国宝三重塔を訪ねて
(別所温泉)


2006,10,4

 上田市のはずれ塩田平には鎌倉時代末期に作られたいくつかのお寺がある。
国宝の三重塔は前から見たかったもの、ドライブがてら出かけることにした。
しかも有名な別所温泉の一角なので温泉も楽しみ。

 

 原村から別所温泉へは大門街道を北上、白樺湖を越えていくのが直線的で一番近い
長門町までは坦々とした1本道、道の駅「マルメロの駅ながと」で一休み、広い駐車場はまだ早いのか車は少ない。

 このまま別所温泉に行くだけでは時間が余るので、湯の丸高原から高峰高原へドライブすることにした。
運が良ければ紅葉が見られるかも知れない。雲は多いが晴れた空に期待して東部嬬恋線を北上する。
地蔵峠まではかなりな登り坂、2速、3速を使って登っていく。

 山の黄色が鮮やかになって紅葉への期待が膨らんできた地蔵峠へあと2kmのあたりから怪しくなってきた。
霧が出始め、すぐに前が見えなくなる。峠に着いたら視界10m、白線のある駐車場に車を停めるが真っ白で周りの様子が分からない。

 仕方がない、コーヒーでも飲もうとお店を探すが開いていない。駐車場の周りを歩いてホテルのレストランを見つけほっとする。
レストランではストーブを焚いている。コーヒーでしばらく粘ったが霧は晴れそうに無いのであきらめ、別所温泉に向かう。

大法寺

大法寺3重塔 別名見返りの塔 まずは上田を抜けて松本街道を走り大法寺へ
国宝の三重塔は「見返りの塔」とも言われる。思わず振り返るほど美しいからだそうな。
1330年代、鎌倉時代の終わりのころ大阪の工匠によって建造されたらしい。

 確かに華美な装飾も無くきちっと造られたこの塔は揺るぎの無い存在感を感じる。
写真は裏側から見たもの。

全国に国宝の三重塔が13塔あるそうな。そのうち2塔が長野にあって、この大法寺のものとこれから行く安楽寺の八角の三重塔である。
 

天然記念物「かやの木」 大法寺の本堂は魅力のある建物ではないが、境内にある天然記念物”かやの木”がすごい。
樹齢480年、根本から5本の幹が出ている高さ30mの大木である。。
この幹で碁盤を作ったら何台出来るかなと雑念が頭をよぎった。




ひそひそ話をするお地蔵さん 本堂から裏山の三重塔に行く途中、道端にお地蔵さんが10数基並んでいる。これが愉快なのだ。
写真はとなりのお坊さんとひそひそ話のお地蔵さん。
とっくりからうまそうに酒を飲むお地蔵さん、失敗失敗と頭に手をやるお地蔵さん、あくびをするお地蔵さん、などなど人間くさいお地蔵さんばかりである。
表情が大変豊かで1つとして同じものが無い、気に入ってしまった。

安楽寺

 大法寺から別所温泉へは少し車を走らせる。一山越えた所だ。
別所温泉へは上田から電車が通っている。道が分からなくて別所温泉駅の案内所に入り、地図をもらって駐車場と日帰り温泉を教えてもらう。
温泉街のまわりの山あいにいくつかの古い由緒あるお寺がある。

                       無料駐車場に車を停めて歩くことにした。
八角三重塔国宝の八角三重塔がある安楽寺は一番奥、行ってみたら入り口に駐車場があった。
石段を登って本堂へ、庭にはよく手入れされた大きな高野槙がある。
三重塔は裏山、拝観料300円を払って裏山に登っていく。

 八角三重塔は日本に1つしかない。
鎌倉時代末期1290年代に建立、信州の守護、塩田北条氏の供養塔として作られたと言われる。

この塔は装飾が多い、中国の先進技術、唐様を用いたものと説明されていた。
弓形に曲げた欄間格子(弓形連子というらしい)は綺麗だった。


日帰り温泉

 別所温泉に来たからには温泉に入らねばと、3箇所ある日帰り温泉のうち大湯に向かったらお休み。
では次へと大師の湯へ行く。川沿いの狭いところにある小さな温泉場だ。
 
 建物も風呂も小さい。近頃村おこしで造られる豪華で設備の整った温泉とは全く趣の違う昔ながらの湯治湯である。
入湯料も150円と格安、その代わり石鹸やシャンプーなど何の設備も無いが、無色透明のお湯は最高、よく温まった。


 蛇口に驚かされた。普通赤がお湯だが、押したら水が出た。普通水が出る緑を押したらお湯が出る。
他の蛇口を押してみたが皆同じく私が持つ色のイメージとは反対だ。なぜだろう?
旅をするといろいろ思いがけないことがあって楽しい。


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