ボビー BOBBY
監督:エミリオ・エステヴェス
出演:アンソニー・ホプキンス、デミ・ムーア、シャロン・ストーン、リンジー・ローハン、イライジャ・ウッド、ウィリアム・H・メイシー、ヘレン・ハント他
時間:2h
近所のミニシアターで見てきました。
上映初日ということもあってか、一番遅い回の上映だったにもかかわらず、そこそこ客が入っていました。
つい最近感想をUPした『あるいは裏切りという名の犬』もそうだったんですが、本作もあんまりミニシアターっぽい作品じゃないですね。
私が観に行ったミニシアターもスクリーンサイズをMAXにして上映していましたが、この作品はもっと大きなシネコンのスクリーンで見たかったですね。
さて、映画の内容ですが、つい最近(この感想を書いているのは2007年5月27日日曜日)、長崎市長が拳銃で撃たれてなくなるという事件がありましたけど、JFKの弟の暗殺を描いた本作は、不謹慎ですけどある意味タイムリーです。
出演陣を見るとものすごく豪華な顔ぶれですけど(私は欧米の役者さんの名前と顔が一致しないので、誰が誰だかよくわからないのですが、よく見る名前と顔ぶれなので豪華だというのはだいたいわかります)、この俳優さんたちも「民主主義を暴力で弾圧することに反対する」という旗印の下に自ら進んで結集したそうです。
むこうの俳優さんって、そういうの好きですよね。
それに関しては一概に善いとも悪いともいえないですし、善いとか悪いとか判断するようなことではないような気もしますが、でも、まぁ、好きなことは好きですよね、むこうの俳優さんって…
映画を見ていて、思ったんですけど、このケネディーの弟ってなんか、周りの人たちから「現人神」みたいに認識されていたみたいですね。
確かに、お兄さんがお兄さんですし、兄弟揃って暗殺ですからなんとなく伝説っぽくなって神格化されていくのはわかりますけど、やっぱり、映画の中に挿入される暗殺されたあとの支持者の人たちの落胆振りを描いた実際の映像を見る限り、その落胆の仕方が半端ではないです
大統領候補者とはいえ、所詮は一人の上院議員ですからそれほどの権力も影響力もなかったと思うのですが、それにもかかわらずあれほど熱狂的に周囲の人から支持され、死んだときに全員が全員その場に泣き崩れているような状況を見ると、やっぱり、ロバート・ケネディのカリスマ性って半端じゃなかったんだと思います。
もちろん、映画ですから編集の仕方によってかなりの誇張は入っているのでしょうし、ベトナム戦争が泥沼化していた当時のアメリカの社会状況などもロバート・ケネディのカリスマ性を後押ししていたのでしょうけど、ケネディ自身がナチュラルで持っていた人並みはずれたカリスマ性っていうのもやっぱりあったんだと思います。
仮に、数年前、小泉純一郎が始めて首相に当選して俗に言う「小泉旋風」が吹き荒れているさなかに、小泉純一郎が突然暗殺されたとしても、あれほどの衝撃にはならなかったと思うんですよ。
ていうか、厳密に言おうと、衝撃度合いとしては同じぐらいの強さがあるかもしれませんが、その衝撃の質が違うんですよ。
小泉さんが暗殺されたときに我々が受けるであろう衝撃って、あくまでも、ものすごく大きな事件が起こったときの衝撃じゃないですか。
でも、このローバート・ケネディ暗殺のときに支持者が受けていた衝撃って、本当に、もう、なんか、古代エジプトで「フォラオが死んだ」みたいな、もしくは、「キリストが磔にされた」みたいな、そういう、宗教的に巨大な力を持つ指導者が死んだときのその信者が受ける衝撃に近い感じです。
なんていうか、絶対的な精神的支柱を失ったみたいな。そんな感じです。
あれはやっぱり、現代の日本では見れない光景ですよね。
この映画のラストでエンドロールが流れているときのBGMは、アレサ・フランクリンが熱唱してる賛美歌です。
その手の曲がエンディングで使われているっていうこと自体、この映画の製作者側がロバート・ケネディに抱いていた気持ちの強さが伝わりますね。
「カリスマ」とそれを取り巻く人々のあり方が垣間見れる作品ですし、一本の映画としてもすごくおもしろい群像劇なので、お勧めできる作品です。