２日目
２日目は栗本が参加。昇級に向けてこれ以上負けたくないところである。
３回戦 千葉工業大学戦
野田氏、斉藤氏などを警戒しなければいけない対千葉工戦。レギュラー６人の他には、野田氏をかわしつつ、相手の主力以外には勝てそうな山元を出すことにした。
当たりは次のようになった。
菊池―鈴木、村田―野田、山元―船津、松原―斉藤、栗本―中出、小川―久保、鎌田―大関。副将、４将、６将が互角であり、他は若干よさそうである。
まずは３将、山元の将棋を見ていただこう（山元が後手）。山元は得意の右四間飛車を採用。果敢に仕掛けるもやや無理筋だったが、相手にもミスが出て迎えたのが図９。
以下、△１五歩▲２六桂△２五銀▲６七角△６九龍▲６三歩△同歩▲９二竜△１六歩▲１八歩△１二香打と進んで図１０。端を狙った山元に対して、▲２六桂〜▲６七角と打って▲３四桂を狙ってきた先手だったが、△６九龍とされると６六の馬が浮いているので▲３四桂とはできない。最終手△１二香打では△５五桂が勝るが、図１０でも△５五桂が残り山元が良い。この後、少しよれたものの勝ちきった。
続いて、副将、村田の将棋（村田が先手）。後手の四間飛車に対して、やや変則的な陣形を組み９筋から仕掛けた村田だったが、やや無理筋だったらしく玉頭から逆襲され苦しくなってしまう。なんとか粘って迎えた図１１。後手が△８九香成と桂をとりつつ８四の香を成りこんだ所だ。以下、▲９八飛△９四桂▲５七角△４六歩▲同角と進んで図１２。
▲９八飛とされると、後手は歩切れのため飛車成を防ぐためには駒を投入する必要がある。△９四桂と使わせたところで▲５七角とかわす。右辺が広い形となった図１２はまだ難しいところもあるが逆転模様。以下、実力を遺憾なく発揮して勝ちきった。
松原、小川が負けてしまった以外は全員勝って５−２勝ちとなった。
４回戦 東京理科大学戦
清水氏、土屋氏、山内氏と実力者がいる東京理科大学。オーダーの関係上、この３人のうち２人に小川と鎌田が当たってしまうため、この２人以外でチームの勝ちを決めたいところである。
当たりは次のようになった。
菊池―早川、村田―池田、松原―加藤、栗本―大沼、岡垣―土屋、小川―山内、鎌田―清水
予想通り５将、６将、７将がやや不利な当たりとなった。
ここではまず、４将の栗本の将棋を見ていただく（栗本が先手）。相矢倉から仕掛けていって図１３。ここでは攻めが切れ気味で栗本がやや不利だが、以下▲３四金△３二馬▲４四銀△４三歩▲３三歩△同桂▲３五銀（図１４）と進み、攻めがつながり盛り返した。途中、後手の△４三歩が疑問手で、▲３三歩〜▲３五銀としておけば次の▲２四歩が厳しい。図１４からは△８六歩▲同銀△６五歩▲２四歩△同歩▲２三歩△３一玉▲２四銀と進み、以下は快勝であった。
次に、７将の鎌田の将棋（鎌田が後手）。相右玉ととなり、序盤の小ミスから鎌田がやや作戦負けになり、そのまま戦いに突入。図１５は先手が歩を成った局面。△同金に▲４二角があり、困っているように見えるが・・・。
１５図以下、△３五桂▲３六歩△４七桂成▲同金△５八角▲６八金△４七角成▲同玉△５五歩。（図１６）
▲３三歩成は実は疑問手。△３五桂が厳しく、以下桂馬と角を使って守備駒をはがして△５五歩とされると▲３二とは間に合わない。以下、▲１七角△３五歩▲５五歩△４六銀打▲同銀△５六金▲５八玉△４六銀と進み、以下は緩むことなく寄せきった。
終わってみれば岡垣が土屋氏に負けた以外は全員勝ち、６−１の快勝であった。
５回戦 東洋大学戦
東洋大学の主力は田中氏、苅辺氏、儀保氏。オーダーの関係で、鎌田と苅辺が当たることは避けられそうにないので、高梨で田中氏をかわすことにした。
当たりは、
菊池―土屋、村田―宮本、松原―儀保、栗本―大谷、小川―黒澤、高梨―田中、鎌田―苅辺。３将が互角くらい、６将、７将はやや不利だが、他は良さそうだ。
まずは松原の将棋を見ていただこう（松原が先手）。図１７は△４一角と打ったところ。直前に銀損しており、冷静に見ると苦しい局面だ。
実戦は△８七歩▲同飛△６五角▲８四飛△同玉▲８六香△７五玉▲８五角成△６４玉▲７五銀（図１８）。なんと、後手玉が頓死してしまった。△６五角が敗着で、△８六歩〜△８五歩とされると先手が苦しい。松原にとっては幸運であった。
菊池、村田、松原が勝ったものの、高梨、鎌田に続いて、小川も負けてしまう。勝負の行方は４将の栗本に託された。栗本―大谷戦は後手番となった栗本が右玉を採用。玉頭での激戦の末、迎えたのが図１９。先手玉を詰ませば勝ちだが・・・。
実戦は以下、△３九飛▲４九桂△６九金▲４八玉△３七馬▲同角△同飛成上▲同桂△３六桂▲３九玉で詰まず、無念の投了。
図１９では、△６九飛▲４八玉△３七馬▲同角△３九飛成以下の詰み筋もあった。また、△３九飛▲４九桂△６九金▲４八玉の局面では△３六桂と打てば詰みであったが、▲４九桂の合駒を見落としていた栗本は動揺しており（他の合駒だと△６九金▲４八玉△３七馬以下詰みだが、桂馬だと３七に利きがあるのでこの詰み筋がない）この詰みを発見できなかった。
これにより東洋大学には３−４で負けてしまった。
２日目が終了して、筑波大学が全勝でトップ。続いて勝ち点３で東工大（勝数２３）、中央（勝数１８）、東洋（勝数１７）が並ぶこととなった。