人のセックスを笑うな
監督:井口奈己
出演:松山ケンイチ、永作博美、蒼井優、忍成修吾、あがた森魚、温水洋一、桂春團治
時間:2h17
近所のミニシアターでみてきました。
サンミュージックに所属しているお笑い芸人に「飛び石連休」というコンビがいます。そのツッコミの方の藤井宏和がお笑い界漂流中!というBlogを運営しているんですが、そのブログのなかに「東京の映画館でこの映画を見ようとしたら満員で三回も出直した」的なことが書かれていました。
いくら人気の作品といっても、所詮は「東京」の映画館だからそういうことになるのだろうと思っていたのですが、ミニシアターにいってみてビックリ!!
ものすごく混んでいました!!
私は現在、地方都市に住んでいるんですが、地方都市のミニシアターがこれほど混むとは…。具体的にいうと、全90席のうち70席ほどが埋まっている状況だったんですが、これ、地方都市としては異例のことなんです。
しかも、そのお客さんの8割程が女性。
残り2割の男性も、私以外はみんな「カップルの片割れ」でした。
ある意味、これが結論なんですけど、この映画は男一人で観に行く映画じゃないですね…
19歳の美大生「みるめ」は、39歳の非常勤講師「ゆり」に恋をする。初めての恋愛にドップリはまる「みるめ」だが、ある日、「ゆり」には夫がいるということが発覚する。
大まかに書くと、こんな感じのストーリーなんですが、まぁ、本当に、最初から最後まで少女マンガの単行本を一ページずつめくっていくような雰囲気の映画でしたね。
男目線の恋愛映画と女目線の恋愛映画の違いって、色々あるとは思うんですが、最も決定的な違いって「におい」なんですよ。
男目線の恋愛映画って、感情描写が荒い代わりにそれを補うように、ものすごく生々しい「におい」を感じるんです。
それに比べて、女目線の恋愛映画って、感情描写がものすごく繊細で細やかな代わりに、生々しい「におい」が無いんです。
この違いって、少年マンガと少女マンガの違いにも当てはまると思うんですけど、女目線の恋愛映画って「におい」をあえて感じさせないような状況設定になっているんですよね。
実際、本作『人のセックスを笑うな』も、主人公が恋をする年上の女性「ゆり」の年齢を39歳にしたっていう時点で「脱におい」なんです。
「男のお前に女の生理がわかってたまるか!!」といわれてしまえばそれまでなんですが、女の39歳って、加齢臭が出るか出ないかのギリギリの線だと思うんですよ。
42歳なら、間違いなく出ているでしょう。
でも、39歳。これはギリギリ。ものすごく微妙な年齢設定です。
その絶妙な年齢設定の登場人物が、バイト中に居眠りしている教え子の鼻をロバのおもちゃで「ブシッ!!」っとやる。
この「年齢設定」と「ロバのおもちゃでブシッ!!」のダブルパンチで完全に消臭成功。
映画全編を通じて、純粋に感情描写のみで引っ張っていく繊細な映画の完成です。
さっきもチラッと書きましたけど、この映画ってやっぱり男が一人で観に行くタイプの映画じゃないですね。
男の私が言うのもあれですけど、たぶん、この映画を観た後の感覚って、女の人が自分の部屋で一人でお気に入りの少女マンガをニヘニヘしながら呼んでいるときの感覚に近いと思います。
また、ものすごくテンポがよくて2時間17分という長丁場にもかかわらず、全くダルさを感じさせない映画なので、カップルでチョロッと観に行くのもいいかもしれませんね。