赤線地帯
監督:溝口健二
出演:京マチ子、若尾文子、木暮実千代
時間:86分

 近所のミニシアターで見てきました。
 売春禁止法が成立したのが、1956年(昭和31年)ですから、この映画は、その法案が成立する少し前の娼館の状況を描いた娼婦達の群像劇です。
 映画の内容とは全く関係ないんですけど、この映画に出てくる人達って、森三中の大島さんに似てませんか?
 もちろん、中にはきれいな人もいます(「やすみ」を演じている若尾文子とかね…)けど、それ以外は、どうも、全員森山中に見えて仕方ありません。
 特に、一旦は下駄屋に嫁いだのに、結局売春宿に出戻ってきてしまう「より江」(町田博子っていう女優さんが演じてますね…)は、どこからどう見ても大島さんです。
 深刻な場面でも、この「より江」が出てくると、つい、「ガキの使い」のハイテンショングランプリで「ス〜リ、ス〜リ、スリスリスリぃ〜」ってやっている森三中大島の姿が思い浮かんでしまって、笑い出しそうになってしまいます。
「歌、上手いんだろうなぁ〜」とか「だんなは構成作家かぁ〜」など、本編とは全く関係のないことを延々と考えてしまいます。
 さて、そんな関係のないことを考えながらも、本編の内容についてですが、劇中、描かれている「夢の里」という売春宿で働く女性たちは、みんな、やむにやまれぬ事情で売春をしているということになっているのですが、「なんか、ちょっと、違うんじゃないか」という感じがちょっとしました。
 さっき、下駄屋に嫁いだけど売春宿にで戻ってきた「より江」っていうキャラクターこのことを書きましたけど、この人が出戻ってきた後の売春宿で、仲間に囲まれながら出戻った理由を説明するシーンがあるんです。
「あいつは、嫁が欲しかったんじゃなくて、働き手が欲しかったんだ。朝から晩まで働きづめで、たいした稼ぎにもなりやしない…、夜は夜でつかれきって布団のもぐりこんでるのに…、そういう生活をしてたら、稼いだら稼いだ分だけ自分のものになるこの商売がよく思えてねぇ…。あたしゃ、つくづく、貧乏ってモンが嫌になったんだよ!!!!!!」
と、まぁ、大体こういった内容のことを出戻った理由として述べるわけですが、ここでいわれている「貧乏暮らし」って、多分、当時の普通の生活だと思うんです。
 戦争に負けたばかりで、日本中どこもかしこも貧乏だらけ、そんな中で誰も彼もが貧困にあえいでいる。
 それがその当時の日本の状況だったと思うんです。
 つまり、結局、この「より江」は「貧乏が嫌」なのでしょう。
 言い訳をする「より江」に対して一言、「身についた垢っていうのは、なかなか落ちないモンだねぇ…」と言い放つ登場人物がいましたが、結局、そうなのでしょう。
 当時としては破格の高給取りで、いい物を食べ、いい服を着て暮らしていた娼婦達…。
 すき好んで、自分の身体を売る人はなかなかいないでしょうし、当時の娼館で働いていた女達にも色々な事情はあったと思いますが、一旦その生活に慣れてしまうと、もう貧乏には戻れない、いえ、むしろ、戻りたくない。
 そういう側面が、この映画にはちゃんと描かれていると思います。

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