●ギターのコンデンサについて
ギター内部パーツの中で、音色に最もかかわりが深いといわれるのがコンデンサです。コンデンサを変えても音は変わらないと言う方もおりますが、経験として交換するだけでも音は変わります。音色、音抜けなどコンデンサによって個性は様々です。
今回、現行品から入手困難なヴィンテージまで集めチェック用のギターでサウンドチェックをしましたのでご紹介します。
●試奏用ギターの紹介
試奏用ギターは、レスポールモデルになります。ギターの仕様は、スタンダードなものです。
●Gibson LP Studio
コンデンサのチェックから配線材のチェックまで行なえます。
●コンデンサの紹介
貴重な物から、最近の物までいろいろ集めてサウンドチェックをしました。*コンデンサに個体差はあります。
音色を言葉で表現するのは、非常に困難なことですが、参考までにまとめてみましたのでご紹介します。
使用機材は、レスポールモデルを使っています。ピックアップはギブソン57クラシックを搭載しています。現在はダンカンの59に変更しております。
●ヴィンテージコンデンサの販売もおこなっております。
[ Sprague Bumble-Bee ]
●0.022uF/200VDC
●0.022uF/600VDC
●0.047uF/200VDC
●0.047uF/400VDC
●0.033uF/400VDC
●0.047uF/600VDC
●レプリカ 0.022uF/400VDC
●0.022uF/200VDC
●0.022uF/600VDC
●0.022uF/400VDC
●0.033uF/400VDC
●0.047uF/400VDC
●0.022uF/600VDC
●0.033uF/400VDC
●0.022uF/400VDC
●0.05uF/600VDC
●0.022uF/100VDC
●0.022uF/400VDC
●0.022uF/1000VDC
●0.047uF/1000VDC
●0.022uF/400VDC
●0.047uF/400VDC
●0.022uF/400VDC
●0.047uF/400VDC
●715P 0.047uF/400VDC
●SBE 715P 0.047uF/600VDC
●715P 0.022uF/400VDC
●SBE 418P 0.022uF/600VDC
●225P 0.022uF/200VDC
●0.022uF/630VDC
●0.047uF/400VDC
●0.022uF/630VDC
●0.047uF/630VDC
●0.047uF/1000VDC
スプラグ社のバンブルビーです。50年代半ばから後半にかけてギブソン社のエレクトリックギターのトーン回路部で使用され、現在レスポールモデルの価格が高騰していることが関係して、パーツ自体非常に高額になっています。0.022uF/400Vの値をギブソン社が使用していたため、この値は特に市場にはほとんど出回らないのが現状です。また、レプリカのモデルまでが市場に出はじめています。人気がある理由としては、オールドのレスポールの音を再現することと、そのサウンドに魅力があると考えられます。今回、様々な値を数個ずつ弾き比べて、容量と耐圧による音質の変化を研究してみました。(容量を測ってみるとかなりばらつきが有った為全体をみた上で判断しております。)全体的にみていくと、音の抜けが気持ちよく高域から低域までバランスよく出ていきます。耳障りにキンキンすることも無く、中低域もボワボワせずに抜けていきます。トーンを絞っても、ほどよく高域が残りつつ中域の硬い部分もほどよくなくなっていき音が潰れるようなピークがなく、絞りきってもモコモコせずに非常に扱い易く感じました。容量による違いは、トーンを絞りきった場合低域が変わるのはもちろんですが、その他では大体同じです。耐圧による音の違いは、細かくチェックしてみると200Vと400Vではほとんど差が無く、個体差による音の違いの方が目立ちました。600V、1000Vの場合は、高域から低域まではっきりでるような感じでハイファイさを感じました。
結果として、細かくみると固体差があるため個々に違いが出てくると思いますが、全体的には、抜けが良くバランスの良い非常に魅力的なコンデンサでした。
レプリカは、ギブソンヒストリックコレクションに付いていた物です。本物と比べると当たり前ですが全く別物です。
*これらのコンデンサをオイルコンデンサと言う方がおりますが正確にはオイルペーパーコンデンサです。
