数年前、NHKの番組で「モモタロウ」が生まれるまでのドキュメントを放送していました。
私は、たまたま見ていたのですが、その時チラッと紹介された元気の事がとても心に残りました。
生まれたばかりの可愛いモモタロウは視聴率を求めるTV番組やCMにはぴったりキャラクターで、人々の視線がそちらに向くのは当然です。
でも、その向こう側の影の存在に目が向いてしまったのです。
ちょうどその頃、私自信も失恋のような思いをしていて、体調をくずし体重が減り、何となく憂鬱な日々を送っていました。
なので勝手に"元気の気持ちがわかる"気がしてしまったのです。
103キロあった体重が63キロまで減ってしまうなんて、人間でいったらそうとうの心の傷だと思いました。
私は3キロ減っただけでした。人間だったら新しい出会いがたくさんありますが、動物園にいるゴリラには限られた出会いしかないのです。
元気より私の方がはるかにマシなんだから元気をだそう・・・なんて、その時はそう思ってしまったのです。
そしてゴリラについていろいろ調べていくうちに、ゴリラとはとてもメンタルな生き物だという事や、アフリカの一部にしか生息していない事、絶滅の恐れがある事等を知りました。

このお話を描いている間に、上野動物園の方に、「元気も少しずつ体調がよくなり、やっと最近生理がきたと京都から連絡を頂いたんですよ」と聞きました。
最近の事です。
生理が戻るのにそんなに時間がかかったんだ・・・と、改めてゴリラが神経質な生き物なのだと思いました。
そして、5月にトヨコが亡くなった事を新聞で知りました。
トヨコを見た事はなかったのですが、「ゴリラのすむ森」に貢献したゴリラです。
知り合いを亡くしたようなさみしい気持ちになりました。
その他にも、お話の中で紹介したサルタン・タイコ・ドラムも今はもういません。
写真でしか知らないゴリラ達の冥福をお祈りしたいと思います。
元気は現在も京都市動物園にいます。
修学旅行以来京都へは行った事がないのですが、いつか、本物の元気を見に京都へ行ってみたいと思っています。


作品を描くにあたり
    「どうぶつと動物園」上野動物園の資料室にて
    「モモタロウが生まれた!」黒鳥英俊氏著
                       を参考にさせて頂きました。


ホームページ掲載にあたりまして、ご協力下さいました、
    (財)東京動物園協会 大平様
    京都市動物園 園長 様
    京都市動物園 飼育課 秋久様
    「モモタロウが生まれた!」の著者 黒鳥様
                      ありがとうございました。


黒鳥さんからは、

私も繊細なゴリラのことを他のヒトにももっと知ってもらいたいので、
どうぞいろいろとゴリラの話を紹介してください。
元気のことはいまでも私にとっても気になっているゴリラです。
周りはうまくいったモモタロウのことにばかり目がいってますが、
ゴリラの繁殖計画のなかで私は元気とビジュの同居に一番力をいれていました。
それだけに結果は残念でなりませんでした。
一日も早く回復し、彼女にとっても幸せな生活が送れることを望んでいます。

というメッセージを頂戴いたしました。
私にとっては、この上ない励ましのお言葉でした。
本当に、ありがとうございました。

上野動物園に関しては下記アドレスを参照してください

東京都上野動物園 http://www.tokyo-zoo.net/zoo/ueno/index.html

最後になりましたが、読んで下さった方、ありがとうございました。
たくさんの人がこのお話を読んで“何か”を感じてくださる事を願っています。

2002年6月24日(元気の16回目のお誕生日)


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