キング 罪の王
監督:ジェームズ・マーシュ
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル、ウィリアム・ハート、ペル・ジェームズ、ローラ・ハーリング、ポール・ダノ
時間:1h45

 近所のミニシアターで見てきました。
 当初、この映画はスルーしようとおもってたんです。
 でも、たまたま時間が空いたので、チョロッと見に行ってみました。
 で、結論ですが、「かなり良かった」です。
 なんていうか、『オイディプス王』の変化球みたいな重い内容でしたけど、でも、不必要に「文芸」な感じは全然なくて、むしろ、広い意味でのサスペンス的な緊張感を持って楽しむことのできる作品でした。
 最近アメリカの一部で流行しているインテリジェント・デザインなんていう考え方がまともに受け入れられるほど、敬虔なキリスト教徒の多い保守的な町(村?)に海軍上がりの一人の若者がやってきます。
 この若者、この町の牧師が若い頃に風俗系の女の人と燃えあがって、つい流れで作ってしまった子なんですけど、当然、牧師としては今更そんなやつが現れたって邪魔なだけじゃないですか。
 そんなわけで、牧師はこの若者にむかって「私と家族に近づくな」的なことを言うわけです。
 でも、当然、そうはいかないわけですよ。
 この若者、こともあろうに、自分とは腹違いの妹に当たる牧師の娘とくっついちゃうんです。
 この行為を復讐と見るのか、純粋な愛と見るのかは解釈のわかれるところかもしれませんが、とにかくくっついちゃうものはくっついちゃうんです。
 自分の部屋に彼女をつれこんで、海軍時代に使っていたライフルの扱い方をLoveLoveオーラ全開で教えるんです。
 で、当然、その後はSEXです。「俺のライフル…、どう?」みたいな展開です。
 そして、この腹違いの兄弟同士による変則的な近親相関的恋愛関係が生じたことをきっかけにして、もともとの元凶である牧師の家庭は音を立てて崩壊していきます。
 息子はこの若者によって殺され、母親は絶望の淵に落ち、そして、悲劇的なラストに向って一気に加速していきます。
 このコメントの最初に『オイディプス王』なんていう具体的な作品名を出しましたけど、実際、この作品、舞台は現代ですけど、扱っている主題は「親族間での愛憎」というものすごく古典的な(「カインとアベル」なんかもちょっと近い雰囲気を感じますね…)ものですから、作り自体は簡素ですけど、作品としてすごく厚みを感じます。
 ハリウッド映画以外のアメリカ映画の中には、ときたまこういうものすごくグッと来る作品が出ますね。
 万人向けではないかもしれませんが、強くお勧めできる作品ですね。
 ところで、完全に余談ですけど、この作品の中にも出てくる「インテリジェント・デザイン」て、現代のアメリカでどれぐらい本気で受け入れられているんでしょうか?
 以前、新聞でも読んだことがあるんですけど、保守系の人達を中心にある程度支持する人達がいるみたいですね。
 進化論や科学が絶対正しいというわけではないのでしょうけど、でも、さすがにちょっとアナクロな感じがしますね。
 でも、ブッシュって、そういう思想に「YES!!!!!!!!!!!!」とか言いそうで、ちょっと怖いです。

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