ネック折れ、その他調整  Orville LPCー80

ネック折れ修理のご紹介です。ネック折れは、人為的に起ってしまうもので、角度つきのマホガニーネックに多く見られます。マホガニーは、軟らかい材のため硬いメイプル材と比較すると非常に折れやすいです。持ち運びの際など、弦を張ったままでもハードケースにしまっておけば倒しても大丈夫だと思われがちですが、弦の張力は何十キロもあるため、ハードケースでも弦をゆるめる事をお勧めします。また、折ってしまった場合は、早期修理をお勧めします。放置してしまうと折れた部分が湿気や乾燥などで変形してしまい、綺麗に接着できなくなると共に強度にも関係する恐れがあります。ネック折れは、ただ接着するだけの簡単な修理と思われる方もいると思いますが、実際は圧着する際の力のかけ具合など高度な技術が必要になります。また、折れ方、仕上げなどにより修理方法、修理金額が様々です。宮田工房では様々な角度からギターをチェックしてお見積りをたて、お客様に納得を頂いた上で作業を進めていきます。
今回は、ネック折れ接着、木片のチップ部分の修正、簡易塗装の修理になります。

●その他のリペアファイル

折れた部分を開き接着面に木片や塗装の破片などが入っていないか慎重に調べていきます。今回は圧着しただけでは、隙間が開いてしまい内部で噛み合わない部分があり、つき板を剥すかたちをとる予定でしたが、ナットを外したところ動く範囲が変わり上手くかみ合わせることが出来ました。このような感じで確実な方法を調べます。噛み合わない状態で圧着した場合、木部は潰れて接着はできると思いますが強度は弱まります。
木片のチップ部分を修正します。材を埋め込み接着をしやすいように最小限に直線、平面を出していきます。
初めに、全体の状態を慎重に細かく調べていきます。
簡易塗装をして完成です。今回は、色合わせ等おこなっておりませんので強い光線が当たりますと塗装部分がわかります。画像は通常の光線の状態です。

同じ材を使い接着し整形します。塗膜のチップ部分も周りにありますので下地を塗装して整えます。

接着は、慎重に行ないます。はじめに接着剤をつけない状態で圧着し、確実な方法を調べます。塗膜の段差がでないように接着します。

弦を張り、各部調整し数日張りっぱなしで全体的にチェックした上で完成になります。今回お預かりしたギターは、オービルのレスポールカスタムになります。作りの良さから近年では中古の相場が上がっております。お客様のお話では、ピックアップの改造をして愛着のある大切なギターということでしたので末永く愛用していただきたいと思いました。