*バンブルビーカラーコードの読み方は、左から3番目までが値、4番目が誤差(緑±5%、白±10%、黒±20%、橙±30%、黄±40%)、五番目が耐圧(×100)です。カラーコードは、黒-0、茶-1、赤-2、橙-3、黄-4、緑-5、青-6、紫-7、灰-8、白-9です。コンデンサは値が小さいので通常マイクロファラド(μF)と表されます。1マイクロ
= 0.000 001=(10-6 )になります。よって、0.022uF400Vは、赤赤橙=22×103×10-6(μ)=0.022μFで、耐圧は黄=4×100=400Vになります。1000Vの場合は茶黒=10×100=1000Vです。
[ Sprague Black Beauty 160P ]
●0.047uF/200VDC
スプラグ社のブラックビューティー160Pです。60年代初めにギブソン社のエレクトリックギターのトーン回路部で使用され、現在ヴィンテージギターの価格が高騰していることが関係して、パーツ自体徐々に高額になっていっています。0.022uF/400Vの値をギブソン社が使用していたこともあり、この値は市場にはほとんど出回らないのが現状です。バンブルビーに次いで人気があるコンデンサです。全体的にみていくと、音の抜けが気持ちよく丸みのある感じで中域が前に出て行きます。耳障りにキンキンすることも無く中低域にブーミーな感じもあります。
結果として、バンブルビーと比べると音抜けは同等に良く中音域が前に出る感じで、こちらも非常に魅力的なコンデンサでした。
[ Sprague & SEB Orange Drop ]
[ Sprague Vitamin Q ]
[ Cornell Dublier Black Cat ]
[ Cornell Dublier PM GREENIE ]
[ TOICHI Vitamin Q ]
[ ERO 1813 ]
[ ASC X363 ]
[ Amco ]
[ HITACHI ]
ASCのポリプロピレンコンデンサです。癖のないクリアな音質で柔らかくふくよかな感じを受けました。全体的に普通な感じです。
EROのポリエステルコンデンサです。癖のないクリアな音質で柔らかくふくよかな感じを受けました。0.022の方が太く感じます。全体的に普通な感じです。
日立のポリプロピレンコンデンサです。太く押し出しがあり、ゴリゴリ感があるものの柔らかい音質で、抜けの無い普通の感じですが、低価格のわりに上質で驚きました。
アムトランス社のフィルムコンデンサです。明るく前にでるハイファイな感じがありました。0.022の方がより明るい感じです。
●Ceramic CAP 0.022uF
ギブソン純正のセラミックコンデンサです。低域の滑らかさがあまり無く、トーンを絞ると良い感じで硬さを残しつつアタック感は残る感じがありました。
結果として、大きく音質の差がでました。現在、多くのギターはトーンコントロールにセラミックコンデンサが搭載されていると思います。コンデンサによる音質を変化を考えると、全体的に見て、ヴィンテージコンデンサは、音の抜けが良く万人に好まれそうな感じがしました。コンデンサのグレードアップと言うとオレンジドロップに変える事が定番のように言われていますが、他にもいろいろな種類がありますので好みのものを選んでいただければと思います。音の好みはプレイヤーによってかなり分かれると思いますが、参考になれば幸いです。
今回は比較的有名なコンデンサを集めてチェックを行ないましたが、新たに増えましたらアップを予定しております。
●0.05uF/600VDC
●0.0022uF/600VDC
●レプリカ 0.022uF/400VDC
[ Sprague Ceramic CAP ]
[ Sprague Black Beauty 273P ]
[ Sprague Black Beauty ]
●0.033uF/400VDC
●0.015uF/400VDC
●0.0068uF/1000VDC
●SBE 716P 0.047uF/600VDC
ITWのポリプロピレンコンデンサです。癖のないクリアな音質で柔らかくふくよかな感じを受けました。
●0.047uF/125VDC
●0.022uF/400VDC
●0.1uF/100VDC
●0.05uF/100VDC
ダイレクトロンのセラミックコンデンサです。癖のないクリアな音質で粒立ち感のあるコンデンサです。