京都マラソン2023を走ってきた。前回このマラソンを走ったのは2020216日のいわゆるコロナ禍前で、この日に開かれた大会以降はことごとく中止になったことを思い出す。この大会は僕にとっては生まれ育った京都市内を一周ぐるっと巡れるのでお気に入りの大会で、オンライン大会となった2年を除いて毎年エントリーしている。
 前回の京都マラソンに引き続き、今回も伴走はほしちゃんにお願いした。特にコロナ禍以降、ほしちゃんにはいろんな所へ連れていってもらい、いろんなランコース開拓も楽しんできた。ほしちゃんは僕のランニングスタイルをよくわかってくれている良き理解者でもあるのだ。
 
 3年前の京都マラソンでは前半結構いいペースで走れていたのだが、たしかその日の明け方に強い雨が降ってしまったため、賀茂川の河川敷の
2.5キロ区間がスリップ警報状態の水びたしとなり、苦戦を強いられてしまったのだ。だから、今回はなんとしても雨はやめてほしい。年明けから枚方10キロの大会、高槻シティハーフマラソンと、いずれも申し分ないラン日和の中レースを楽しめたので、今年は休日ごとにいい天気になるぞと思っていたら京都マラソンの日は、午前中の雨確率がなんと100%になってるではないの!60%とか70%とかじゃなくてめったに出ない100%が発令されてしまっては、もう覚悟を決めるしかない。ということはまたしても賀茂川河川敷2.5キロ区間は滑りまくりの水びたし波田陽区の「ざんねーん」という声が聞こえてきそうである。しかし、考えようによっては、避けられない雨の中を奮闘する同士が16,000人もいるのだ。逆境に集う群衆なんてのも悪くないと思えば、なんとなく覚悟もできてきた。
 
 前日の晩、寝る前に耳をすましていたが、激しい雨の音は聞こえない。もしかしたら
100%の雨確率なんてと淡い期待を持ってしまう。朝になってほしちゃんと駅に向かう道も雨は降ってはいるが小雨で、これはあまり影響がないのでは。しかし、西京極駅に着いてみると、やはりそう甘くはなかった。立派な雨が降っているではないか。これでは賀茂川河川敷はあきらめるしかない。とりあえず、雨や寒さ対策で配られているビニール袋をかぶって走ることにした。 会場に着くと、大勢の群衆の中で、長居わーわーずのたかちゃんと大下さんに会うことができた。二人とも元気そうだ。しばらくすると、賀茂川パートナーズの千秋さんとN花さんにも会うことができた。やはりラン仲間に会えると元気が出てくる。千秋さんとは同じDブロックだったので、スタートまで一緒にいることができて楽しかった。そこで、千秋さんからいい情報をもらった。賀茂川河川敷の砂地区間が舗装されたから水びたしはましかもしれないよということで、少し希望が持てた。今年もきよぴー司会のセレモニー、車椅子の部の選手を見送って、9時の号砲が鳴った。
 
 雨は幾分弱くなってはきているが、水たまりはしっかりできている。スタート直後はランナーひしめき合いの団子状態がしばらく続くと思っていたが、思ったよりは走れている。雨だというのに、雨を吹き飛ばすかのごとく、とにかく沿道の応援が非常に手厚い。四条通を西進していると、どこかで聞いた声がする。たいへんご無沙汰しているやまちゃん(男性の方の)だった。ヨッシーさんも一緒に何度か楽しいマラニックをしたことなど話しながら再会を楽しんだ。そして、猫好きに人気があるという梅宮大社を過ぎ、
4.5キロ地点の桂川を北上する。最初の5キロは3003分で走っている。
  渡月橋付近を中心に桂川にも応援してくれる人がたくさんいる。だいぶ後ろからスタートしているはずのJブロックの高速ランナーがどんどん抜いていくのだが、これは一体どういうことだ!6キロあたりでコース最西端の嵐山に到着。JR嵯峨嵐山の跨線橋を通り、一条通に入り、大覚寺付近を通過すると山エリアに入ってくる。水たまりはそれなりにあるのだろうけれど、ほしちゃんが器用によけてくれているようで、あまりダメージを受けずにすんでいる。それから、ほしちゃんは無理なく前のランナーを抜かしてもよさそうな場合は声をかけて、なんともいい塩梅でストレスなく走らせてくれている。気温は14度あるようで、エイドでほしちゃんがかぶっていたビニールを脱ぐというので僕もそれに倣うことにした。エイドで塩タブレットをいただいた。ここまでの5キロは2944秒。
 山越を過ぎ、上り基調となる。太鼓の力強い応援に続いて、仁和寺のお坊さんが応援してくれている。きぬかけの道を通り、龍安寺を経て、立命館のところでは小さなチアガールたちの元気な声が聞こえてきた。馬代通を経て、西大路通の平野神社の辺りが13キロを越えた地点だ。ここは西大路通の上り区間で、駅伝コースとしてよくテレビでも中継されるところだ。今日は道路の半分を車が走っていて、もう半分をランナーに走らせてくれている。西大路通を緩やかに上りながら北上するとわら天神、ついで金閣寺が現れ、そこからは北大路通を東進する。ここまでの5キロは2908秒。

