ファーストフード・ネイション
監督:アボルファズル・ジャリリ
出演:グレッド・キニア、ポール・ダノ、イーサン・ホーク、パトリシア・アークエット
時間:1h48
近所のミニシアターで観てきました。
ファーストフードを題材にした映画としては、数年前に『スーパーサイズミー』という優れたドキュメンタリーを観ましたが、本作は、その『スーパーサイズミー』とは違う切り口からファーストフード社会を切ったフィクションです。
『スーパーサイズミー』はハンバーガーに代表されるファーストフードの栄養面や、それを食べ続けることによって生じる身体に対する悪影響に焦点を絞った作品でしたが、本作『ファーストフード・ネイション』はファーストフードの栄養面というよりは、ファーストフードに代表される手軽で大量に安価な製品を生産する社会が全体が有しているシステムに全体に対して批判的な目を向けています。
ですから、本作のなかで取り上げられているものは一つのハンバーガーチェーン店だけですが、この映画が持っている視線は、そういった個別的なファーストフードチェーン店を越えた、システム全体にまで到達しています。
なんだか、こういう書き方をすると、この映画をものすごく高く評価しているようにみえるかもしれませんが、そんなことないですよ。
ここに書いたのは、この映画が持っている視線の矛先を示しただけで、一本の映画としてみたら、この映画、ムチャクチャつまらないです。
ていうか、私、この映画を『幻影師アイゼンハイム』を観たすぐ後に連続してみたんですよ。
で、実際に観た人はわかると思うんですが、『幻影師アイゼンハイム』ってかなりおもしろいじゃないですか。
何から何まで作りこまれてる感じで、本当に神経が行き届いている良作ですよ。『幻影師アイゼンハイム』は…
それに引き換え本作は…
確かに、強く訴えたいことがあるんだという意思は伝わりますし、その訴えたいことの内容も十分に理解できます。
手軽、効率、安価、利益、これだけを追求した社会が必然的に有している負の連鎖、本作の問題意識はまさしくこの点に収斂していますから、まぁ、それなりに問題作ですし、テーマ的にもわかりやすいといえば分かりやすい作品なんですよ。
ただ、どんなにそのテーマが重くて深刻だとしても、それが映画であるいじょう、「おもしろい」ということを前提に置かなきゃいけないと思うんですよ。
それなのに、本作は、「問題があるからそれについて何か一言いいたいんだ!!」という思いばかりが先走って、映画としてのおもしろさを完全に無視しています。
そういうつくり方だから、アヴリル・ラヴィーンやブルース・ウィリスをあんな妙なところで起用するんですよ。
なんていうか、映画全体から学生ノリの環境保護活動みたいなにおいがプンプン漂っていて、あんまり近づきたくない感じの作品でしたね。
DVDになるかどうか定かではありませんが、同じファーストフードものを買うのなら圧倒的に『スーパーサイズミー』の方がお勧めです。