イタリア的、恋愛マニュアル
監督:ジョヴァンニ・ヴェロネージ
出演:カルロ・ヴェルドーネ、シルヴィオ・ムッチーノ、ジャスミン・トリンカ、マルゲリータ・ブイ、セルジオ・ルビーニ
時間:1h58

 近所のミニシアターでみてきました。
 客の入りははっきり言って悪かったんですが、映画の内容的には、この作品はなかなかお勧めです。
 この作品、30分ほどのショートムービーが四本組み合わさって一本の作品になってるんですが、その四本の作品の中にはずれが一個もないんですよ。
 『パリ、ジュテーム』なんかもそうですけど、普通、この手の「複数の作品組み合わせ」系の映画だと、組み合わさっているなかのどれか一本ぐらいはハズレがあるものですけど、本作はそのハズレがないんですよ。
 作風は四本とも全てコメディタッチで統一され、いかにも「イタリア人だなぁ〜」という感じの恋愛に対する過剰演出がテンコ盛りです。
 イタリア映画に出てくる恋愛模様って、本当にどれをとっても情熱的でなにをするにも一挙手一投足が全てオーバーリアクションじゃないですか…
 おまけに、日本にやってきてメディアで活躍しているイタリア人がどいつもこいつもみんなパンツェッタ・ジローラモみたいな言動を繰り返しているので、私の中でイタリア人のイメージがものすごく固定化されてしまってるんですけど、本当のイタリア人ってどんな感じなんでしょう?
 本当に、全員が全員、男も女も、この映画で描かれているように、恋愛に対してオーバーリアクション何でしょうか?
 もし、日本人がイタリア人的なオーバーリアクションをしたら確実に引きますよね。
 まさに、イタリア人だから許されているみたいな立ち居振る舞いだと思うんですけど、このどこからどう見ても過剰演出に思えるような仕草や言動が「イタリア人である」というだけで妙にかっこよく見えたりするんですよね。
 実際、映画を見ていても、最初の十分ぐらいは独特の雰囲気と過剰な立ち居振る舞いですぐにお腹一杯になってしまいそうな空気感を感じるんですが、しばらくすると、画面から放出される過剰な情熱にだんだんこちらがのせられてきて、日本人にはついぞ縁のない濃厚な愛情表現がすんなり受け入れられるようになってくるんですよね。
 しかも、劇中登場する女性は全員ものすごく美人ですし(あっ、三本目の「浮気」っていうショートムービーに登場する婦警さん役の人はそうでもないかな…)、ある程度映画が進んでくると、出演者のルックスのグレードの高さもあいまって、逆に、それぐらいのオーバーリアクションじゃないと物足りなくなってきます。
 最初に書いたように、全体的にコメディータッチでまとめられているんですが、とりわけ、四本目の作品が一番お笑い要素が強いですね。
 ただ、そんなお笑い要素の強い作風でも、そこに至るまでの流れで作品の世界観にドップリ浸っていると、最後の方は感動してちょっと泣きそうになります。
 「クールな恋愛」とか「大人の恋」みたいな、いつできたのかわからない怪しい概念に惑わされることなく、「俺達はイタリア人だ!!!!!!!」とばかりに独自の愛情表現を貫き通す本作のような姿勢は、見ていて実にすがすがしくて、気持ちがいいです。
 どんなに大人になっても、誰かを好きになったら、中学生のような心持のままに思いっきり大胆な行動が取れるって、実はものすごく幸せなことなんじゃないのか?
 この映画を見ていてふとそんなことを考えました。

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