●バインディング交換、フレット交換、その他調整 Gretsch Country Gentleman 1962
バインディング交換、フレット交換、その他調整修理のご紹介です。バインディング剥がれは、バインディング材の経年変化による収縮や、木材の収縮により起こる症状です。また、この頃のグレッチは、材の関係でボロボロになるまで劣化して行きます。他のメーカのものでは縮んでいる現象は比較的よく見かけることがあります。今回のケースでは、劣化が激しく全体的に交換することとなりました。
宮田工房では様々な角度からギターをチェックしてお見積りをたて、お客様に納得を頂いた上で作業を進めていきます。
今回は、「なんでも鑑定団」でお馴染みの、ブリキのおもちゃ博物館の北原照久様の修理品になります。当時、チェットアトキンス本人が所有していたもので大変貴重な楽器です。依頼内容は、バインディング、フレット交換、その他全体的に調整でしたが、比較的状態が良く、ネックサイドのポジションマークなど再利用して極力手を加えずにオリジナルを再現するという修理内容になりました。作業内容は、バインディング、フレット交換、トラスロッドカバー製作、ミュート部分の復元、その他調整になりました。また、ハードケースも劣化しており、修正しました。
初めに、全体を慎重に細かく調べていきます。パーツ類を外し、ミュート部分の劣化したパーツやなど細かく調べます。
バインディング、フレット交換が終わり、各部分をチェックして、塗装の工程にはいります。塗装は、元の塗装部分と境目がわからないように、焼けた感じを再現しながら色をつけて行います。
バインディングの溝に残った接着剤など取り除き、綺麗に整えていきます。
バインディングを接着していきます。この頃のグレッチのカスタムバインディングは、黒白黒白ですが、厚さが同じで、現行で手に入るパーツに同じ厚さがないため、パーツの入手には非常に困難でしたが、幸いにも僕が尊敬する有名な沖田工房の沖田さんから分けていただき、アドバイスもしていただきました。ただ、分けていただいたパーツでも、実際の厚さとは違うため少し削り厚さをそろえてから、接着なります。また、ボディ外周に削りながら合わせる作業は、塗装を剥げないため非常に手間のかかる作業になりました。
今回のフレット交換は、バインディングを交換するため先にフレットを打つ作業になります。打ち換え後、バインディングを接着して整形して行きます。
完成です。塗装などは、他のパーツとのバランスを考慮した上、適度に仕上げました。今回は、パーツの入手や細かな作業で時間もかかりましたが、納得のいく仕上がりになったと思います。
また、サウンドは驚くほど良く、非常に良いギターでした。
バインディングは、ボディの塗装を剥さないように慎重に剥していきます。非常に神経を使う細かな作業です。
ロッドカバーを製作します。オールドから型を取り、製作し塗装をしてヴィンテージ感を出します。
ミュート部分は、スポンジを交換して、適正に動作するように調整します。