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福田政権半年
(共同通信 2008年3月26日)

 ねじれ国会、再議決、つなぎ法案、議長あっせん、大連立。

 福田政権になってから政治の世界から聞こえてくる言葉は、国会対策に絡むものばかりだ。

 好き嫌いはともかく、「自民党をぶっ壊す」や「美しい国」からは、首相が何をしようとしているのかが見えた。おそらく今、国民はそうした感覚を持っていない。福田内閣を象徴するような言葉が、首相本人から出てこないからだ。

 こうした不満を如実に物語っているのが、内閣支持率の低迷である。各種の世論調査は、もはや国民の三分の一しか内閣を支持していないことを示している。

 より深刻なのは、内閣に対する「不支持率」の高さだろう。多くの調査が、内閣発足から五か月ほどのうちに五〇パーセントを超えたことを明らかにしている。国民の半数以上が内閣に対して積極的に不支持を表明していた以上、これは内閣の存続に黄色信号が点ったと受け止めるべきだ。

 閣僚の失言や事務所経費などが次々と問題となった安倍内閣ですら、過半数の人が不支持に至るまでには八か月近くかかっている。小泉内閣では、その約五年半の任期中、不支持率が五〇パーセントを超えることはまれであり、調査によっては一度もなかった。

 もちろん森内閣のようにほぼ一貫して不支持率が五〇パーセントを上回った例はある。だが、今回は、首相の失言に国民が嫌悪した森内閣の場合とは違う。福田内閣については、むしろその無為無策への幻滅が国民の間に急速に広がっているようなのである。実際、共同通信の世論調査でも不支持の最大の理由は「首相に指導力がない」であった。

 福田首相は、もしかすると野党との話し合いを重視するあまり、国民に向けて政治的メッセージを届けることを忘れているのではないか。いくら国会演説で「国民本位の行財政への転換」を掲げても、また国民と政治の間に「信頼の巣」をつくると述べても、国民と語らいながら政治を進める雰囲気が日々の言動から感じられなければ、「国民本位」はやはりスローガンにしか見えない。有識者会議を増やすよりも、国民世論にもっと直接働きかける工夫が必要なことは明らかだ。

 さて、それでは一方の民主党に国民の期待が集まっているかというと、政党支持率を見る限り、そうとは言えない。福田内閣の不支持率が高いわりには、民主党支持率はなかなか上がって来ないのである。

 政局優先の姿勢が国民の離反を招いているからだとの意見もある。だが私には、民主党についてもやはり国民への言葉の投げかけが足りないように思える。小沢党首はいつまで「不器用で口下手な東北人かたぎ」を言い訳にするのだろうか。

 景気に陰りが出始めた今、政治が国民を鼓舞する言葉を持たず、国対政治に終始しているのは残念である。国民が政治の有効性を疑ったり、疎外感を感じたりしないよう、政治指導者には一層の努力を期待したい。


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