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最近のトピックス くすもとクリニック最近のトピックス
このページでは、最近のトピックスを掲示します。
 
1. 平成20年4月のトピックス
 
(1) 後期高齢者制度75歳以上の方が対象です。保険証が、「後期高齢者医療制度保険証」ひとつになります。今後「かかりつけ医」にかかると日常診療額の上限が設けられ、自己負担額が安くなる可能性があります。
 
(2) 特定健診制度40歳以上75歳未満の方は、「メタボリック症候群」にならないように、コレステロール、血糖値などを測定する特定健診制度がスタートします。福岡市民で、職場などでの検診を受けない方は、500円で年1回ミニ検診を行います。もしメタボ予備軍の方は、かかりつけ医から定期的に食事や運動療法の指導が受けられます。
 
(3) 麻疹風疹ワクチン4月1日から。昨年はしかが流行したため、新中学1年生と高校3年生に対して接種します。 市民は費用が無料です。
 
(4) 肝炎検査:薬害肝炎が社会的な問題になっています。検査未経験者を対象に 4月1日から無料でB型とC型の肝炎抗体検査を行います。
2. 胃カメラの所見:胃潰瘍と早期胃癌(平成20年4月1日)。
胃潰瘍は、胃酸のため胃の壁の内側が ただれる病気です。
図のAとBは典型的な胃潰瘍の画像です。
画像の白い部分が概ね潰瘍の病変です。
Bの患者さんでは、2個潰瘍があります。
胃潰瘍には胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害剤という種類の薬を処方して治療します。Aの画像は 経鼻内視鏡で撮影したもので、普通の経口内視鏡の画像Bと比較して やや画像が荒い欠点があります。
微妙な画像を正確に診断するためには、経鼻ではなく、経口内視鏡で観察した方が適切な場合があります。
CとDは、潰瘍を形成するタイプの早期胃癌です。良性の病気である潰瘍と異なり、癌は手術をしなければなりません。
従って、内視鏡検査を行う医師は A,BとC,Dの肉眼的な違いを間違いなく鑑別診断しなければなりません。
判断し難い
潰瘍型の
早期癌
図1. 胃潰瘍と早期胃癌の内視鏡所見

EはDの病変に青い色素をふりかけた画像です。こうすると潰瘍の周囲に不揃いな病変が浮き出た様に強調されて見えてきますので、癌であると診断されます。
どうしても診断が困難な場合は、潰瘍の組織を採取して(生検)顕微鏡検査で最終的に診断します。
色素をかけると
図2. 早期胃癌を鑑別するための色素散布法
3. 胃アニサキス症(平成19年4月20日)
最近、経鼻内視鏡が有効な疾患として、胃アニサキス症を経験しました。
【経鼻内視鏡の利点と欠点】一般に 経鼻内視鏡は、通常の内視鏡より細く、飲み込みやすいです。また鼻を通すので 舌の根本に内視鏡が当たらないため、「ゲーッ」となる嘔吐反射が起きにくく、患者さんにとっては、楽な検査法です(「当院の特色」を参照して下さい)。鎮静剤を使わなくても楽に飲み込むことができますし、検査中医師とお話をする余裕もあります。
しかし、鼻に局所麻酔をするのが 嫌いな患者さんや、鼻から管を入れる恐怖感がある患者さんには不向きです。鼻の病気がある患者さんもできません。内視鏡の性能上は、普通の内視鏡より画面の解像度がややおちるし、細かい操作性が悪い点があり、早期胃癌で、診断が難しい場合や、癌の内視鏡治療にはまだまだ不向きで、改良の余地があります。
胃アニサキス症では上記の経鼻内視鏡の利点を治療に活かすことができます。
胃アニサキス症とは?】
アニサキスとは、本来クジラやイルカなどの動物に奇生する線虫です。成虫で長さ2-30 mmほどの細長い白い虫です。
この幼虫は、通常イカ、サバ、アジ、タラ、サケ、マス、イワシ、ニシン等の魚の内臓に棲息しています。アニサキスを持ったこれらの魚を生で食べると、食後2−10時間後に 虫がヒトの胃の壁に入り込もうとしてお腹に激痛が起こります。
大概は時間の経過と共に1-2日で 虫が死んでしまいますから 症状は自然に軽快します。しかし時々 胃腸の壁に好酸性肉芽腫という炎症反応を起こし、長期間(長くて2ヶ月ほど)腹痛がとれないこともあります。また、小腸の壁を破って、急性腹膜炎を起こす場合もあります。痛みは強い場合が多く、まず多くの患者さんは、病院に行って何とか治療を受けようとなさいます。発症間近の痛みをとるには、胃の壁に潜り込もうとする虫を胃内視鏡を用いて取り除くのが、最も効果的な方法です。
 
図3. 胃の壁に迷入するアニサキス幼虫。胃カメラで観察し、鉗子を使って引き抜きました。
【症例】 32歳女性
料理屋さんで、サケの刺身を食べた後、4時間ほどして急激な腹痛、吐き気が出現したため、当院を初診されました。特徴的な痛み方で、上記の経緯を問診して、アニサキス症であると推定して、早速経鼻胃内視鏡を行いました。
写真の様に、アニサキスの虫体が、全部で23体、胃の壁に入り込もうとしており、これらを全部取り除くのに30分近く時間がかかりました。内視鏡用の鉗子を1回1回出し入れして 完全手作業です。(通常の胃カメラでは精密検査でも10分程度しか時間はかかりません。)患者さんには大変長い時間 検査に耐えて頂かなければなりませんでした。普通の太い内視鏡では のどが苦痛です。苦痛をとるために鎮静剤を注射しても、効き目が短時間であるため、追加して薬を使用しなければなりません。そうすると、鎮静剤による副作用として、呼吸が浅くなり、患者さんには呼吸抑制という危険性があります。それだからといって、覚醒したまま30分も検査を続けるのは、患者さんは大変です。
そこで経鼻内視鏡。覚醒した状態で長時間検査可能で、鎮静剤を使用する必要もありません。患者さんの苦痛が少なく、患者さんはモニターテレビで自分の胃の中を見ながら、医師の説明を聞いて、時々体位を変更していただきました。色々な場所に虫が入り込んでいましたから、患者さんの向きを変えていただくと、とても検査、処置がやりやすかったです。これが、患者さんが眠った状態だと、このようにうまくは行きません。処置を終えると、嘘のように痛みは無くなりました。
胃アニサキス症の予防】
胃アニサキス症は、簡単に予防できます。上記の魚の刺身を食べないことです。どうしても食べたい方は、−20℃以下に少なくとも24時間以上冷凍した魚を解凍して食べて下さい。焼き魚、煮魚は虫が死んでしまうので大丈夫です。しめ鯖など、酢の物の魚ではまだ虫が生きている可能性があり、安全ではありません。これから夏場を迎えて刺身を食べる機会が増えます。注意しましょう。
 


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