かもめ食堂
監督:荻上直子
出演:小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ
時間:1h42

 この映画のはじめのほうに、主役である小林聡美がプールで泳ぐシーンがあります。顔だけを水から出して、平泳ぎで泳いでいるんですけど、このときの小林聡美の顔を見て、正直スクリーンの前で「この人こんなにきれいな人だったんだぁ…」と妙に感心してしまいました。雑誌とかグラビアで軽々しく「かわいい」だの「きれい」だのと、ちやほやもてはやされているような美しさじゃなくて、「the 女優」といった感じの、ちょっとやそっとでは手が届かない雰囲気を持った、厳かで重みのある美しさがその顔に表れていたんです。
 あの顔を見ることができただけでも、もう、この映画を見た価値は十分にあると思うんですけど、この映画、純粋に一本の映画としてみてもすごく面白かったですよ。
 もう、とにかく、片桐はいりともたいまさこという強烈な二つの個性が映画全体をグイグイ引っ張っていくんですけど、不思議と押し付けがましさや「引っ張られている感」が全くなくて、心地よい雰囲気のまま最後まで見ることができました。
 映し出されるフィンランドの景色もきれいですし、魅力的なシーンのたくさんある映画なんですけど、個人的に一番好きなシーンはやっぱり食べ物の映っているシーンですね。
 別に、特別な料理が並んでいるわけではないですし、フィンランドだからといってフィンランドの名産が出てくるわけでもありません。映画に登場するのは、おにぎり、しょうが焼き、とんかつ、鮭の網焼きといったごくありふれた和食がほとんどなんですけど、それらの一品一品がなぜかやたらと美味しそうなんですよ。
 美味しい定食屋って、最近行ってないですねぇ……

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