ホテル・ルワンダ
監督:テリー・ジョージ
出演:ドン・チードル、ソフィー・オコネドー、ニック・ノルティ、ホアキン・フェニックス
時間:2h02

 自宅の近くにあるミニシアターでこの映画が公開された数日後に、インドネシアのジャワ島で大きな地震が起こりました。
 地震の惨状を伝えるニュースがテレビから流れるたびに死傷者の数は増え、テレビの中に写っている人々は倒壊した家屋や傷ついた身内を前に、ある人は泣き叫び、ある人は一心不乱に瓦礫の山を撤去し、そしてまたある人はどこか呆然とした面持ちでその場にたたずんでいました。
 しかし、そんな惨状をテレビで見ながらも、我々の生活は普段とまったく変わらず、一旦テレビを消してしまえば、テレビを再びつけるときまで、われわれはこの悲劇を完全に忘れて日々を生きています。
 そんな傍観者のたたずまいをこの映画の中の台詞は見事に表現しています。
「この映像を見る者は、ただ、怖いね、といっただけで、そのままディナーを続ける。」
 それが現実です。
 映画を見ながら、私自身がこのルワンダで起こった大量虐殺について、どれほど知っているのか、ふと考えてみました。
 虐殺が起こったのは1994年、私が中学生のころです。年齢的なことを考えると、この事件のことをしっかりと記憶していたとしてもおかしくないはずなんですが、私の記憶の中にはルワンダで起こった大量虐殺は全くありませんでした。いや、全くというとそれは嘘ですね。私がこの事件に関して持っていた唯一の記憶は、「確かテレビが、ルワンダがどうしたこうしたと言っていた」ということだけです。
 結局、テレビです。
 この映画が終わった後、エンドロールをバックに流れる曲、名前は忘れてしまいましたが、その歌詞と旋律は映画を観た直後に聞くと実に感動的で胸を打つものがあります。しかし、そんな音楽を聴いたからといって、そして、この『ホテル・ルワンダ』のような映画を見たからといって、我々、いや、私は、変わるのでしょうか?
 どんな悲劇にも常に傍観者がいます。
 そして傍観者の目から見た悲劇は、テレビが伝える一つのニュースに過ぎません。
 そんな現実を前にしたとき、この『ホテル・ルワンダ』という映画には、それがこの上なく素晴らしい映画であるということを認めたとしても、どこかむなしさが漂います。

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