 雨は弱いながらも降り続いている。今宮門前通の狭い道に入ると、やはりエイドに今宮神社名物のあの香ばしい炙り餅が置いてないかなぁと思わざるをえないが、残念ながらないようである。今日は結構見知らぬランナーが「頑張って!」と声をかけていってくれる。「伴走頑張れ!」というのも何人か言ってくれて嬉しい。賀茂川が見えてきて、川沿いの賀茂街道を北上する。18.4キロでこのコースの北端、西賀茂橋を渡って折り返し、今度は加茂川を南下する。北に上がったからかときおり冷たい風が吹いてくる。御薗橋、北山橋を渡り、北山通を東に進むと中間地点だ。ここまでの5キロは2922秒。

 前日、みやこめっせでの受付の際、ほしちゃんと実物を触らせてもらいながらエイドの食べ物の予習をしておいた。それによると、この辺りからのエイドにはいろいろと食べ物が登場するとのことだ。山一パンがチョコソフトやクロワッサンを出してくれるようだ。ちなみに、前回は京都マラソン限定(?)のはちみつレモンパンもあったのだが、今回はないらしい。そして、早速クロワッサンをいただいた。個包装になっていて、思ったよりも大きかった。ちょっとぱさぱさしていて、もっとしっとり系の方が食べやすいのだけれど、味は美味しかった。給食をとる場合、まず給水をとってくれる伴走者が多いかもしれないが、ほしちゃんは給食の後に給水をとってくれるので、これは非常に助かるのだ。さて、この辺りからたびたびノンスリーブのお姉ちゃんが登場することになる。一つ一つの応援に対して超元気な声で応えていて、また行き交うランナーにも大きなよく通る声でエールを送っている。42キロ、ずっとこんな調子でやっていたらかなりすごいと思うのだが。ダム女や工繊を通って折り返す。この辺りからは折り返し区間が増えてくるということで先ほどのノンスリーブ姉ちゃんにもたびたび会うことになるのだが。ここまでの5キロは2955秒。


 復路は下鴨本通りを1キロほど南下して洛北高校前まで行き、同じ道をまた北山通まで北上する。前回はこの26.8キロ地点に生八つ橋エイドがあって、それを楽しみにしていたのだが、なんと今回、同じ場所にエイドはあるが、生八つ橋がないではないか!これまたざんねーん!このエイドを過ぎるとすぐに植物園なのだが、植物園の中を通り抜けて北大路側に出ることになる。ただし、植物園の中はくねくねカーブが多く、足場もがたがた、それに道幅も広いわけではないので、走りやすいとはいえない。ペアの部でエントリーしているランナーはここが交代地点となる。前日のみやこめっせにて福士加代子さんの対談を聞かせてもらい、福士節全開で元気をもらった。そのとき、彼女もランナーとして、ペアの部の後半を走り、全員を追い抜いていくぞー!と言っていて、「会えるかな」と期待していたのだが、我々の到着前にスタートしていたようだ。植物園を北大路側に出ると、30キロ手前からはいよいよ恐怖の(?)びちゃびちゃ覚悟の賀茂川河川敷だ。でも、千秋さんから河川敷がリニューアルされているという話を聞いていたので、少し期待もしていた。ここまでの5キロは3306秒。足が痛くなってきていて、エイドの滞在時間も長くなってきた。

 河川敷におそるおそる足を踏み入れるとおっ、砂地じゃなくてコンクリートになっている。これはいいぞ!河川敷は2.5キロ続くから少しでもいいから砂地区間を減らしてもらえたらありがたい。生八つ橋に代わって、今回はエイドで鼓月の抹茶味を置いてくれていたので、それとクロワッサンのおかわりをいただいた。出町柳を過ぎてもまだ砂地は現れない。なんと走りやすいことだ!荒神橋近くのエイドではいちごとミニトマトをいただいた。そして、丸太町まできて、河川敷から上がる所までやってきた。すごーい!砂地の区間はついに現れず。この区間はすべて舗装されていることがわかり大収穫だった。これなら雨天でも大丈夫。おまけに新しくできたためか水はけもよいのでむしろ走りやすい区間だった。
 さて、今度は丸太町通を御所に向かって1キロ西進し、折り返して1キロ東進して戻ってくる区間だ。聞き覚えのある元気な声が名前を呼んでくれている。なんと、ミントの応援隊がはるばる来てくれていたのだ。ありがたや!しばらくすると「いい走りしてるねぇ」と僕たちに声をかけてくれる人がいた。かなり年配の人のようだが、颯爽と駆け抜けて行かれて、これぞ「いい走り」をされている。
 河原町通を南下して35キロ地点の京都市役所に向かう途中でも、またノンスリーブ姉ちゃんの元気な声が聞こえてきた。僕はというと先ほど来かなり腰が痛くなっている。前回もこの辺りで腰が痛くなって足が前に出ず、しばらく歩いたことが思い出される。実は僕は今までに出たフルマラソンで、一度も歩かずに完走したことは2回しかない。一つは最初に出た京都マラソンのときで2回目はほしちゃんと走って自己ベストタイムが出た泉州マラソンのときだ。今日はタイム的にはそれほど早い記録は狙えないので、「よし、今日は歩かずにゴールするぞ!」と決意した。ここまでの5キロは3208秒。

