくろんでいたのだけれど、数日前からチェックしていたインターネット天気予報は台風28号TARASの接近のため、「晴れときどき曇り」の最終日以外は、全て「曇り一時雨」 、ところどころに「Thuder Storm」なんていう不吉な文字が加わっている。それもこれも、この年末のクソ忙しい時期に仕事をほっぽり出して鳥見行に出かけてしまうノー天気男(私のことです)への戒めのような気もするんだけれど、まあ、現地に行ってしまえば何とかなるのではと淡い期待を持って自宅を 出発。今回の機材、ボディはD1マークUと20D、レンズは400mmと600mm、それに三脚が入ったスーツケースが加わり、相変わらず引越し、あるいは夜逃げのようなカッコウです。

 8:30、成田第1ターミナルにツアーの一行19名が集合、10:30発のNWで一路サイパンへ飛ぶ。予定より15分ほど早く着いたんだけど、入国審査に手間取って、ホテル(日航サイパン)に着いたのは16時を少し廻っていた。部屋に荷物を放り込んで、早速ホテル周辺をうろつく。曇り空で湿度が高い。このホテルは繁華街からやや離れているせいか敷地内でも鳥密度が比較的濃く、玄関を出たところでマリアナメジロの群れに遭遇、ミクロネシアミツスイオウゴンミツスイもチョコチョコ姿を現す。ホテルを出てすぐのところの電線にナンヨウショウビンが止まっている。5分ほど歩いたところでは木の上にシロアジサシが子育て 中、その1m上の枝にはコバシヒメアオバトが止まっている。民家の庭からはヨシゴイが飛び出し、カラスモドキが その姿からは想像できないようなキレイな囀りを披露、スーパーマーケットの駐車場の芝生の上をオオベニバトが歩いている。結局、夕食前のわずかな時間でサイパンで見られるほとんどの野鳥を見てしまったわけだが、天気のせいもあって、この日まともに撮影できたのはナンヨウショウビンだけでありました。

 

   

ナンヨウショウビン(Collared Kingfisher)


■Dec. 19(サイパン→ロタ)

 6:15頃に空が明るくなる。ところどころに青い空がのぞいているが、低いところを黒雲がゴンゴン飛んで行き、いかにも台風接近を告げている。朝食後、再度ホテル周辺をうろつ こうと外に出るが、すぐに強い雨が降り出したためホテルへ戻る。しょうがないので、雨の当たらないホテルのバルコニーに陣取って、付近の木をソングポストにしているミクロネシアミツスイと遊んでもらう。花の蜜を吸うためか 、メジロと同じで舌が長いのが良く見えた。

 11:30のNWでロタへ渡る。使用機材はショーツSD3-60という30人乗りの双発ターボプロップ・プロペラ機。機体の断面がほぼ真四角で、なんとなくハコフグを連想させる。30分ほどの飛行で無事ロタに到着。空港に迎えに来てくれた車3台に分乗してココナッツ・ビレッジ・ホテルへ。ホテルへ向かう途中、かなりの頻度でナンヨウショウビンオウチュウが電線に止まっているのが見える。

 昼食を食べて、まずは、バード・サンクチュアリと呼ばれている海鳥の繁殖地へ。その名のとおり、崖下のブッシュでは数え切れないくらいのアカアシカツオドリが営巣している。、目の前をアカオネッタイチョウが横切り、マリアナオオコウモリが飛んできて枝に止まる。このコウモリ、果実を主食にしていて肉が美味しいそうで、ロタではぶつ切りにしてスープにするとのこと(機会があれば食べてみたいものです)。 時おり強い雨が降り、カメラのレインカバーが手放せない。

 海鳥を堪能したあとは千本椰子へ移動。移動途中、かなり近い木に止まっているムナジロバトを見つけてレンズを向けるが、フォーカス・エリアを15〜∞に設定していたため合焦せず、設定をなおしている間に飛ばれてしまった(ウ〜ン、残念)。千本椰子では、同行講師の中野泰敬さん、添乗の山本幸正さん、そしてツアーの皆んながコバシヒメアオバトを探してくれている間、お助けられカメラマン (私のこと)は、周りをちょろちょろしているオウチュウオオベニバトを撮影していた。ほどなく、「いたよ〜」 の声で駆けつけると、幾重にも重なった樹葉のちょっとした隙間から、コバシヒメアオバトが見え ている。頭頂が赤、背は緑 で青い模様があり、腹は黄色と、字に書いただけではなんともド派手な感じなのだけれど、実際はとてもシックな鳥で、林の中に溶け込んでいた。これを独りで見つけるのは かなりしんどい。皆んなに感謝です。

 18時前に切り上げてホテルに戻り、シャワーを浴びた後、ステーキとビールで乾杯。

 

ミクロネシアミツスイ(♂)

(Micronesian Honeyeater)

サイパンとロタを結ぶ30人乗り双発機

(ショーツSD3-60)

アカオネッタイチョウ

(Red-tailed Tropicbird)

コバシヒメアオバト

(Mariana Fruit-dove)

オオベニバト

(Philippine Turtle-dove)

オウチュウ

(Black Drongo)


■Dec. 20(ロタ)

