明日へのチケット
監督:エルマンノ・オルミ、アッバス・キアロスタミ、ケン・ローチ
出演:カルロ・デッレ・ピアーネ、ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ、シルヴァーナ・デ・サンティス、マーティン・コムストン
時間:1h50

 近所のミニシアターで見てきました。
 この作品、カンヌ映画祭でパルムドールを受賞した三人の映画監督がそれぞれ一つずつ物語を撮って、最終的にその三つの物語を一つにつなげたものらしいんですが、個人的に、それぞれの部分によって結構大きく好き嫌いがでました。
 先ず、一つ目の物語は、初老の大学教授が主人公の話なんですが、この話が三つの中で一番好きでした。
 「焼けぼっくりに火がつく」なんていってしまうと、それまでなんでしょうけど、年を取って、もう恋心など忘れていた初老の男が美しい中年女性からの告白に心揺れる感じ、これが見ていてなんともかわいらしく、また、暖かいんですよ。
 青春ものの映画が描きだすような、まっすぐな気持ちとどす黒い性欲がほとばしるようなトゲトゲした恋ではなく、ホンワカと暖かい懐の中のホッカイロのようなジンワリした恋が巧みに描かれていてすごくよかったです。
 また、最後にこの老教授がミルクを持って席を立つシーンも実によかったですね。
 二つ目の話は、なんだかやたらと「豪傑なばあさん」が出てくるんですけど、ただそれだけといえばそれだけの話だったように思います。
 問題なのは三つ目の話なんですけど、これ、個人的にあんまり好きじゃないんですよね。
 フーリガン予備軍みたいなイギリスのサッカー少年達が、電車に乗って贔屓のチームである「セルティック」(「中村」が所属しているチームですよね)の応援に行く。しかしその途中、移民の子に電車の切符を盗まれてしまう。最初は取り返そうといきまいていたが、最終的に、その移民の家族をかわいそうに思って、自分達のチケットをあげる。そして、切符を持たなくなったフーリガン予備軍は駅員と車掌の隙を見て逃亡し、ジ・エンド。さらば青春の思い出。
 大まかに書くと、大体こんな感じの作品なんですが、これって、なんか釈然としないですよね。
 仮に、映画のラストで、このフーリガン予備軍の中の一人が全ての罪をかぶって「悪いのは俺一人でいいのさ…、フッ……」みたいな話だったら、「いい話や……」とも思うんですけど、この映画の展開って、なんか、結局、「愛があればキセル乗車もOK」みたいなことですよね。
 それって、なんか違うと思いませんか…
 エンドロールをみながら、なんとなくスッキリしない、残尿感の残った作品でした。

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