浮き雲
監督:アキ・カウリスマキ
出演:カティ・オウティネン、カリ・ヴァーナネン、エリナ・サロ、サカリ・クオスマネン
時間:1h36

 近所のミニシアターで見てきました。
 土曜日の一番遅い回の上映だったんですが、思いのほかお客さんが入ってました。
 もちろん、入っているとはいっても30人ぐらいなんですが、地方のミニシアターで30人入っていればけっこう入っている方です。
 以前、同じカウリスマキの『街のあかり』が上映されたときも今回と同じぐらい入ってましたから、アキ・カウリスマキは私が住んでいる地方では比較的受け入れられやすい監督のようです。
 さて、映画の内容についてですが、ストーリーのベースは一組の失業夫婦です。
 夫は路面電車の運転手、妻は高級レストランの給仕長、お互いにある程度の収入があり、カラーテレビが買えるほど経済的にも余裕のある夫婦なのですが、不況のあおりを受けて夫はリストラされ、妻のレストランは倒産してしまい、あっという間に無職夫婦になってしまいます。その後、二人は一生懸命職探しをするのですが…
 みたいな感じのストーリーです。
 本作が「敗者三部作」の一作ということからもわかるのですが、諸侯を失ってからの夫婦の職探しはことごとく失敗します。
 夫は健康上の問題で内定直前でだめになり、妻は名もない小さな食堂に一旦雇われたもののオーナーの脱税で店が倒産。
 車も、カラーテレビも売り払い、生活はドンドン低迷していきます。
 普通に考えると、この手の低迷っぷりはものすごく悲惨ですし、暗〜い感じになってしまうんですけど、アキ・カウリスマキはこの手の暗さをうまく緩〜い笑いに変換して見せてくれます。
 過度にケバケバしい笑いではないですし、見ているこちら側も爆笑するということはないのですが、ところどころつぼに入るので、ついつい、クスクスと笑いがこみ上げてきます。
 フィンランド映画全体にいえることなのか、それともアキ・カウリスマキの作品だけなのかわかりませんが、この人が監督する映画に出てくる登場人物って全員が全員見事に不細工なんですよね。
 女優さんにしろ俳優さんにしろきれいな人とかかっこいい人は一人も出てきません。
 レベル的には、日本のそこら辺を歩いているオッサンやオバサンと同程度の人たちばかりです。
 そういった、演者のルックスの普通さ加減も手伝って、映画のおかしみがますます増加します。
 やっている内容的にはリストラによって生活が破綻していく過程ですからものすごく深刻なんですけど、それでも終始どこかとぼけた明るい感じで見せてくれます。
 この夫婦、最終的には一筋の希望が見つかって、生活を立て直すことができるのですが、この希望の描き方もすごくいいですよ。
 深刻さにしろ、明るさにしろ、必要以上に大げさではなく、見終わった後、気持ちのいいホコホコ感が残る映画です。
 この手のホコホコ感は最近の映画ではあまり味わえない感覚なので、もし、この監督の映画を見る機会があったら是非体験してもらいたいですね。
 お勧めの一作です。

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