 しかし、ここからは北に向かうのでやや上り基調となり、腰がはずれんばかりの危うさになってきた。そんな辛い区間で、おりーぶさんやあやこさんからエールをいただきたいへん嬉しかった。川端二条を曲がればいよいよ終盤の東山通の京大付近だ。そのままゴールの平安神宮に行けたらどれだけラクかと思うが、そうはさせずに、百万遍を経由して、銀閣寺の手前まで行かせてくれるのが京都マラソンのありがたいところでもあり、にくいところでもある。この今出川通から東に向かう1キロが上りのため、かなりの難所である。それに、先ほどから結構冷たい風が吹いて、なかなかに寒々しい。だいぶ腰が限界にきていて、よっぽど歩かせてもらおうかとも思ったが、折り返しまで行けば、あとは下り基調なので、最後のひと踏ん張りをすることにした。それにしてもきついと思ってたら、また会いましたな、ノンスリーブのお姉ちゃん。この方テンションが衰えることを知らないようだ。そして、折り返しまで来て、これでゴールできる目途が立った!百万遍までの下りの1キロはわりとすいすいと走ることができ、東山通に帰ってきたら、あと2キロだ。ここまでの5キロは3408秒。

 41キロの東山近衛の給水まできて、あと1キロならとらずに行けそうな気がしたのでここはパス。行き交うランナーたちが「あと1キロ頑張ってね」などと声をかけてくれてなんともありがたい。京都マラソンのコースはやっぱり楽しくて面白い。都会あり、川沿いあり、山エリアありおしゃれな北山通に植物園通り抜け、河川敷、駅伝気分で走れる区間に様々なる大学や寺社仏閣でのそれぞれに趣向を凝らした応援、フィニッシュにふさわしい平安神宮。一つのエリアが終わると次は何のエリアに行けるのかなというわくわく感があり、決して飽きることがない。足元の路面の状態や空気感も頻繁に変わるので、やはり僕はこのマラソンが好きだ。そして、最後はペースを落とすことなく、平安神宮にゴールイン!タイムは4時間2529秒(ネットタイムは4時間2151秒)。タイムだけを見ると4時間切りは遠く及ばなかったが、僕には珍しく、一度も歩かずにゴールテープを踏めたのは感動的だった。最後まで頑張ったという達成感があり、満足のいく結果だったことは間違いない。

 この後はフィニッシャータオルと友禅デザイン紐のメダル、京都マラソンバージョンのマールブランシュの茶の菓、京都米のおにぎりをいただいた。前回は西京焼味噌と九条ネギの味噌汁もあったのだが、今回はコロナ明け最初の大会ということで見合わせとなったようだ。みやこめっせの地下でゆっくり着替えさせていただき、会場を後にした。地下鉄の東山駅のホームで電車を待っていると、Did you enjoy your run?と話しかけてきてくれる人がもしや、と思ったらそのとおり、ミントで一緒に走っていたRandyだった。こんなところで会えるとは嬉しい!電車が来るまでの時間お互いに近況報告ができて嬉しかった。今日はいろんな知り合いに会えたなぁ!
 ほしちゃん、天気も悪く、路面の状態もめまぐるしく変わるコースにも関わらず今回も安心してストレスなく走れるすばらしい伴走をありがとう!充実の京都1日ランの旅やったよ。やっぱりほしちゃんと走ってると楽しいわ!


 宗平さんがFacebookに投稿されたものを掲載させていただきました。
宗平さんメッセージ
「ミントのみなさんの元気な応援を2回もらえてたくさんパワーをいただき、最後まで楽しく走れました。最後にはRandyさんにも久しぶりに会えて嬉しかったです。みなさんにもよろしくお伝えください」 
   ご参加の皆様、応援隊の皆様おつかれさまでした
宗平さんの京都マラソン2023レポート