黒蜥蜴

監督:深作欣二
出演:丸山明宏、木村功、川津祐介、宇佐美淳也、松岡きっこ、西村晃、三島由紀夫、他
時間:1h26

 幸運なことに、この作品が劇場公開されるということで、近所のミニシアターで見てきました。ミニシアターの皆さんの努力に心から感謝いたします。
 当日、ミニシアターは今まで見たことがないくらいの超満員でした。全部で90ある座席がぎっしりうまっていたばかりか立ち見の客も(私を含めて)30人くらいいて、熱気ムンムンの中での鑑賞ということになりました。このミニシアターには毎週のように行っていますが、これほどお客さんが入っているのを見たのは初めてでしたねぇ。『トニー滝谷』を上映したときにイッセー尾形が舞台挨拶に来たんですけど、そのときでもこんなに入ってなかったですからねぇ。やはり、三輪明宏のオーラはものすごいんだと思います。
 さて、映画の内容についてですが、この作品、一言で言うと「三輪明宏ショー」です。
 全体的に、映画というよりも、舞台劇をそのまま映像にしたという感じなのですが、三輪明宏をキャスティングできた段階で、もうこの映画は成功だと思います。
 もともと、ストーリーはそれほど複雑というわけではありませんし、トリックも単純なので、推理小説的な魅力は薄い作品だと思うんです。むしろ、この作品の魅力というのは、やはり、原作が江戸川乱歩ということもあって、その独特な雰囲気で見るものをひきつけていくタイプの映画だと思うんです。
 その雰囲気という点で、三輪明宏はまさしくズバリですね。この作品は何度か映画化されているみたいですが、三輪明宏が出ていない『黒蜥蜴』ってちょっと考えられないですね。
 そのぐらい、この映画は三輪明宏のための映画です。
 オープニングで自らが作詞作曲した『黒蜥蜴の歌』を歌いながら登場するシーン(このシーンの三輪明宏は『妖怪人間ベム』に出てくる「ベラ」に似ています)から、いきなり、美輪劇場の幕開けです。その容姿と歌声で「グッ」と心をつかんだら最後、映画が終わるまで、決して観客の心を話しません。
 映画の途中で、在りし日の三島由紀夫とのキスシーンもありますが、そんな場面のインパクトも何もかもが三輪明宏に吸収されていきます。
 ところで、余談ですが、この映画ってDVD化されていないみたいですね。アマゾンで調べたんですけど、引っかかりませんでした。すごくいい映画だと思うんですけど、なぜなんでしょう?
 DVD化されない限り、多分、もう二度と見ることのできない作品だと思うので今回劇場で見れたことはすごく貴重な体験だったと思います。

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