My Fish Library (第7回2004 / 10)

 

 

 

羽 衣

ハゴロモハゼ


 

 

 ようやく会えたね。

 ずっとずっと会いたかったハゴロモハゼ。

 思ったより、恥ずかしがりやではなく、

 羽衣を目一杯ひろげて見せてくれました。

 きれいだったなあ。

 

 

 

 

ハゴロモハゼ(雄)


 はじめて本で見たのはもう随分前のこと。正直、地味な色合いのハゼだなあと思った。それがいつの間にか「渋いなあ」と思うようになり、どんどん会いたい気持ちがふくらんできた。つまり、その頃には「泥好き」になってたってことですね。
 実際、ハゴロモハゼは、僕の好みの条件(クライテリア)を全部備えた魚なんです。
まずは、色合い。カラフルなのもいいけれど、中国の水墨画のように渋めの配色で加えてどこかに色鮮やかな部分をもっている、っていうのがよくて、ハゴロモハゼの場合、「どこかに」というような控えめなレベルではないんだけど、自分の色コンセプトにはまっている。この辺はブルーバードとかもあたり。
 次はフォルム。(これはどうしてハゼが好きなのかってことにも通じるかもしれませんが)自分の好きな魚には第一背鰭が伸長しているのが多い。ホタテツノハゼの一派などは殆んどそうだし、モエギハゼもそう。ベニハゼやイソハゼの仲間でも第一背鰭がピューンと長いのが何種類かいて、理屈ぬきに「格好いいな」と思っちゃうんですよね。
 でもって最後は名前。やっぱり和名に趣があるのがいい。モエギやホムラ、タンザク、ナデシコなどなんだか最近平安朝ブーム??とかって思うようなネーミングが多いですけど、日本語の美しさが現れていて、この流れは非常にいいなと思っています。「ハゴロモ」はその走りですからね。

 

 

ハゴロモハゼ(雌)

ハゴロモハゼ(雄)の縄張り争い


 そんなハゴロモハゼに西表ではなかなか会うことができず、今回ようやく奄美大島で会うことができました。この素晴らしい出会いを実現してくれた奄美大島のダイビングサービス「アマミエンシス」金原さんにここで改めて御礼を申し上げたいと思います。
 同じような環境に住む「トサカハゼ」が絶滅危惧種であることも、最近知りました。淡水魚の図鑑をみるとレッドデータカテゴリーがつけられているものがいくつかあります。ハゴロモハゼには、まだその「印」はついていないですが、今後、その「印」がつけられることのないよう、自分として何ができるか、今は具体的にいえることはないのですが、とりあえず自分ができることを行いつつ、彼らを静かに見守って生きたいと思っています。