オリベリオおじさんとの出会い
オリベリオおじさんの工房
2分ちょっとの動画
(2.3MB)です。
【注:マッキントッシュでは開けないと思います。】
おじさんとは2006年の9月にガリシアでの鍛冶屋大会のときに出会った。友人へのプレゼント用にアイヌのムックリ(竹口琴)を幾つか持って行ったら、何人かの金属口琴の製作者が、なにそれなにそれと私の周りに集まってきて、演奏会がはじまった。その様子をニコニコ眺めていたオリベリオ氏は帰り際、私の耳元でささやいた。「帰りに私の工房へいらっしゃい。君はぼくに口琴作りを習わなくちゃいけないよ。」と。あったかいおじさんは、ひとりぼっちの日本からきた私を歓迎してくれて、ガリシア語で一生懸命教えてくれた。おまけに、作りかけの口琴を次回までに仕上げてくるようにと持たせてくれ、次の訪問を待っていてくれるとのこと。もちろん完成品の金属ケースに入った素晴らしい音色の口琴もプレゼントしてくれた。お礼に日本のなにかすてきなものを送るねと約束をした。


日本に戻ると、日本口琴協会の主催、直川礼緒さんの口琴講座というのが開催されるとのことで、早速申し込んでみた。初日のクラスにオリベリオおじさんにもらったものや鍛冶屋大会でムックリと交換してもらったた金属口琴(trompa)を持参して、クラスにでると直川先生はこれらはどこで手に入れたの?と目を丸くしていた。先生から、オリベリオおじさんや他の作者の口琴の注文を頂いてしまった。またおじさんに会いにいけるなと嬉しかった。

日本では口琴の仕上げができないまま、また渡西した。冬のタラムンディ、ナイフ作り。滞在期間中に直川先生に聞いてきた質問や口琴情報をまとめるのもひとつの目的に。私のナイフの親方ファン・カルロス氏も口琴作りや演奏が上手く、一緒に村における口琴の歴史やらをいろいろ調査。彼は村の文化保存運動や自然保護運動に熱心な青年。ナイフ作りの腕も抜群で誰もが認める村のヒーローみたいな存在。もともと彼の工房で3週間ナイフ作りを習っていたときに、休み時間、工具だなの端に置いてある口琴やリコーダー、タンバリンで誰からとなく合奏したりして、口琴の音色の面白さを知った。そういえば、2005年の秋にはじめてこの工房を訪れたとき、ナイフと一緒に見せてくれていた。日本にも先住民族の楽器で同じような音色のものがあるよ!と自慢した気がする。

2007年2月ふたたび、オリベリオ氏の工房。友人に載せてもらった車ですごい山道をかけ抜けて、工房に辿り着くとおじさんはニコニコ家から出てきた。車酔いで真っ青な私に、まずは家に上がってお茶をのもうと誘ってくれる。がんばらなきゃと気を張っていた分、おじさんの気遣いに涙が出そうになる。キッチンストーブですっかりあたたまった部屋に通してくれ、奥さんおすすめのハーブティに濃い色をしたヒースの蜂蜜を入れて飲む。ちぢこまった胃がミントとカモミールですっきりする。注文していた口琴を受け取るだけのつもりだったのに、おじさんは今回も習っていきなさいと電話の先で提案してくれたため、前日からお昼ごはんくらい作っていこうと張り切って酢豚とおにぎりを用意していった。今回は撮影の暇はなく、実際におじさんの作るそばから、自分も制作したので、メモのみ。とにかく必死でおじさんの話すガリシア語をメモした。1日はあっという間だった。炭の粉で二人とも顔も手も真っ黒けにして、笑いながら作業した。

お昼ごはんは奥さんの手料理がたくさん用意されていて、私の酢豚やおにぎりはなんだか隅っこに。奥さんは1日キッチンストーブの火を絶やさないように薪をくべながら、料理と編み物をしていた。カルドというガリシア風煮込と家庭風パエリア、自家製の堅くて大きいパン、ワイン、チーズ、生ハム、チョリソー(毎年どの家庭でも近所の人総出でmatanzaという豚のと殺を行ってつくる。)どれも美味しく優しい味がしてしみじみしてしまった。食事をしているとおじさんが二階からなにやら機械を持ってきた。なんと、DVDデッキ!ほとんど自給自足の素朴な暮らしのこの家になんとDVD。しかもモニターに映っているのは、オリベリオ氏!以前にマドリードで口琴の研究をしている女子学生が録画してまとめたものだそう。前編では世界の口琴が映り、北海道のムックリ(竹口琴)も紹介されていた。そしておじさんの工房での制作風景、ガリシア地方の口琴演奏家の名演奏と続いた。時折、とまってしまう画面を奥さんが手で叩いて再生させていた。ゆったりとした田舎の暮らしにも、都会からあれやこれやと色んな変わり者が来て、撮影だの取材だの、おじさんはそんなこともどっしり構えて受け入れていた。すごい。夜遅くまでかかって、口琴の形だけは完成した。またたくさんのおみやげをもらった。口琴だらけ。次回までになんとかがんばらなくては。

どんなときに口琴を吹くの?という質問におじさんは昔は羊飼いが放牧に行って、山でひとりで愉しんだもんさと教えてくれた。

 


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