1985年にドイツを引き揚げてから3年たった1988年の 夏、ヨーロッパを訪れる機会があったので、 お世話になったローアさんをゲッチンゲンに訪ねた。 なつかしいPlessewegのたたずまいはそのままで、 何も変わっていなかった。娘さんのカレンが少し 大きくなったな、というぐらいであった。 ローアさんはとても優しい人で、帰りがけに たぶん自分で植えるつもりで買ってあった ヒアシンスの球根をプレゼントしてくれた。 もう10年以上になるが、毎年早春の庭を楽しませて くれているのである。 ローアさんの家を辞して、ゲッチンゲンの町を ぶらりと歩いたが、町のたたずまいがまったく 変わっていないことに反して、知り合いがほとんど いなくなっていることに、大きな寂しさを感じた。 住んでいた頃には、世界中のさまざまな国から 大きな夢をいだいて留学している友達が そこここに住んでいて、何となく自分の町という 感じがしたものだが、たった3年ですっかり 「外国の町」になってしまっていることを知った ものである。 (1999年3月21日撮影)