選抜トーナメント


秋季団体戦でA級4位となったために選抜トーナメントはシードで2回戦からの出場になった。2回戦はC1から昇級の千葉商科大学とC2から昇級の東京農工大学の勝者とで、おそらく準決勝は慶應、それに勝てば決勝は早稲田であった。


オーダー


トーナメント表が出来上がり、うちがまず果たさなければいけないのは慶應を倒しての決勝進出である。春のように小関氏、森本氏、神谷氏をかわして勝負するのでは限界があると感じ、神谷氏は毎回端で使われていたので、奈良か山田で神谷氏を狙い打つ作戦を取り、川島、山元、奈良、栗本、渡辺、三輪、中島、鈴木、岡、友安、菊池、山田、阿部、籾山とした。


2回戦 対東京農工大学


1昇級の千葉商科ではなくC2昇級の東京農工が61で勝ち上がってきた。最近リーグ入りしてきたばかりの若いチームなので少し怖かったが、全く情報がなかったのでレギュラーと籾山を出すことにした。57将が強い感じであったが結果は70と圧倒することができた。



準決勝 対慶應義塾大学


いよいよ慶應への挑戦である。慶應は今までオーダーをずらしたことがないのでレギュラーの斉藤氏、小関氏、井元氏、阿部氏、小川氏、神谷氏がそのまま出てくる可能性が高いと考えた。慶應は2回戦で中央に対して小川氏を下げて斉藤氏と小関氏の間に栗原氏を出していたが、それは小川氏が不調だったためと解釈した。慶應のオーダーを1つ予測して当て、それに最適のオーダーを出さなければ勝てない、逆に言えばそれさえできれば勝てると思っていた。大将が奈良―斉藤、3将が渡辺―井元、4将が中島―阿部、6将が岡―小川、7将が山田―神谷となれば5人が五分以上の当たりとなり1人負けてもチームは勝てる。当たりは奈良―古賀、栗本―斉藤、渡辺―小関、中島―井元、鈴木―阿部、岡―森本、山田―神谷となった。ずらされたのである、ずらされたらこのオーダーになるとわかっていたものの結局踏み込むことができなかったのである。しかし、あとは選手達を信じて勝利を祈るしかない。奈良、山田以外は全て苦しい当たりとなったが・・・渡辺が小関氏を相手に殊勲の勝利を上げ、奈良、山田も期待通りの働きをしてくれたがあと一歩慶應には及ばずに34負け。今年の秋季大会はここで幕を閉じた。ではまず山田の将棋を見ていただく。


上図は居飛車穴熊と振り飛車の最近流行している形で、図の△45歩が山田の研究手で、これなら五分にはなるようだ。進んで次図の局面になる。


この△5八金でなんとなく食いつけた感じ。自玉は手付かずなのであとは攻めをつなぐだけである。以下▲6八銀打 △5六歩 ▲同銀 △6六角で攻めがつながり、後手が勝ちやすくなった。以下は無傷で攻め続けて大差での勝利。


  






次に渡辺の将棋である。

上図は渡辺不利の局面であるが、ここで小関氏はなぜか▲3七龍として△3六銀と両取りをかけられた。上図では▲1五桂などで劣勢であった。突然面白くなり、進んで次図。

ここは角取りをよけた局面だが▲4一銀〜▲6一龍で必死がかかり、先手玉は詰まないので負けであった。

5六歩 △7七角成 ▲同 金 △7六歩 ▲8七金 △8九飛成

4一銀打 △4二玉 ▲6一龍 △5九銀打 ▲5七玉 △4八銀

▲同 玉 △3九龍 ▲4七玉 △3六馬 ▲5七玉 △6五桂打
と進む。

ここでの▲5六歩が敗着で以下△7七角成〜△7六歩で逆に詰めろがかかり逆転。あとは渡辺の鮮やかな収束を見るばかり。


総括(高橋)

余談ではあるが慶應は中央を完封し、早稲田にも52で勝って王座戦への切符を手に入れた。その慶應をあと一歩まで追い詰めたこのチームは本当に強かったと思う。来年はこのチームを支えた岡、山田、渡辺の3人の主力が抜けてしまうがまた新しいチームで熱い戦いを見せて欲しいと思う。