1日目
この日はおそらく降級争いをするであろう千葉大、日大との直接対決がある。
できれば2勝最悪でも1勝1敗で乗り切りたいところ。
1回戦 千葉大学 千葉大学の主力は永井氏、西村氏、福田氏。千葉のこれまでのオーダー傾向から主力は主に三〜六将に配置し、ある程度実力のあるレギュラーを両サイドに配置していた。よって、うちとしてはその両サイドを狙い打つために大将に中島、七将に奈良を置いた。 当たりは中島―福田、栗本―遠藤、鎌田―青木、菊池―永井、阿部―西村、川島―沖田、奈良―菅原。副、六、七が有利、大はやや有利、それ以外は苦しそうだ。 最初に終わったのは菊池。不利という予想を裏切って完勝した。しかも相手はエースの永井氏。まずはその将棋を見ていただこう。 上図(後手菊池)は金で飛車銀両取りをかけられたところ。一瞬不利を思わせる局面だが…
△3七歩 ▲同飛 △4六角
▲32金 △同銀
▲2八銀
△3七角成 ▲同銀 △4六歩
▲4八歩 △67飛▲5九金
△3七飛成 ▲同桂 △3六歩 ▲3八金 △1五角
と進んで下図。

△3七歩〜△4六角がうまい切り返し。玉の固さを考えればここはすでに後手がよいだろう。穴熊側は仕掛ける前に▲2八銀としまっておく必要があったようだ。また,相手の▲5九金では▲5八角のほうがまだましか。△3六歩〜△1五角と遊んでいる角を使われてしまっては勝負あり。以下は危なげなく寄せきった。 この将棋で勢いがついたか,鎌田,阿部は敗れたものの,続けて奈良,川島,中島,栗本が勝ち,チームは5−2勝ちをおさめた。 ライバルの千葉大に勝ち,幸先のよいスタートを切った。
2回戦 日本大学 日本大学戦で注意する相手は生野氏、小川氏(六将)、田中氏(七将)。また、日大は初戦の東大戦では生野氏が大将で出ていたが東工大に対しては東大戦で出ていなかった飛石氏、横川氏がそれぞれ大将、副将で出てくると予想。そこで、生野氏は鎌田でかわすことにして大将、副将を中島、栗本で取りに行った。うちはどこに準レギュラーを出すか迷ったが、川島―小川を避けるために籾山を出した。 当たりは中島―飛石、栗本―横川、鎌田―生野、菊池―寺嶋、川島―山本、奈良―小川、籾山―田中。大、副、四、五、六はやや有利と思われた。 が、菊池、鎌田、籾山が負け川島が勝ち、奈良、栗本、中島が負けての1−6負けだった。では、その中で唯一勝った川島の将棋を見ていただこう。
図は相振り飛車の中盤である。相手の陣形には不備があり、
ここから川島は仕掛ける。図より、
△3六歩 ▲同歩 △2五桂 ▲2六角 △3七歩 ▲同桂
△同桂不成▲同銀 △8四桂 ▲4四角△7六桂▲1一角成
で下図。 途中△8四桂では△2六角〜△8七角や△2六飛〜△8七角としていれば大優勢だったが、少々難しい局面になってしまった。 だが、この後捩じりあいの末、勝ちを収めた。
この結果、東工大は1勝1敗の微妙な成績で1日目を終えた。
勝ち数勝負になることも考えられるので日大に6つ負けたのは苦しい。
2日目は1つでも多く勝ち数を稼ぎたいところ。