My Fish Library (第1回 2002 / 06

Masked Shrimp Goby
(Amblyeleotris gymnocephala)

〜内湾好みの普通種〜

 

 マスクド・シュリンプゴビー。東南アジアのやや内湾性の海域では大体普通にみることのできる大型のダテハゼの仲間。ハゼを少し覚えはじめた頃、ダイビング雑誌のパラオ特集の中で、ラグーン・シュリンプゴビーなどと一緒に紹介されていて、初めて「外人ハゼ」(つまり、日本にはいないので標準和名がなく、英名しかないハゼ。)の存在に驚いたことがあります。

 関係ないけど最近「クウガ」で鮮烈に復活した我らが「仮面ライダー」は英名は"Masked Rider"。ジム・キャリーが主演したのは「マスク」。あとは最近リバイバルされた「赤影−Red Shadow」もオリジナルは「仮面の忍者」っていう、かっこいいサブタイトルがつけられていました。少年隊を一躍メジャーにしたのは「仮面舞踏会」。そんなこんなでこのネーミングは個人的にはすごく気に入っています。
そしてこのハゼの特徴はなんといっても目の後ろに伸びた赤影の仮面のようなライン。彼らに水中で出会えるとそこは自分が好きな水質(?)のポイントであることを教えられたようなもので、わくわくしながら泥のなかを進んでいくことになるのです。

今回、このコーナーでマスクド・シュリンプゴビーを取り上げたのは、内湾のポイントにいけば大体見られる種類だけに、いままで撮影した写真を並べてみたらどうなるかっていう単なる興味からなのです。決して環境による色彩変異とか個体差などアカデミックなことを論じるつもりはありません。

各地で暮らす「マスク」達。とくと見てやって下さい。

 

 

トップ(上)の個体はマブールのマングローブポイントで撮影したもの。比較的に深場(といっても−10mくらいですが)にフタホシタカノハなどと一緒にいます。栄養状態がいいようで、ソーセージのようにプリプリです。

左の個体はパラオ/マリンレイクで撮影したもの。マリンレイクは(いまでも変わりがなければ)、ポイントによって棲んでいるハゼの種類が違うというよくよく考えてみると種族の環境に対する適性を研究するには興味深いポイントだと思います。彼の住んでいるマリンレイクにはキンガハゼとイトヒキハゼsp.が多く、ラグーンやホシゾラ、オイランなんかは別のマリンレイクにいました。東南アジアの個体と比べると全体にスリムでホワイティーな感じ。熱帯雨林の恵みの影響の大きさを感じてしまいます。

 
 

右の個体はシークレットベイ産。シークレットベイはクロオビハゼとかシマオリハゼのようなマスクよりももう少し内湾性のハゼが多いのですが、(自分の知っている限りでは)1箇所、マスクが棲んでいるポイントがあります。やはり近くにいるのはフタホシタカノハの黄化個体などでこの2種は環境の好みがかなり近いのかもしれません。彼らのいるところはシークレットベイのなかでは透明度も比較的いいところで近くにはサンゴも育っていて、明るい感じがする場所です。

サイズ的には滋養の豊かさを感じるのに十分な大きさのものが多くて、巨大ウインナーというところ。写真の出来があまりよくなくてわかりづらいのですが、尻鰭にパープルとブルーのラインが入っていて、なんとなくバリらしさを感じてしまいます。

 

 

最後は、HKクリアウォーター・ベイの個体。ここにおいてもフタホシタカノハと同居しています。ギャラリーで紹介しているマウデズ・シュリンプゴビーはかなり浅場です。

ここの個体の特徴はなんといっても(全部の個体がというわけではないのですが)体色が黒黄色で横縞が薄れてしまっているということです。体が大きい個体にこのような色彩があわられていることが多いようでした。大瀬崎でオニハゼの婚姻色の個体をみたことがありますが、老成したからなのか、環境なのか、婚姻色なのかよくわかりません。砂は黒砂ではなく、どちらかというと白なのですけどね。ご存知の方がいればぜひ教えていただきたいと思います。

大きさとしてはシークレットベイのものに匹敵するほど大きい個体が多かったように思います。

 
   いづれにしてもマスクド・シュリンプゴビーは自分にとって故郷にすんでいる小学校の時の友人とか同世代の従兄弟のような存在で、彼らに会えると、「あ〜、帰ってきたな・・」って、思っちゃうんですよね。