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ネムグリガイ  Zachsia zenkewitschi
2009年9月 大阪湾 アマモの地下茎に孔が開いている 同日 孔の内側は石灰質の棲管で固められている
●生息環境・分布
アマモの地下茎に穿孔しているフナクイムシ科の珍種です。
内湾のアマモ場などでアマモの地下茎を丹念に見ていくと中に見つかることがあります。
また海岸に打ちあがったアマモにも見つかるので探してみましょう。
9月頃に多産しており、その後冬期には見つからなくなりました。夏から秋ごろが探しやすいのかもしれません。
●識別点
アマモの地下茎の中に寄生し、白くて薄い石灰質の棲管を作り、その中に暮らしています。
アマモの地下茎を割って、中に白い棲管が見つかれば本種が生息している証拠です。
本種が寄生しているアマモには地下茎に小さな楕円形の穴が開いています。
フナクイムシ科の識別に重要な尾栓の形態は波部(1948)に出てくる図版と一致しました。
他のフナクイムシ科ではアマモの地下茎に穿孔する事はないと思われ、また尾栓の形態も異なります。

●その他
アマモの地下茎を割ると、本種が開けた孔が幾つも見つかることがあり、中には細い地下茎に平行や入れ違いで2本や3本も孔が開いていることも珍しくありません。大型の抱卵していると思われる個体になると1個体で地下茎の中がすっぽりと空洞になってしまうぐらいの大きな孔になり、パンパンに詰まるように入っています。
ここからは私の考えですが、そうした空洞化したようなアマモの地下茎はもろくちぎれやすくなり、ちぎれて海を漂流しながら本種は幼生を放ち、分布を広げていくのではないかと思ったりしています。アマモ分布や季節的消長と本種には何か関係があるのではないかと。今後も興味を持って調べていきたいです。

最近はアマモ場の重要性がかなり認識されてきましたが、本種の存在はまだあまり知られていません。各地のアマモ場で調べれば本種が見つかる可能性があります。

同日 孔の中に本種の殻が見えている 同日 ひとつの地下茎に平行して2個体の孔が並んで開いている
同日 本種の本体 フナクイムシの仲間の体つき 同日 殻のアップ ギザギザがあって、そこで地下茎を掘りすすむのだろう
同日 水管のアップ水管の基部に尾栓がある 同日 尾栓のアップ フナクイムシ科は種によって尾栓の形態が異なる
同日 アマモの地下茎に開く本種の水管の孔 同日 海水中に浸けておくと中から水管が伸びて出てくる
同日 大型の個体だと地下茎がすっぽり空洞化するぐらいになる 同一個体 抱卵していると思われる大型個体。白い部分がそうだと思う
参考文献
波部忠重.1948.日本産フナクヒムシ科.夢蛤.27,11.