院長先生のコラム>

ピロリ菌について


ピロリ菌について質問を受けることが時々あるのでご紹介しようと思います。

正式名称はヘリコバクターピロリといいます。
らせん型をした細菌で胃潰瘍を発症させる原因菌として注目されています。
感染経路はいまだにはっきりとはしておらず、人から人への感染、動物や昆虫からの感染、飲料水からの感染などさまざまな説が検討されているようです。

しかし、ピロリ菌感染と胃潰瘍、十二指腸潰瘍との関連は明らかで、内視鏡検査で潰瘍が明らかになれば同時にピロリ菌の有無を検査されることが多いです。

もしピロリ菌が存在すれば除菌することで潰瘍の再発率が格段に低下します。
具体的には2種類の抗生物質と一種類のプロトンポンプ阻害剤という制酸剤を内服するのですが、細菌抗生物質が多用される影響でこの抗生物質に抵抗性のあるピロリ菌が徐々に増えています。
内服の期間は一週間ですが、中途半端にやめてしまうと失敗の確率も高くなってしまいます。

現在のところピロリ菌の除菌が確実に有効な疾患は胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫です。
胃癌などへの関与も言われているのですが、現在のところ除菌することではっきりと胃癌の発生が減少するということは研究結果から示されておらず検討中です。

除菌ができたかどうかの判定は胃内視鏡検査をうける方法、尿素呼気法といって吐く息を使って検査する方法、血液中のピロリ菌に対する抗体を調べる方法などがあります。

海外では除菌がうまくいかなかった場合には第二の治療法を選択できますが、日本では現時点ではその治療は保険適用ではありません。

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