My Fish Library (第11回 2005 / 10

アカハゼ

〜 史上最強のドロハゼ 〜

 

 さて、4ヶ月ぶりとなったこのコーナー、今回は「これぞ泥ハゼ!」、極め付きの巻である。
さて問題のハゼはアカハゼ(Amblychaeturichthys hexanema)。コモチジャコと同じ仲間になるらしいが、生息水深が非常に深く、かつ泥好きなので、海中で生態観察されたことがほとんどないらしい。海での生態写真となると、撮影者が、日本で片手に満たないくらいのレアらしい。こんな幻のハゼなのだが、前に「あれはアカハゼじゃないかと思う」とアイアンの鉄さんから聞かされていた。とはいえ、毎日、何年も三保に潜り続けている鉄さんですら、「・・ないかと思う」というくらいの話だったので、まあ遭遇の確率は現実的な数値ではないなと思っていた。
 ところが、今年になってアイアンのBLOGにアカハゼの写真が掲載された。これは見にいかないといけないと思いつつも、2ヶ月ほど過ぎてしまい、アカハゼショックをちょうど忘れた頃に三保を訪ねた。そのときにはナイトをやりたかったのだが、「ナイトの方がいいかも」と鉄さんがいう。「何が?」と聞き返すと、「昨日のBLOGにも載せたんですが・・」と。アカハゼである。しかも2匹もいたらしい。

 

 「ナイトダイビングでハゼ」っていう組合せがそもそも驚きだ。自分の1500本の経験からは全く類推できない。シナップスができていない。大体、共生ハゼなどは薄暮の時間になると警戒心が強くなって引っ込んでしまう。でもこいつは、違うらしい。 教えてくれた通り、ナイトで見ることができた。それも3個体も。もちろん、ドキドキの1本だった。
 夜行型というよりも、棲んでいるところが深いので暗いのが好み、っていうのが正解もしれない、と鉄さん。三保の中でも極めてMuddyなポイントだった。ただ、水深は10m程度。まったく三保ってところはどうなっているんだろうと、改めて思う。それからさらに驚いたのが2つ。1つはその体の大きさ。写真の個体は5cm程度だったと思うが、鉄さんが最初に見かけたのは15cmをはるかに超えていたと思われる。とてもハゼには見えなかった。もうひとつはそのふてぶてしい気性だ。近くによっても逃げることもなく、ライトに照らされて集まってくるシラス?をばくばく食べていた。全く、筋金入りの最強のドロハゼというにふさわしい。

 イサゴハゼに続いて、三保の海は、なんともうれしい贈り物を届けてくれた。ま、お世辞にも可愛いとはいえないし、写真ももう少しきちんとしたのが撮れたらGallaryに、とは思っているのだけれど、Gobiidaeではなく、Crittersのほうがいいんじゃないかと思うくらい。
 だけど、まあ自分の好みからするとこれがまたぴったりはまってしまんですよね。(爆)