My Fish Library (第14回 2007 / 05

Yellow Barred Shrimp Goby
- King of Cryptocentrus -

港の泥地はNormal Typeが多い。それにしてもでかい・・・。


 

 去年は1回しか更新していなかったこのコーナーだけど、今年はこれで2回目なので、まだましかなあとも思うが、それにしても半年に1回というのは少なすぎる。運勢学的にはあまりいい年ではないらしく、実際、自分の周りにはいろいろな悩ましいことが多かったが、こと「ハゼたち」との出会いの点では、素晴らしい一年だったのではないかと思う。
 その代表格が6月に訪れたLombokで出会ったYellow Barred Shrimp Goby (以降、長ったらしいのでYBSGと呼ぶ)だ。彼を初めて目にしたのは随分前のMarine Aqualistの「ハゼ特集」だったが、この時は、水槽写真だったこともあり、体色が落ちていて、横縞だけがやけに目に付く変なハゼだなと思っただけだった。
  まだMabulにいた頃のYoshiさんからもこのハゼのことを教えてもらい、「体はオレンジと黄色の横縞で青い斑点、背鰭は真っ赤で青いポイントがある、すげーハゼがあそこにいるんだぜ!」っと遠くの島を指さされ、ハゼの姿は思い浮かばなかったけど、心の中では「いつ連れてってくれんの?Yoshiさん・・・・」と密かに期待を抱いていたりした。
 
衝撃的だったのは当時Dive & Dive'sでガイドをしていた小川晃氏がSecret Bayで撮影した写真を見た時だった。言葉もでないとはこのことで、こんな凄いハゼが世界にはまだいるんだと思った。ただ、あれだけBaliで潜った小川氏ですら、限られた出会いだったとのこともあり、自分にとってこのハゼとの出会いはありえないだろうな・・と思っていた。

 

 ところが思いがけない巡り合わせというものはあるもので、Dive'sのスタッフである大介さんのBlogを見ていたら、前から気にかけていたハゼの写真が出ていて、それがLombokでも見れるらしい、との「ふり」でBAGUS Diversが紹介されていた。思わず、Bagus DiversのSiteを開き、そして驚いた。そこにはYBSGだけではなく、Four Blotch Shrimp Goby(ウシオハゼ)やオニツノハゼ、それから名前のついていないイトヒキハゼの仲間など、かなり際物の連中が「Lombokお魚図鑑」などというライトなネーミングでさらっと載せられていたからだ。そして「いるところにはいる」の典型がこれか、と思わんばかりにYBSG達はその巨大な体、鮮やかな体色、そして新たな発見ではあったが3パターンの色彩変異?(類似種ではないと思うのだが)という圧倒的な存在感で自分を迎えてくれたわけだ。

 
 
 

港内にいるColour Variation Type#1 - 横縞がなく、Blueの斑点が体一面に光る


 

 YBSG = Yellow Barred Shrimp Goby は学名 Cryptocentrus pavoninoides。イトヒキハゼの仲間では最大級の部類に入る。White Eye(イトヒキハゼ属の一種の1)もかなり大きめだが、YBSGは更に一回り大きい(15cmを超えるものもしばしば)。生息環境は基本的には泥地。シルト一歩手前くらいという感じだ。Bagus DiversのBoatが発着するトロコデ港から10分くらいのポイントにかなり通ったが、ここは彼らのコロニーという感じだった。他のハゼとしてはウシオニハゼやBlack -mast Shrimp Gobyなど。ここで見られるのはトップの写真のようはNormal Type と上の写真のようなVariation#1の2種。
  下の写真は、同じColor Variation Type#1の若魚。Sheraton Hotel前のBeachで撮影した。ここは前述のポイントほどドロドロではないが、同じくウシオニハゼやYBSGを見ることができる。ここでは他にオイランハゼ(!)やクロオビハゼなどを見かけた。

 
   
Color Variation Type#1の若魚@Sheraton Hotel Beach前
かなり黒っぽく感じる

 

 そして最後に紹介するのは黄化個体(Color Variation Type#2)。これもSheraton Hotel Beach前で発見した。最初はフタホシタカノハハゼの黄化個体かと思ったのだが、背鰭のBlue Pointを見てYBSGの黄化個体だと判別した。
 それにしても・・・・、と思う。Normal Typeのあの圧倒的な存在感だけでも相当なものがあるのに、Color Variationが2つあるなんて凄いと思う。 Big Body、強烈な鮮やかさ、それから変幻自在に見える色彩変異、イトヒキハゼの王様と呼ぶにふさわしいハゼだ。