３日目

残留はほとんど決まったものの、この日連敗してしまうとわずかに降級の可能性が残る。

しかし、連勝すれば３位になれるので気合を入れて臨むことになった。

６戦目　対早稲田大学

主力はエース河崎氏、高木氏、岡部氏、鹿島氏の4人であるが、高木氏は個人戦に出場せず、

今回は慶應戦を含めて前５試合にも出てこなかったので、今回も出ないものと思われた。

問題は河崎氏が大将で出るか副将で出るかである。こちらが単純にレギュラーを出すと、

渡辺か山田が氏に当たり不利である。

川島、阿部を両方出そうかと思ったが、山田―鹿島戦で勝負を分けそうなので分が悪い。

それより、河崎氏をかわそうと思い、大将で川島を出すか副将で籾山を出すかで迷ったが、

副将で出てくる準レギュラーは振り飛車党だと分かり、振り飛車に強い籾山を出した。

川島はこれまで準レギュラーとしてたくさん試合に出ていたので、裏をかけるかもと考えた。

あとはレギュラーを出した。

当たりは、

渡辺―河崎、籾山―金子、山田―高木、中島―鹿島、奈良―岡部、菊池―知花、岡−日比野

となった。

かわすはずだった河崎氏をかわせず、さらに高木氏を投入してきたのだ。

確実に勝てそうなところはなく、奈良、岡がやや有利、他は皆やや苦しめである。

菊池、岡が勝つという良い流れになったが、奈良、山田が負け、中島が勝勢から逆転され、

籾山が勝ち、３−３となり、残りが大将戦となったが、すでに劣勢で逆転することなく負けてしまった。

ここでは、A級戦犯　中島の将棋を見ていただく。

下図では中島勝勢。飛車を下ろして、桂香を取っておいて十分のはずだが

△６九飛、▲同玉、△６七飛成、▲６八歩

△５八角、▲７九玉、△８七龍、▲７一飛

△４二玉、▲４一金、△３三玉、▲７三飛成

△６三歩、▲２一歩成、△２三玉、▲３四銀

△１三玉、▲１一と、△２二金、▲１二金

と進んで下図。

飛車を渡して寄せにいったが、逆に自玉が寄ってしまった。

今期は調子の良かった中島だが、早稲田戦でついにやらかしてしまった。

７戦目　対一橋大学

６戦目で、千葉が明治に６−１で勝ったため、まだ降級の可能性が残されていた。

対一橋戦で、３−４以上の成績で降級はないという状況である。

無論、この７戦目も勝つつもりで臨んだ。

一橋には今回勝てば、３年間勝っているという相性のいい相手なのだ。

主力は菊田氏、高野氏、濱野氏。

順当に行けば、副将で山田―高野、５将で奈良―菊田、７将で岡―濱野となるが、

菊田氏と高野氏はかわそうと考え、副将に籾山、５将に三輪を起用した。

一橋は４〜６戦目で副将に小原氏を出していたので、高野氏はかわせないとも思ったが、

小原氏は振り飛車党なので、籾山でも互角に戦えるのではないかと考えた。

また、高野氏は今期調子が悪く、山田で互角に戦えるのではないかと思っていた。

当たりは、

渡辺―須藤、籾山―小原、山田―高野、中島―小板橋、三輪―菊田、奈良―古賀、岡―濱野

となった。

渡辺、奈良は有利、籾山、山田、中島、岡はやや不利といった当たりである。

まず、籾山が勝ち、奈良が負けた。中島が勝ち、岡が負けたが、山田が勝った。

三輪は粘るも、エース菊田氏の軍門に下った。

大将戦は優勢から渡辺が勝ちきり、チームは４−３で勝利した。

ここでは殊勲の星をあげた山田の将棋を見ていただく。

　

相手が定跡を外したのを咎めたが、寄せで誤り、

上図は劣勢である。

△６六桂、▲７九金打、△７八桂成、▲同金

△６六桂、▲７九金打、△７八桂成、▲同　金

△７七香、▲同銀、△６七金、▲６二飛

△９三玉、▲８二銀、△８四玉、▲６八香

△７八金、▲同玉、△６七角、▲同香

△７九金、▲８八玉、△８九金打、▲９七玉

△９六銀、▲同玉、△９五歩

と進み下図となった。

最初の△６６桂は詰めろ気味で打ったが、実は詰めろでなく、

▲５七銀と角を取っておけば、高野玉は詰まず負けていた。

▲７九金打が敗着。２回目の△６６桂は詰めろになっている。

この一局は今期の山田の強さを象徴する一局になった。