アズールとアスマール
監督:ミッシェル・オスロ
声の出演:アズール:シリル・ムラリ / 浅野雅博、アスマール: カリム・ムリバ / 森岡弘一郎、ジェナヌ: ヒアム・アバス / 玉井碧、クラプー: パトリック・ティムジット / 香川照之、シャムスサバ姫: ファトマ=ベン・ケリル / 岩崎響
時間:1h39m

 近所のミニシアターで見てきました。
 平日の午後に観に行ったので、お客さんはせいぜい10人程度だったんですが、そんなショボイ客の入りとは反比例して、この映画、「かなり良い!!!!!!!」です。
 フランスで上映されたアニメ作品ということで、観る前は正直、「どうなの…?」という疑いの気持ちを抱いていたのですが、実際に見てみたら、そんな不安は吹っ飛びました。
 確かに、日頃からジャパニメーションに慣れ親しんでいる我々日本人の目から見ると(余談ですが、この「我々日本人」ていう表現は諸外国の人から見るとかなり珍しい表現らしいですね。他の国の人たちは「我々」と自国の国民全員を並列させることはまずないそうです)、映像やストーリーにはかなり素朴な感がありますが、その素朴さがかえって新鮮で、映像にごまかされることなく、じっくりと物語や個々のキャラクターの深みを味わうことができました。
 実際、「ストーリーが素朴」と書きましたけど、「素朴」と「中身がない」はまったく別のことで、本作の場合は、素朴でありながらも、ストーリーの背景にある“自分と違うものを受け入れる”(硬い言い方をすれば「異文化の受容」とでもいうのでしょうか)という主張は非常に普遍的なものなので、味わえば味わうほどスルメ的にうまみの出てくる作品でした。
 白い肌、青い目、金髪を持つアズールとアラビア系で黒い神と黒い髪を持つアスマールは、アラビア系の乳母ジェナヌの下で育てられたが、白い肌、青い目、金髪を持つアズールを跡取りにしようとする父親は、乳母と幼いアスマールを家から追い出し、アズールも町の家庭教師のもとに送ってしまう。成長したアズールは子供のころに乳母から聞いたジンの妖精を探すべく、海を渡って乳母の国へ行こうとするが、途中で船が難破してしまう。運よく乳母の国に流れ着いたが、そこはアズールの「青い目」が「呪われた目」として忌み嫌われている国だった。言葉も、習慣も、文化も、食べ物も、何もかもが違う異国の地で、アズールはジンの妖精を探す旅に出るが…
 大まかに書くとこんな感じのストーリーなんですが、ファンタジックな(見方によってはドラクエ的な)ストーリーに包まれて、主張の核となる「異文化の融和」的な部分は比較的控えめに語られるので、観ていて説教臭さを感じるということもありません。
 また、私は吹き替え版を見たのですが、劇中のアラビア語の部分は訳されずにアラビア語のままなので、説明台詞のわずらわしさを経験することなく、主人公が経験する「異文化」を直接体験することができます。
 視覚的にも、劇中に使われている色彩はどれも鮮やかで、久しぶりに、「綺麗な映画」をみたという感じでした。
 全体で99分の作品なんですが、これを15分単位でぶつ切りにして、NHKの教育テレビあたりで流したら、すごく人気の出るシリーズになると思うのですがどうでしょうか…。
 公式サイトを見てみると、上映予定の館数がムチャクチャ少ないのですが、こういう映画こそ、もっと広く上映すべきですよね。
 ミニシアター系の小さなスクリーンではなく、シネコンの大画面でこの作品を上映したら、ムチャクチャ綺麗だと思います。
 DVDで、劇場で体験する本作のよさがどこまで再現できるかわかりませんが、もしも観る機会があればぜひ一度みてほしい作品ですね。

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