魔界案内洛東編 

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        平安京の東端、東山の辺りは亡くなった人を葬るところです。鳥辺野と 

        呼ばれていました。但し、庶民の多くは貧しく、墓石はおろか、穴を掘って 

        埋葬する事ができません。そのほとんどが、野ざらしでした。身内が背中に

        担いでここを通ります。

        ここはあの世とこの世の分かれ道なのです。

        これが境目の六道の辻です。 

 

       このお寺の向こうはあの世…六道珍皇寺(ろくどうちんのうじ) 

       お寺の境内の片隅に、地獄へ通じると云われる井戸があります。 

 

       お寺の由来。 

 

       お盆になると大勢の参拝者が訪れ、この鐘を鳴らします。 

       鐘そのものは見えません。 鐘をつくのではなく紐を引いて鳴らすのです。 

       その音色が、あの世に届き、故人の霊魂が降りてくるのです。 

 

       鐘の由来。 

 

       ここの近所にあるお店で飴を売っています。 

       これは幽霊の子育て飴と言われており、伝えられるところによると 

       昔、夜遅くなると決まって飴を買いにやってくる女がいました。 

       来る日も来る日も、決まって深夜なのが気になる店主がある日の事 

       その女の後をつけていきました。 そうするとなんと、墓場でした。 

       そしてひとつの墓の前で、女の姿が闇の中へ吸いこまれるように 

       消えていったのです。 驚いてそこへ駆け寄ると墓に飴が置かれており 

       墓の下からは、赤ん坊の泣き声が聞こえてきます。 店主は怖くて 

       堪りませんでしたが、板切れを持って掘り起こしていました。 

       やがて棺おけの中に、元気に泣く赤ん坊が現れ、店主は哀れに思い 

       そうして連れ帰り、翌日お坊さんに相談をして、その男の子を養子に迎え 

       亡き女の弔いを手厚く行いました。 

       子育て飴は今も売られており500円です。 

 

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