 夜中に猛烈な風雨があったようだけれど、ちっとも気がつかずに爆睡していて、目が覚めたら、台風は去っていた。

 朝食前に、再びバード・サンクチュアリへ行くとのことで、集合前にホテル前のビーチを散歩していたら4羽のオオグンカンドリが飛んでくるのが見え、慌てて400mmを取りに部屋へ走り、なんとか撮影。バード・サンクチュアリ周辺でも地元の方が珍しいというほどオオグンカンドリ が多い。どうも、台風の影響があったようでラッキーなようだ。多くは若鳥だが、時おり、喉袋が赤く全身真っ黒な♂成鳥が混じっている。目の前に来た個体を写そうとカメラを向けるが見事にバッテリー上がり。こういう時、デジカメは手も足も出ず、ただ眺めるだけの1時間を過ごすことになったが、光線状態がよくなる午後に戻ってくることになっているので、余裕のヨッチャンである。崖下を オウチュウの繁殖圧のため絶滅が危惧されているクバリーガラスが1羽飛ぶ。

 朝食後は、サバナ高原へ。我々が乗った車は、出発直後からなんか調子が悪く、クーラーの風が急に熱風になったり、半ドアでもないのにルームランプが点滅したり、坂でエンジンが吹かなかったりと、運転をしていた山本さんは苦労していたが、高原への急坂を登り切ったところで、なんか嫌な臭いが車内に流れたナと思ったとたん、ついにラジエターホースが破裂。もうもうとした水蒸気の中、車外へ脱出。ビデオで撮っておけば、川口浩探検隊 の一場面にでも使えそうな瞬間でありました(ちょっと、古いか?)。 しばらく現場に立ち往生して、別の車に迎えに来てもらう。周囲は湿度が異様に高く、虫除けの効果もなく露出している部分を待ち受けていた蚊に満遍なく刺されてしま う。

 午後は、島内を廻る一行と別れてバード・サンクチュアリに置き去りにしてもらい海鳥を満喫。オオグンカンドリが次々に姿を現し、アカオシラオネッタイチョウが飛び回っている。 昨日はあんまり近くに寄ってこなかったカツオドリも目の前を横切り、不思議そうにレンズをのぞいてゆく。フル充電が完了した1DマークUが 嬉しそうにシャッター音を鳴らし、ニコニコ顔で3時間を過ごす。

 17:00頃にホテルに戻り、シャワーを浴びて、シーフードのBBQとビールで乾杯。とにかく、ドンドン汗をかくので、この島に来てからビールの消費量がやたらに多い。

 

オオグンカンドリ(成鳥♂)

(Great Frigatebird)

オオグンカンドリ(若鳥)

(Great Frigatebird)

アカアシカツオドリ

(Red-footed Booby)

マリアナオオコウモリ

(Mariana Fruit Bat)

カツオドリ

(Brown Booby)

シラオネッタイチョウ

(White-tailed Tropicbird)


■Dec. 21(ロタ)

  ツアー最終日。昨日、島内を一周したメンバーが千本椰子でコバシヒメアオバトを良い条件で観察、シロアジサシの交尾も楽しめたとのことで、山本さんに無理を言って出発前の2時間、千本椰子に連れて行ってもらう。着いてすぐに、シロアジサシの番が結構条件の良い場所に止まっている。近くの岩礁ではクロアジサシの群れが羽を休めている。一生懸命コバシヒメアオバトを探してくれている山本さんには申し訳なかったけれど、これらの鳥を撮影。わがままカメラマン(私のこと)をどうかお許し下さい。

 11:30にホテルに戻って荷物をまとめ、ロタ空港へ。例のハコフグ機が定刻に到着、荷物を積み込んで、さあ搭乗。と思っていたら、なかなかお呼びがかからない。そのうち荷物を降ろし始めたので、???と思っていたら、空身のままサイパンへ帰って行ってしまった。どうも機体の調子が悪く、一旦、サイパン空港で修理をするようだ。最初は1時間40分ほどの遅延とのことだったが、時間が二転三転し、NWの係員が「今日止まるのはロタが良いか、それともサイパンが良いか?」などと聞いて回り出した。これで完全に今日の帰国はなくなった。一生懸命馬鹿頭内に収納してある明日の仕事予定を検索するが、幸いなことに大した予定は入っておらず一安心。あとは、山本さんにお任せするだけだ。

 結局、18:00に戻ってきたハコフグ機で無事サイパンへ。繁華街にあるホテルに到着後、会社に電話して事情を説明、NWが出したミールクーポンを使ってお刺身定食をつまみにビールで乾杯。

 

カラスモドキ

(Micronesian Starling.)

ナンヨウショウビン

(Collared Kingfisher)

シロアジサシ

(White Tern)

クロアジサシ

(Brown Nobby)

空身で帰るSD3-60


■Dec. 22(サイパン)

  絶好の鳥日和。我々がのんびり朝食を食べている間に、中野さんと山本さんが付近を歩き回って作ってくれた即席探鳥コースを午前中廻る。ホテルのまわりはモロに観光地なのだけれど、ちょっと離れる と鳥密度が濃い。初日のサイパンでブレブレのカットしか撮れなかったオウゴンムシクイ、ロタではチョロチョロ動き回って撮影が出来なかったオウギビタキ、そして腕が悪くて撮影できなかったムナジロバトを難なくゲット。ツアーの誰かが「クリスマスプレゼントのような1日」と話していたが、全くその通りのプラス1日でありました。

 ホテルで昼食しながらビールで乾杯。そして14:55のNWで帰国、成田着19:10。

 

オウギビタキ

(Rufous Fantail)

オウゴンミツスイ

(Golden White-eye)

ムナジロバト

(White-throated Ground-dove)

同行講師の中野泰敬さん、添乗員の山本幸正さん、本当に充実したツアーでした。アリガトウございました。そして、ツアーに同行された皆さま、また、いつかどこかの探鳥地でご一緒しましょう。