心のままに

    いのち満天

                  まきさん お元気ですか_
                 20歳のお尻は 健在でしょうか

                蛇皮のバッグには 相変わらずのピンクの口紅 薔薇のハンカチ
                 忘れないで入れてますか?

               蛇なんて 大嫌いじゃ・・・って 言っていたのに 

                「可哀想にの〜 皮を 剥がれて痛かったじゃろ・・・」

            ああ  蛇皮なんて言わなけりゃ良かったかな
           そのくせ 皆に
                「これは高級な 蛇の皮を剥いてな・・・・」
                     「この艶は 若い油の乗った蛇ちゃんでのう・・・」
                。。。

           博学の彼女 いつも笑い話のように 同室の仲間にいろんな話をしている
             
                      「蛇が脱皮する理由 ご存知?」
              そんな事を言わないから 人気者なのかもしれない

                  「蛇ちゃんも年がら年中 同じ服飽きるじゃろ〜」
               「この蛇はデブになって 今までの服が窮屈になったんじゃろなぁ」

          適当な事を言っているけれど 動けない隣のおばあちゃんが
                           くすっ   と笑う
               その瞬間が嬉しく 同じ生きている空間を共有しているのかもしれない  
                 人を不思議な力で 引きつける才能に長けているのかもしれない

                     とかく暗くなりがちな病院の一室。。。
               それも 気力を失ったお年寄り達の暗くなりがちな 空間
              家族も滅多に来ない隣りの おばあちゃんが
                      一瞬  笑った

             久しぶりに見舞いに行ったら 
                      「口紅なくなったもんねえ・・」

                  ええ? 
                    「この前も持ってきたでしょう?」
                どこにお出かけ できるはずもないのになあ・・・
              そう思いつつも 私のピンクの口紅を手渡すと しわくちゃな頬が
                   口紅と同じ色に染まった
                 。。。

               爽やかな秋の陽だまり
            今日も ピンクの口紅がいいね  
                     まきさん

            なくなったら また 届けにいくね

                    綺麗な空に お引越ししたけれど・・・

              桜の季節には
                    ピンクの花びらを届けるからね
                          ピンクの口紅と一緒にね
                  。。。。。。

              今ね   私は 貴女にちょっぴり近づいた自分を 感じます

                  「まだまだじゃ・・・
                それより 牛肉の甘辛煮 持って来ておくれ」

                薔薇のような心を  ありがとう
                       ピンクの 心を  ありがとう

               いのち  満点

                  いのち  
                         満天!

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