アメリカの音楽

ハーヴェスト (ニール・ヤング)
俺が都会での生活を捨てて田舎に帰った頃の話だ。結構いい年をこいてて初めて車の免許をとった。社会復帰の為に(別に刑務所に入っていたわけでもないけれど・・・)親父から中古車を買って貰った(勿論、金は返したけれど)。いろいろ仕事を探した結果、中年にさしかかる俺を雇ってくれたのは、めがね工場だった。仕事自体には何の魅力も感じなかったが一生懸命やった。仕事も慣れてきた夏の或る日の夕方、まっすぐ家に帰るところをちょっと違う道を走ってみた。カー・ステレオからはニール・ヤングの「ハーヴェスト」が流れていた。車を走らせていて、ぼんやり外の風景を眺めていて愕然とした。とんでもない田舎に来てしまったんだと・・・。孤独感も頂点に達した。人生が終わったような気もした。そしてフロントガラス越しに見える風景とニール・ヤングは妙にマッチしていた。けだるい夏の夕暮れに「ハート・オブ・ゴールド」のペダル・スティール・ギターはハマリまくっていた。或る夏の日の夕暮れ時の話である。