3日目
ここまで2勝3敗勝数14で明治、神奈川が全敗で、勝数が8,7だったので降級の可能性はかなり低くなっていた。仮に2連敗でも3−4,3−4なら明治が勝数12をあげたとしても前回順位が上位である東工大は残留できるという状況であった。よってあまり降級の心配はしておらず、4位で選抜トーナメントのシードを勝ち取ることだけを考えていた。
6戦目 対中央大学
中央の主力は元奨励会の宮下氏、大型新人の池上氏でここはこちらの主力でも厳しそうである。それぞれ5,6将で出てきそうであった。2,3,7将の畠山氏、戸枝氏、渡辺氏も相当強い。奈良を4将に持ってくると3将が中島―戸枝となり自信がなく、7将の岡―渡辺の勝負になりそうだ。それよりは大〜4将で勝ってしまおうと考え、大将に川島を出すことにした。また、奈良を宮下氏よりは調子の悪そうな池上氏に当てようと考えて5将には鈴木を出した。当たりは川島―長野、渡辺―畠山、山田―戸枝、中島―藤岡、鈴木―宮下、奈良―池上、岡―渡辺となった。5,6将以外は五分以上の当たりである。川島が五分の戦況から時間切れで負け、渡辺、鈴木、奈良が負けて3−4負けとなった。
では中島の将棋を見ていただく。図は必敗形である。
以下、
△3九角! ▲2七玉 △4九飛成 ▲2二歩成 △同 金 ▲4九銀左 △2八金
と進んだ。なんと先手玉が頓死してしまった。△3九角は▲同 玉なら投了クラスである。とりあえず王手をしてみるものだと感心した。現役の人達は内容の良し悪しでなく(もちろんそれも大事だが)、最後まで諦めないことがときにこういった奇跡を引き起こすことを自覚して最後まで戦って欲しい。
次に山田の将棋である。山田は直前にひどい見落としをしてここでは敗勢。今銀での王手に玉を引いたところ。ここは△9三玉なら手堅かった。
以下、▲2八玉 △2二香 ▲2五歩 △同 香 ▲2一飛成 △2七歩
▲同 玉 △4五角 ▲3六歩 △同 角 ▲1六玉 △2六香
▲同 龍 △2五歩 ▲3六龍 △同 歩 ▲9四角
と進んでド頓死。△2七歩では△2六香 ▲同 竜 △3八銀でも寄っている。△2五歩が敗着。ここでは△1六香 ▲1五桂 △同 香 ▲同 竜 △1四歩で寄り。山田は戸枝氏を相手に2度目の頓死勝ち。
7戦目 対千葉大学
千葉が明治に6−1で勝ったために千葉に5−2以上で勝てば4位という状況になった。とはいえ戦力の拮抗した相手だけにそれは少し難しいように思えた。戦力としては、永井氏、寺田氏、西村氏、福田氏がこちらでいう主力に相当し、菅原氏、青木氏がレギュラーである。レギュラーは菅原氏、永井氏、青木氏、福田氏、寺田氏、西村氏と並んでいて7人目をどこで出すかでオーダーを動かせるようになっていて予想が難しい。こちらは5−2以上で勝ちたかったのでレギュラーと永井氏をかわす意味でも準レギュラー最強の栗本を出すことにした。当たりは渡辺―菅原、栗本―永井、山田―青木、中島―福田、奈良―寺田、菊池―堀川、岡―西村となった。千葉が6将に7人目を出してきたため、5−2のビジョンも出てきた。大、3,6将は有利、5,7将は五分、4将も厳しいが勝ちうるといったあたりになった。渡辺、山田、菊池、岡が勝ち、チームの勝ちは決定したが、奈良が負け、A級4位は中島が決める結果となった。
では岡の将棋を見ていただく。図は居飛穴対振り飛車で岡が指しやすそうである。
以下、△5一金 ▲3四歩! △1七角成 ▲3三歩成 △同 桂 ▲3四飛
△4四金 ▲3七飛 △2六馬 ▲3三桂成 △3七馬 ▲3二成桂
△4六馬 ▲5三馬 △9六歩 ▲同 歩 △9七歩 ▲同 香
△8五桂 ▲8六桂 △7三香 ▲6三銀
と進んだ。 ▲3四歩が強手。一時的に駒損になるが、堅さの差から優勢である。
図となっては居飛穴の主張がとおり、必勝形である。以下は順当に寄せ切った。
次に菊池の将棋を見ていただく。振り穴対銀冠から今▲4七桂と駒を足されたところ。
以下、 △1三角 ▲1六歩 △5七歩成 ▲1五歩 △4七と ▲同 金
△1六歩
と進んだ。菊池はこの桂打ちをまったく読んでいなかったらしく、一分将棋に入っていたのでかなり動揺したらしい。しかし平凡に△1三角と駒を足し返してみると先手の応手も難しい。本譜は穴熊側が▲1六歩と端から暴発してきたが、ここで△4五歩なら駒損を回復して優勢となるがひよって△5七歩成と指してしまう。最終図若干後手持ちだが、この将棋は時間切れがちで幕を閉じた。これからを担う菊池には棋力だけでなく、精神的にももっと成長して欲しい。