幕末太陽傳
監督:川島雄三
出演:フランキー堺、左幸子、南田洋子、石原裕次郎、芦川いずみ、小沢昭一
時間:1h50

 近所のミニシアターで観てきました。
 休日、一番最後の上映回だったんですが、まぁ、ものの見事にガラガラでしたね。
 今(2008年6月現在)、私がよく通っているミニシアターでは、期間限定の特別企画として川島雄三特集をしているんですが、先日観に行った同じ川島雄三監督作品の『喜劇とんかつ一代』も客の入りはガラガラでした。
 やっぱり、地方のミニシアターでこの手の古い映画を上映してもダメなんですね…
 以前、郊外にある大手のシネコンが『ローマの休日』や『2001年宇宙の旅』『ゴッドファーザー』といった一昔前の名作系外国映画を上映したことがあったんですが、そのときは、数百席あるシネコンの座敷がギッシリ埋まるほどの大盛況でした。でも、邦画の名作をミニシアターでやると、90席しかないのに、10人弱の客しか入らないんですよね。
 邦画に対する日本人の意識が低いのか、それとも、地方都市の映画文化が衰退しているのか、どちらかわかりませんが、いずれにせよ、映画好きとしては哀しい現状ですよね。
 さて、映画を取り巻く地方の現状報告はさておき、本作『幕末太陽傳』についてですが、これ、かなりよかったですよ!!
 全体で二時間弱の映画なんですが、前半一時間は古典落語の「居残り佐平次」と「品川心中」を一軒の郭を舞台にコラボレートしたようなつくりなんですが、後半に入ってから、徐々に本作に独自のストーリーが現れてきて、一昔前の映画であるにもかかわらず、観ていて全く飽きが来ません。
 もちろん、「笑い」という意味では、やっぱり古い映画なのでいまいちな部分が多いんですが、それでも、「コメディー映画」として観るのではなく「明るい雰囲気の時代劇」として観れば、その雰囲気は現代でも十分に通用するすばらしい完成度です。
 しかも、その「明るさ」も、ただ底抜けに明るいという安っぽいものではなく、主役の「居残り佐平次」が結核を患っているということも手伝って、明るさの裏にどこか死の影がちらつくような重厚なつくりになっています。
 この映画を観た後、本作のことをちょっとネットで調べてみたんですが、この映画、ものすごく評価の高い作品なんですね。
 wikipediaにある『幕末太陽傳』の項目をみてみると、平成11年の邦画ベスト100でも第4位にランクインするなど、時代を超えて愛されている作品のようです。
 私は、映画は好きなんですけど、ただ漫然と観ているだけで映画自体を教養化するという作業を行っていないので、古い映画の評価に関する知識が皆無なんです。
 ですから、本作が高い評価を受けているということもまったく知らなかったんですが、確かに、本作の完成度の高さを考えると、時代を超えて高く評価されているというのもうなずけます。
 また、これもネット情報なんですが(さっきリンクを張っておいたwikipediaの項目にも書いています)、本作のラストにはボツになった真のラストシーンがあったらしいですね。
 私が観たラストシーンは、結核に冒された「居残り佐平次」が「仏様をバカにすると地獄に落ちるぞ〜」という罵声を尻目に、「まだまだ生きてやるよぉ〜」と言いながら海沿いの道をひた走るというものだったんです。
 しかし、当初、監督の川島は、「居残り佐平次」が海沿いを走るというラストシーンを、海沿いの道ではなく現代の町並みを時代劇の格好のままで走らせるようなラストにしようとしていたらしいんですね。
 このラストシーン、現代的な観点からいえば、斬新ですごくいい感じなんじゃないかと思うんですが、当時はスタッフや役者みんなに反対されてボツにせざるを得なかったそうです。
 また、実際にネットで検索してみるとわかるんですが、どうも、この映画にはラストシーン以外にも色々と逸話があるようです。
 本作はDVDになっているようなので、この映画を観てからネットでそれらの逸話を捜し歩いてみるというのも、なかなかおもしろいかもしれません。

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