キングス&クイーン
監督:アルノー・デプレシャン
出演:エマニュエル・ドゥヴォス、マチュー・アマルリック、カトリーヌ・ドヌーヴ、モーリス・ガレル
時間:2h30

 見る人によっていろいろな感想を持つことができる映画だと思うんですけど、個人的には、ものすごく恐ろしい映画だと思いましたね。
 人間の(女の?)内面の怖〜い部分をえぐるように描いている映画だと思います。
 この映画の主人公のノラという女性なんですけど、怖いのはこの人のキャラクター設定ですね。
 自分の弱さと正しさを武器にしながら自分の欲求を満たしていく無自覚なエゴイスト。そんなキャラクターのように思えます。
 この手のタイプのキャラクターの怖さというか恐ろしさって、何よりもその「善良さ」と「無自覚」というところにあると思うんですけど、このノラという主人公は、映画の中で、本当に善良な理由で無自覚に、色々なものを切り捨てていきます。
 末期がんで苦しむ姿に耐えられないということで父親に大量のモルヒネを投与し、唯一なついた人だからという理由で息子を昔の恋人であるイスマエルに養子として預け、自分は資産家と結婚する。
 何かを切り捨てるとき、ノラがそれを行う理由は一見すると、ものすごく善良でもっともらしいもののように思えるんですよ。でも、最終的に行き着くところを見ると、幸せになっているのは彼女ひとりのような気がします。
 こういう見方をしてみると、この映画最大のハイライトは、やはり、ノラが父親の日記を見てそこに書かれている内容に愕然とするシーンですね。
 全てを見抜いていた父親。
怖いですねぇ、恐ろしいですねぇ。もう、あのシーンとあの台詞は思い出すだけで身の毛がよだちます。
 もしかしたら、自分自身もそうなんじゃないか?善良で無自覚なエゴイストなんじゃないか?
そんな問いを突きつけられているような感じがしますね。
 余談ですが、このノラと似たようなキャラクターってウディ・アレンの『夫たち、妻たち』の中にも出てきたように思います。まぁ、もっとも、そちらに出てくるキャラクターは本作のノラよりもだいぶおとなしい感じでしたが・・・
 全体で150分とかなり長めの映画ですけど、この映画はいいです!DVDが発売されたら買おうと思います。

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