コントロール
監督:アントン・コービン
出演:サム・ライリー、サマンサ・モートン、アレクサンドラ・マリア・ララ、ジョー・アンダーソン、トビー・ケベル
時間:1h59
近所のミニシアターで観てきました。
伝説のバンド、ジョイ・ディヴィジョンのボーカルであるイアン・カーティスの生涯を描いた作品ということで、本来であれば、音楽形の興味が先行して観に行くのだろうと思うのですが、音楽系の話題にものすごく疎い私の場合は、イアン・カーティスがどうこうというよりも、サマンサ・モートンが出演しているという一点で観に行きました。
私はウディ・アレンの『ギター弾きの恋』という作品で初めてサマンサ・モートンと観たんですが、この人、完全に将来の名女優候補ですよね。
最近みた『ミスター・ロンリー』でもいい味出してましたし、あと10年20年したら間違いなく、目の越えた人も納得させるすばらしい名女優になると思います。
そんな、私のお気に入りのサマンサ・モートンですが、本作でも一種独特の生々しさを滲ませながら、ものすごい存在感を発揮しています。
主役のイアン・カーティスを演じるサム・ライリーもかなりいい感じなんですが、個人的には、そんなサム・ライリーの演技も、イアンの妻を演じているサマンサ・モートンに引き立てられた結果として生まれたものという感じがします。
さて、さんざんサマンサ・モートンのよさを書いてきましたが、本作は、出演している役者さんの演技がものすごくいいわりに、映画全体の完成度という点になると、正直、いまひとつです。
ストーリー的には、ロック好きの少年がジョイ・ディヴィジョンのボーカルとして大成するけれども、癲癇の発作や愛人との不倫、そしてなによりも、自分が世間的にあまりにも大きくなってしまったことによって生じる個人としてのイアン・カーティスとミュージシャンとしてのイアン・カーティスとのギャップに苦しんで悲劇的な結末を迎えるというものなんですが、このストーリー展開がなんとなく緩いんですよね。
イアンとその奥さんが出会う件もものすごく簡略化して描かれてますし、それに、1970年代っていう時代背景も関係してくるのかもしれませんが、ジョイ・ディヴィジョンのメンバーが演奏している会場がどれもこれもみんな小さいライブハウスみたいなところばかりで、彼らが「売れている」っていう感じが全然実感として伝わってこないんです。
この映画の一番重要なところといったら、やっぱり、ミュージシャンとして成功することによって「自分がコントロールできる範囲を超えて自分自身が肥大化していってしまう」っていうところだと思うんですけど、本作のような描写の仕方だと、「売れてる感」が伝わってこないので、「この程度の売れ方だったら、別に、そんなに悩む必要もないんじゃないの…?」と思ってしまいます。
俳優さんの演技がよかった割には、全体的に小さくまとまってしまった感のぬぐえない残念な作品ですね。
あっ、でも、以前、ニルヴァーナのカート・コバーンを題材にした『ラスト・デイズ』という作品を観たんですが、全体的な色調がそれと同じような感じだったので、そちらの作品を観て、「なかなかいいかも…」という感想を持った方は、本作を観ても楽しめると思います。