ある日、仕事帰りによったコンビニで「カルビー野球チップス」が目に付いた。
その時、私の脳裏に少年時代の苦い思い出がよみがえってきたのである。
小学校時代、私は巨人ファンの友人と2人でこれを集めていた。「巨人が出たらやるから、カープが出たらくれ」
という約束の下、結構うまいこと収集していた。
だが、悲劇は突然おとずれた。いつものように買いに行くと、野球チップスの袋に”巨人選手特集”との
文字がついていた「・・・・・?」はっきりいって意味が分からずとりあえず買ってみると出てきたのは巨人カード。
そう、こともあろうにカルビーは「巨人カードしか出ない野球チップス」に切り替えていたのである。当時まだ小学生の自分には
大ショック、こんな不条理が許されて良いのか?と怒りに震えた。友人は「そのうちカープ特集もあるんじゃない?」
とか言ってくれたのだが無論そんなものはなく、私はこれをきっかけにカード集めをやめたのである。
まぁ、とはいっても私も25歳。今更野球カードを本気で集めようとは思わないが「ホームページのネタになるかも」
と言う気持ちも手伝って、カープが出るまでしばらく買ってみることにした。
1枚、5枚、20枚・・・全くカープはでやしない。すぐ辞めるつもりで起こしたコーナーも3ヶ月が経過した。
そんなある日、「巨人のカードいらないなら下さい」というメールが届いた。「巨人ファンがうちのページに来ることがあるんだ・・」
などと多少意外に思いながらも持ってても仕方ないので、数十枚(巨人はやたら出やがった)を郵送した。
数日後、「重量オーバーです、切手の値段が足りません」と巨人カードはあっさり戻ってきた。「報われないなぁ・・」などと思いつつも
10円切手を追加して送りなおした。この時、既に野球チップスの販売は終わっており、結局35回勝って1枚も出ないという惨敗のまま
思いのほか長く続けてしまったコーナーはようやく終了した。
後に残ったのは、他球団のカードと食べる気になれない野球チップス。捨てるわけにもいかず困っていると
「砕いてサラダに入れるとおいしい」という情報を入手した母に目を付けられ、しばらく我が家の夕食に貢献するのである。
見ず知らずの巨人ファン一人と、我が家の食卓に貢献して多少は人の役に立てたかなぁ・・などと思う今日この頃である。
第7話につづく
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