ヒトラー 〜最期の12日間〜
監督:オリヴァー・ヒルシュビーゲル
出演:ブルーノ・ガンツ、アレクサンドラ・マリア・ララ、トーマス・クレッチマン
時間:2h35

 公開時に郊外のシネコンで見てきました。
 このシネコン、地方都市での映画産業の衰退を象徴するようなシネコンで、よほどの大ヒット作でもない限りはガラガラ状態で見ることができるんですが、この『ヒトラー 〜最期の12日間〜』を見たときは、この作品がそこそこの話題作だったということも手伝ってか、結構な客の入りでした。
 さて、この映画、タイトルが思いっきり「ヒトラー」ですからヒトラーがメインの映画と誤解しやすいんですが、実際には、ヒトラー個人よりも、ヒトラーの周りにいた人達の方がメインになっている作品です。
 舞台となる時代は第二次大戦終結間際、ベルリン陥落の直前です。
 そのような状況下にあって、ヒトラーの周辺にいた人々が何を考えてどのように行動したかということがこの映画のもっとも中心的な題材です。
 この映画の監督はオリヴァー・ヒルシュビーゲルという人なのですが、本作を撮るにあたっての、この監督の視線は極めて冷静ですね。
 実際に映画を見てもらえば一番よくわかるのですが、作品全体から、ドイツの側にも連合軍の側にも肩入れすることなく、ただあの当時のドイツという現場で起こった事実だけを克明に描こうという意図が感じられます。
 ナチスドイツというと、どうしてもヒトラーのイメージが強いので、そのイメージに流されて画一的な考え方を持ちがちになってしまいますよね。
 でも、この映画を見てわかるのは、当時の状況下でヒトラーのすぐ側にいた側近達であっても、それぞれにバラバラの考え方を持っていて、それぞれの意思にしたがって行動しようとしていたということですね。
 もちろん、いくら意思を持っていたとしても、そこには常に「処罰される」ということに対する恐怖が付きまとっていますから、そのような「行動しよう」という意思が、実際に目に見える行動となって表面に出てくることはこの映画の中でもなかなかありません。
 しかし、そういった個々人の意思を見せることで、この映画は戦時下の第三帝国の新しいイメージを提示してくれていると思います。
 エンドロールの直前に、この映画で描かれる主な登場人物が戦後どのような人生を送ったかが簡単に紹介されるんですが、中にはまだ存命の人も結構いるんですよね。
 そういった事実を見せつけられると、この映画が描いている出来事は、本当につい最近のことなんだということが実感できますね。

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